エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

矛盾律と忍耐 天才シモーヌ・ヴェイユ

2014-09-03 11:04:40 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 

 排他率が、近代に生み出したもの。スピノザ哲学、マルクス経済学、フロイト精神分析です。

 p73第2パラグラフ。

 

 

 

 

 

 矛盾律の観点から申し上げれば、強調点は思想にあるのではなくて、行為にあります。この態度かせ、いつくかの他の結果も生じてきます。なかでも、「忍耐」が生じますが、これは、インドの宗教や中国の宗教が発達する中にあります。正しい考えが究極的な真理でも、救いの道でもないとなれば、他者とぶつかり合う理由もなくなりますし、その考えはそれぞれ別々に定式化されます。この忍耐は、何人かの人物の物語にうまく表現されています。その人たちは、闇の中で一頭の像を描くように頼まれます。1人は、自分の胴体に触れて、「この動物は、水道管の如し」と言います。もう一人は、自分の耳に触れて、「この動物は、団扇の如し」と言います。三人目は、自分の両足に触れて、この動物を、まるで柱のように描きます。

 

 

 

 

 

 

 矛盾律から忍耐が生まれると言います。でもその忍耐にもいろいろあるのでしょう。

 忍耐と言って思い出すのは、やはり、天才シモーヌ・ヴェイユですね。忍耐、ヒュポメノーが、シモーヌ・ヴェイユのキーワード、最も好む言葉だからです。

 彼女の短い一生は、まさにこの言葉「ヒュポメノー」(忍耐)の体現にあった、と言えるだろうと思います。つまり、「ヒュポメノー」(忍耐)という≪話し言葉≫を、彼女の人生において、≪出来事≫にして見せたのでした。それはすさまじくも、気高き人生だと言えることです。

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