土佐レッドアイ

アカメ釣りのパイオニアクラブ

長野流イノシシの解体-10

2009-04-18 07:14:00 | 狩猟とナイフ

画像:頭部を切りはずしている所です。

画像のように切り離した頭の処理が最後です。

テレビで沖縄や韓国の市場の場面で、豚の顔が商品ケースに陳列されているシーンを見ることがあります。

頭部には美味しい肉が沢山ついています。また付属品として耳・舌などもあります。猟師の中には面倒なので内臓も頭も捨ててしまうという人もいてもったいないと思います。イノシシの処理は時間も手間もかかるため気持ちはわかりますがそれでもやはりもったいない。

以前の記事で友人が頭を斧で叩き割り、大根など野菜と煮込む料理を楽しんでいると書いたことがあります。私はとてもこんな大胆な料理はようしません。私は『豚の顔」のように上手に丸々のまんまきれいに取り外すやり方ではなく、頭部の皮・肉を半分ずつ取り外しています。

最初に耳を切りはずします。次に鼻を切り取ります。それから頭頂部から鼻先まで一直線にナイフで骨まで切り込みます。ここはほとんど皮の下は骨です。

余談ですが、イノシシのアタマはとても頑丈です。かれらの武術の得意技が頭突きですが、鼻先から頭頂部まで使う技のキレとその強度は驚くべきものです。

ワナのひとつに箱ワナと呼ばれるものがあります。鉄筋で作った箱に餌を入れておきその中にイノシシが入って引き金やセンサーにさわると入り口が閉まって閉じ込めるという大きなワナです。鉄筋の直径は6ミリほどが主流ですが私は以前10ミリの鉄筋を使って自分で電気溶接をして作っていました。

その箱ワナにイノシシが入っていると、子供だと連れ帰って独房にぶち込んで飼育するのですが、大人のイノシシは箱ワナの中で仕留めないといけません。子供から大人までおしなべてイノシシはヒトを見ると大興奮します。そしてヒトを目指して突っかかってきます。ドシン、どしーんと鼻から突っ込んできます。しかし、ぶち当たるのは鉄です。なんぼか痛かろうと思うのですが、涙一滴も出すことなくドシン、ドシン。
鉄筋が曲がります。

そういう状況で仕留めたイノシシを解体して見ると鼻はほとんど変化がありません。中には鼻がもげかかっているものもありますが。鼻から頭頂部にかけては少し内出血していますが、骨が砕けていることはありません。

頭頂部から鼻先までナイフを入れてから下(顎)へ向かって骨から皮・肉を剥がしていきます。すぐに目がありますので目の回りにぐるりとナイフを入れます。肉はこめかみ、頬、顎の部分に多く付いています。この作業は複雑なのでかなり時間がかかります。