エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

発達トラウマ障害≒愛着障害の診断基準 AからD

2016-04-09 01:11:43 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 
子どもの貧困 No.5  今の日本の根源的な貧困
  子どもの貧困。今日はその5回目。 今の日本の子どもの根源的な貧困について。 昨日のブログの最後に出てきましたでしょ。鬼ごっこで、いつまでも追いかけても...
 

 

今晩も、今から7年前、311(2011)を遡って2年前、ヴァン・デ・コーク教授が、2009年に出した、発達トラウマ障害(DTD : defelopmental trauma disorder)をDSM-Ⅴにハッキリと入れてね、という提案書(http://www.traumacenter.org/announcements/DTD_papers_Oct_09.pdf) の9日目。

 昨日で、序章(イントロダクション)は終了。

 今晩から「もう1つ別の診断」の章に入ります。始めの2つのパラグラフは飛ばして、本丸の発達トラウマ障害≒愛着障害の診断基準に入ります。これを被災地に入る前から、キチンと教えてほしかったですよ。でも、教えられたのは、PTSDの3症状と、表現活動は、震災後しばらくたってからやってね、ということくらい…。

 いけない、いけない、過去と他人は変えられなかったんでしたね。

 

 この診断基準は、AからGまで7項目があります。今日はその内、AからDの4項目を翻訳します。

 

 

 

 

合意が取れた 発達トラウマ障害 という診断基準の提案

A、トラウマになる出来事を繰り返されている。 この思春期以前の子どもは、何度も、あるいは、長期に渡って、見るに忍びない様々な出来事を、子どもの頃か思春期初期に、少なくとも1年以上の間、経験したり、目撃したりしてきた。この子どもには、次を含む:

  A.1. 酷い対人間暴力を繰り返し、直接振るわれたり、目撃したりしている

  A.2. 母親役が繰り返し変わるために、安心・安全に満ちた状況で子育てしてもらうことが相当奪われている。 母親が近くにいない状況が繰り返されている。 あるいは、ひどい情緒的な虐待を繰り返されている。

 

B.感情のコントロールが出来ない、生理的なホメオスタシスを保てない。この子どもは、興奮をコントロールすることができる年相応の力がない。この子どもは、少なくとも、次の2つを含む:

  B.1. 極端な感情状態(恐れ・怒り・恥)を整え、我慢し、回復することがない。それは、長期に渡る極端な癇癪、あるいは、感情の固定化を含む。

  B.2. 身体の働きを調整することが出来ない(睡眠、食事、排泄が、ずっと混乱している。触られること、音、に対して過剰に反応したり、反応が乏しかったりする。日課の変わり目に混乱する)。

  B.3. 自分の感覚、感情、身体に気付かない、あるいは、解離が生じる。

  B.4. 自分の様々な感情や身体の状態について、言葉にすることが出来ない。

 

C.集中力が続かない、行動上の課題がある : この子どもは、注意を集中すること、学習すること、ストレスに対処すること、に関連して、年相応の力がない。この子どもは、少なくとも、次の3つを含む:

  C.1. 恐怖に心奪われる。恐怖をうけ止められない。安全と危険の合図が分からない事も含まれる。

  C.2. 自分を危険から守ることが出来ない。極端に危険なことをする、スリルを求める事も含まれる。

  C.3. 自分を落ち着かせる間違ったやり方をする(ロッキング、他のリズムを刻む動き、強迫的なマスターベーション)

  C.4. 習慣的な(意図的な、自動症的な)自傷、ないしは、反応による自傷。

  C.5. 目的のある行動を始めることが出来ない。あるいは、目標のある行動を続けることが出来ない。

 

D.自分を確かにすることができない、やりとりができない。この子どもは、自分を確かにさせる感じにおいても、やり取りのある関係に関わることにおいても、年相応の力がない:

 

  D.1. 母親や他の大事な人たちが与えてくれる安心・安全に強く心奪われている。あるいは、その人の姿が見えなくなった後で、再び出逢えるまで我慢できない。

  D.2. 自分に対して一貫して否定的に感じている。自己嫌悪、無力感、自分をガラクタのように感じている、やってもダメだぁと感じている、自分は不良品だと感じている。

  D.3. 大人たちや仲間たちとの近しい関係において、極端に執拗に相手を信頼できない、相手に対して反抗的であり、やり取りのある関係が出来ない。

  D.4. 仲間達、親達、他の大人達に対して、反発して暴力や暴言で、攻撃する。

  D.5. 親しみのある触れ合い(性的な親しみや身体的な親しみとは限らない)を得ようとして、不適切な(過剰な、あるいは、誰彼かまわぬ)試みをする。あるいは、安心・安全のために、仲間たちや大人たちに過剰に頼る。

  D.6. 相手の気持ちが分からない。それは、相手の気持ちに共感することが出来ないから、相手のことが我慢ならないから、あるいは、相手のことが嫌いだから、あるいは、相手が嫌いなことに過剰に反応しているから。

 

 

 

 

 

 今晩は、以上です。じつに、どこの学校、どこのクラスにでも、必ずいる、何人もの、何十人もの子ども達の姿が、イメージされますでしょ。

 ヴァン・デ・コーク教授のこの提案書には、本当のことが書いてある、と確信します。

 

 

 

 

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