ルターも、言ってることとやってることが違っちゃいました。
Young Man Luther 『青年ルター』p.235の第2パラグラフ、下から13行目途中から。
ルターは、政治的自由だとか、経済的自由だとかいう考えには反対でした。スピリチュアルな自由は、ルターの話によれば、農奴制と矛盾しないし、農奴制は聖書とも矛盾しないことになっていました。これはもちろん、ひとりびとりが生まれた土地に関する中世の考えに対応したものです。ルターが望んだのは、人が神様に祈る関係を糺すことであって、この世の土地との関係を糺すことではなかったからです。人のスピリチュアルな自由と、社会生活における自分の立場を区別する、この二王国説は、ルターがその後、確信をもって定式化しようとしたものですが、今日に至るまで、プロテスタントにずっと続くものです。
この二王国説が曲者でした。この世とあの世をはっきり分けてしまいますからね。ルター派がヒットラーとの戦いに敗れたのも、二王国説のせいだといえるのかもしれません。ヒットラーとの戦いをよく戦ったのは、改革派のカール・バルトでした。しかし、ルター派でも、ディートリッヒ・ボンヘッファーのような例外もいましたね。
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