どんどん話を広めてしまいました。長くなるので「つづく」ではなく、分けて書くようにします。
さて、
一番最初に、毛や身体についている泥や汚れをきれいに落とさないといけません。イノシシはどこかのおさるさんのように温泉に入ったりはしません。逆に泥風呂?に、氷のはった真冬でも、それこそ年から年中浸かって体中(顔からしっぽまで)に泥をヌタくります。よくヌタ場という言葉が使われますが、ヌタ場というのは山中の水たまり場で、イノシシ等が泥を塗りたくるために使っている所のことです。谷間(たにあい)の耕作放棄された田圃の跡などがよく使用されています。良いヌタ場にはたくさんの動物が利用しているようです。ハシリ(獣道)がそのヌタ場に何本もつけられています。私の集落のある山の地名で「ヌタノサコ」という所があります。山中の一箇所水が湧き出ていて、そこは赤土で昔からヌタ場として獣たちに使われていたのでしょう。
山奥の廃村にある耕作放棄された田圃のヌタ場
ヌタ場につけられた獣の足跡 赤丸はイノシシの足跡 黄色内は不明
**********************
ハナ子(夏服)のヌタ遊び
うっとりしているかのような表情です
ハナ子は泥だらけになって、大好きな私に親愛の情を示そうとハグしてくるのです。「わかった、わかった」
**********************
イノシシはヌタ場で泥を身体に塗りたくりその後どうしているでしょうか。色々と考えてみました。
2010年5月21日、使って12時間以内のヌタ場
そもそも、どうして泥を身体に塗るのだろう?
●体温調節? これはなさそうです。真夏だけではなく真冬でもヌタをうちます。
●身体を清潔に保つため? うーん。これもないように思います。どう考えても水が入れ替わるわけでもなく、きれいな水溜まりとは思えません。
●おしゃれ?身だしなみ? 泥をどれだけ多く付けているかが美しさの基準?どうかなあ?
●それはイノシシの趣味です? ・・・・・。
●寄生虫対策? これが最ももっともらしいと考えられる答えです。と、思います。では何故泥か?
イノシシに取り付くムシではこれまで紹介してきたダニが最も目につきます。これは多寡に違いはあれ、ほとんどのイノシシに付いています。ヒトであれば余りの不快さに狂い死にするであろうというほど多い個体もいます。
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ダニ(壁蝨、蜱、蟎)とは、節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目に属する動物の総称である。世界で約2万種と言われている。 Wikipediaより引用
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ダニの他に体表で目につくのはシラミ、それも「イノシシジラミ」という判り易いというか安直というかそう命名されたムシがいます。このシラミは全くいない個体、少しいる個体、たくさんいる個体、うじゃうじゃと毛が動いているように見えるほど多い個体と4段階あります。
他に、常時くっついているわけではないが、まとわりつき血を吸うムシでは、アブ、ブヨ、ヌカムシなどがいます。
こうしたうるさいムシの対策としてはヌタをうち、泥を塗りたくるという行為は合理的だと人間の私は考えるのです。ダニにはそれ程効果があるとは思えないのですが、他のムシたちにはかなり有効です。シラミは血を吸う時は皮膚に取り付きますが、日頃の住処は「毛」なのです。友人のメスイノシシ「ハナ子」にもこのイノシシジラミが少し取り付いていた時期がありました。ゴロリっと横になったハナ子のシラミをよく捕ったものです。シラミは毛の中では中々素早く動き逃げ回ります。しかし、掴まえてつるつるしたものの上などに置くと動きはからっきしだらしなくてもぞもぞと頼りなくうごくのです。
かれらの卵もイノシシの毛に産みつけられますが、よほど強くしごかないと毛から取り除くことができません。
ダニと比べると、シラミの場合はヌタとこれから出てくる「スリツケ」とで卵ともどもかなり効果的に駆除できるかもしれません。
他に羽を持ち飛び回るアブはすばしこいのすが、一度取り付くと執拗で離れないブヨ、ヌカムシはヌタをしただけで取り除けると思います。
イノシシのスリツケ
上、2枚はアカマツのスリツケ
木についている模様は♂のキバを磨いた跡
廃村への送電線の電柱、いまは便利なイノシシのスリツケ用具
斜めになった孟宗竹、これは股ぐら用?
