2013.10.8 ミカンの手入れに行くと、畑の通路に置いてある、ニホンミツバチの巣箱がキイロスズメバチの襲撃を受けていました。キイロスズメバチは巣箱の周りでホバリングしながら、出入りするミツバチを捕まえて巣に持ち帰り、子供の餌にします。
オオスズメバチのように巣箱の中まで侵入して完全にミツバチを滅ぼすことはありませんが、ミツバチたちは迎撃態勢をとり、気にするのであまり働きにでなくなります。
仕事があるので始終巣箱の近くで見張ることはできませんが、襲撃を見つける度に、近くにあるヒサカキの枝を手折りそれでシバいて退治しています。
この日も2匹目のキイロスズメバチをバシッとシバきました。
なんとそれが、あろうことかあるまいことか、下に落ちずにジャージをはいた右足、膝の下に激突し、刺したのです。はじき飛ばしたとき、ハリを出したままのお尻を向けて足にあったったのでしょう。痛いこと痛いこと。
トドメをさそうと探すのですが、相手の姿がありません。数歩あるいたときです。履いていた長靴の足の甲が激痛です。
あろうことかあるまいことか(多いなあ)、膝下を刺したハチは長靴の中に落ち込んでいたのです。どうやら毒液をたっぷり注入したようです。
これほどの不運はめったにありません。慌てて長靴をぬぎスズメバチを放り出しました。
長くなった人生で、ニホンミツバチ・セグロアシナガバチ・コアシナガバチ・キボシアシナガバチ・クロスズメバチなどに刺されてきました。しかし、よく遭遇するのですが、幸いなことにオオスズメバチやキイロスズメバチに刺されたことはありませんでした。
初体験です。これが痛かった。
びっこをひきながら、このまま仕事を続けようかとおもったのですが、少し経つと、今までに体験したことがなかったイヤな感じが、身体全体に、もやっと出てきたような気がするのです。
ありゃ、これはひょっとするとアナフラキシー『英: anaphylaxisとはヒトや他の哺乳類で認められる急性の全身性かつ重度なI型過敏症のアレルギー反応の一つ』(ウキペディアより引用)なのではないかと思い当たりました。
今までは刺されても痛いだけでした。
これは一刻を争う事態です。
ミカン畑から病院まで30分あまりかかります。急いで車に飛び乗り妻に電話をしました。妻は看護師をしていましたので、頼りになります。
電話がやっと通じて事態を伝えると、それは急がないといけない、着替えに戻るような余裕はない。道中で失神する危険も考えられるので意識がおかしくなるような気がしたら車を止め救急車を要請しなさいと言います。
国道までの山道の道中、半分も降りないうちに全身にぼうりゅう疹が出始め痒みが強くなってきました。間違いなくアナフラキシーです。
『アナフィラキシーで見られる症状には以下のようなものがある。
多尿
呼吸困難(呼吸促拍)
低血圧
脳炎
失神
意識不明
蕁麻疹
紅潮
血管性の浮腫(口唇、顔面、首、咽喉の腫脹):生命の危機を呈することがある
流涙(血管性浮腫やストレスによる)
嘔吐
掻痒
下痢
腹痛
不安』:(ウキペディアより引用)
何とか病院まで運転出来ましたが、到着したときには呼吸までしにくくなっていました。
病院で待っていた妻は車いすにのれと促しますが、まだ歩けるのでそのまま急いで皮膚科を受診。準備して待ち構えていてくれました。
汗でぬれたままベッドに横になって2種類の点滴注射をして治療が始まりました。
段々、蕁麻疹が激しくなり全身に現れ、呼吸もしにくくなり、先生、看護師さんがつきっきりでみてくれました。点滴1本では治まらず2本目を追加、治療が始まって4時間ほどたってからやっと症状が治まってきました。
やれやれです。
治療中に、蜂に刺されたという患者がやってきました。その方は症状は痛みだけでしたが、落ち着いてから先生や看護師さんとの話では蜂被害の患者はかなり多いそうです。特に我が安芸市はビニールハウスでナスの栽培が盛んです。近年、その受粉のためマルハナバチ・セイヨウミツバチを利用しているため、ハウス農家の被害が多いのが特徴だそうです。
これから、蜂に刺されるとより重篤な症状が現れる恐れがあるので、気を付けるようにと釘をさされました。
しかし、私の生活は蜂の生活圏と重なっています。またニホンミツバチも飼っているので蜂刺されとは隣り合わせ。危険極まりないとはこのことです。
「エピペン」という携帯用の注射があり、蜂刺され等でアナフラキシーを起こしそうになったら自分で太ももに注射をしてから、病院にかけつけるという処置をするのだそうです。
病院から離れた山の上が職場ですので、これを携帯することにしました。
エピペンは国民健康保険をつかっても5千円近くします。有効期限は1年間。それでも命が助かれば安いものです。
処方してもらいましたが、薬局には在庫がなく注文してもらいました。来てから、病院で先生に使用法の指導を受けることになっています。
イノシシの反撃で数回の負傷、マムシに咬まれ入院、ムカデや毒虫の被害などにあってきました。この上蜂刺されによるアナフラキシーショックによる死の恐怖など考えてみるとなかなかワイルドな生活です。
どこかのお笑いタレントが「ワイルドだぜ~」なんてやってましたが、お笑いではすみません。