画像のようにスリツケには各種の木、竹などを利用しています。画像にはありませんが、大きな石、倒木なども使います。
このスリツケですが、イノシシは獣道を歩きながら、気に入った(形状、高さ、傾斜度、硬さなど)モノに泥のついた身体をゴシゴシ、ごしごし、ごりごり、ぐりぐりと力を込めてこすりつけているようです。お気に入りのモノにはかなり執着するようで、松の木など表皮は半分以上剥がされて木質部もすり減っているものさえ見ます。木や竹にしてみると「おんしゃらあ ええかがんにせえよ」というところでしょうか。
これほどすりつけてもダニが一度喰いつくと落とすことは無理だろうと思います。イノシシの身体に取り付いたばかりのものであれば落ちると思いますが。
毛の処理をしていて、熱湯をかけても、頭部が皮膚の中に食い込んだダニは取り除くのに苦労するのです。一匹ずつ引きはがそうとしても「ブチッ」と音がして、頭部がちぎれ皮膚の中に残ってしまうのです。
ちなみに、以前、私はダニは温血動物だけに喰いついて血を吸うとばかり思い込んでいました。実はそうではありません。変温動物の爬虫類などの血も吸うのです。美味しい?血さえあればあたたかろうが冷たかろうがおかまいなし。実にあっぱれな一貫した態度、姿勢です。これは掴まえたマムシの首筋に喰いついたダニを発見したことで気がつきました。
山の嫌われ者の2大巨頭がセットになった珍しいシーンでした。
さて、
一番最初に、毛や身体についている泥や汚れをきれいに落とさないといけません。イノシシはどこかのおさるさんのように温泉に入ったりはしません。逆に泥風呂?に、氷のはった真冬でも、それこそ年から年中浸かって体中(顔からしっぽまで)に泥をヌタくります。よくヌタ場という言葉が使われますが、ヌタ場というのは山中の水たまり場で、イノシシ等が泥を塗りたくるために使っている所のことです。谷間(たにあい)の耕作放棄された田圃の跡などがよく使用されています。良いヌタ場にはたくさんの動物が利用しているようです。ハシリ(獣道)がそのヌタ場に何本もつけられています。私の集落のある山の地名で「ヌタノサコ」という所があります。山中の一箇所水が湧き出ていて、そこは赤土で昔からヌタ場として獣たちに使われていたのでしょう。
山奥の廃村にある耕作放棄された田圃のヌタ場
ヌタ場につけられた獣の足跡 赤丸はイノシシの足跡 黄色内は不明
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ハナ子(夏服)のヌタ遊び
うっとりしているかのような表情です
ハナ子は泥だらけになって、大好きな私に親愛の情を示そうとハグしてくるのです。「わかった、わかった」
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イノシシはヌタ場で泥を身体に塗りたくりその後どうしているでしょうか。色々と考えてみました。
2010年5月21日、使って12時間以内のヌタ場
そもそも、どうして泥を身体に塗るのだろう?
●体温調節? これはなさそうです。真夏だけではなく真冬でもヌタをうちます。
●身体を清潔に保つため? うーん。これもないように思います。どう考えても水が入れ替わるわけでもなく、きれいな水溜まりとは思えません。
●おしゃれ?身だしなみ? 泥をどれだけ多く付けているかが美しさの基準?どうかなあ?
●それはイノシシの趣味です? ・・・・・。
●寄生虫対策? これが最ももっともらしいと考えられる答えです。と、思います。では何故泥か?
イノシシに取り付くムシではこれまで紹介してきたダニが最も目につきます。これは多寡に違いはあれ、ほとんどのイノシシに付いています。ヒトであれば余りの不快さに狂い死にするであろうというほど多い個体もいます。
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ダニ(壁蝨、蜱、蟎)とは、節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目に属する動物の総称である。世界で約2万種と言われている。 Wikipediaより引用
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ダニの他に体表で目につくのはシラミ、それも「イノシシジラミ」という判り易いというか安直というかそう命名されたムシがいます。このシラミは全くいない個体、少しいる個体、たくさんいる個体、うじゃうじゃと毛が動いているように見えるほど多い個体と4段階あります。
他に、常時くっついているわけではないが、まとわりつき血を吸うムシでは、アブ、ブヨ、ヌカムシなどがいます。
こうしたうるさいムシの対策としてはヌタをうち、泥を塗りたくるという行為は合理的だと人間の私は考えるのです。ダニにはそれ程効果があるとは思えないのですが、他のムシたちにはかなり有効です。シラミは血を吸う時は皮膚に取り付きますが、日頃の住処は「毛」なのです。友人のメスイノシシ「ハナ子」にもこのイノシシジラミが少し取り付いていた時期がありました。ゴロリっと横になったハナ子のシラミをよく捕ったものです。シラミは毛の中では中々素早く動き逃げ回ります。しかし、掴まえてつるつるしたものの上などに置くと動きはからっきしだらしなくてもぞもぞと頼りなくうごくのです。
かれらの卵もイノシシの毛に産みつけられますが、よほど強くしごかないと毛から取り除くことができません。
ダニと比べると、シラミの場合はヌタとこれから出てくる「スリツケ」とで卵ともどもかなり効果的に駆除できるかもしれません。
他に羽を持ち飛び回るアブはすばしこいのすが、一度取り付くと執拗で離れないブヨ、ヌカムシはヌタをしただけで取り除けると思います。
イノシシのスリツケ
上、2枚はアカマツのスリツケ
木についている模様は♂のキバを磨いた跡
廃村への送電線の電柱、いまは便利なイノシシのスリツケ用具
斜めになった孟宗竹、これは股ぐら用?
画像のようにスリツケには各種の木、竹などを利用しています。画像にはありませんが、大きな石、倒木なども使います。
このスリツケですが、イノシシは獣道を歩きながら、気に入った(形状、高さ、傾斜度、硬さなど)モノに泥のついた身体をゴシゴシ、ごしごし、ごりごり、ぐりぐりと力を込めてこすりつけているようです。お気に入りのモノにはかなり執着するようで、松の木など表皮は半分以上剥がされて木質部もすり減っているものさえ見ます。木や竹にしてみると「おんしゃらあ ええかがんにせえよ」というところでしょうか。
これほどすりつけてもダニが一度喰いつくと落とすことは無理だろうと思います。イノシシの身体に取り付いたばかりのものであれば落ちると思いますが。
毛の処理をしていて、熱湯をかけても、頭部が皮膚の中に食い込んだダニは取り除くのに苦労するのです。一匹ずつ引きはがそうとしても「ブチッ」と音がして、頭部がちぎれ皮膚の中に残ってしまうのです。
ちなみに、以前、私はダニは温血動物だけに喰いついて血を吸うとばかり思い込んでいました。実はそうではありません。変温動物の爬虫類などの血も吸うのです。美味しい?血さえあればあたたかろうが冷たかろうがおかまいなし。実にあっぱれな一貫した態度、姿勢です。これは掴まえたマムシの首筋に喰いついたダニを発見したことで気がつきました。
山の嫌われ者の2大巨頭がセットになった珍しいシーンでした。