北海道生まれ 法学博士 国際基督教大学名誉教授
著書:『天皇の葬儀』(新教出版社、1988)『自由と天皇制 憲法問題双書』(弘文堂、1995)『憲法の国際協調主義の展開 —ヨーロッパの動向と日本の課題』(敬文堂、2012)共著: 『憲法判例特選』(敬文堂、2010)『韓国強制併合100年の歴史と課題—国際共同研究』(明石書店、2013)ほか
今年、韓国併合から110年を迎えます。みなさまは韓国の国家記録院に1905年の統監府時代から1945年の日本の敗戦までの40年間における各種刑事判決が保管されていることを御存じでしょうか。笹川紀勝先生は、6608件に及ぶ膨大な判決の整理、分析を続けておられ、今回の講演では、その研究成果の最前線についてお伺いしたいと願っています。
日本はポツダム宣言を受諾して朝鮮半島をはじめとする植民地支配を放棄するとともに、天皇制を存続させました。天皇の戦争責任も、「慰安婦問題」や「徴用工問題」をはじめとする植民地支配の清算も、いまだに放置されており、このことが、日本の国内外におけるさまざまな問題の根本原因となっていることは想像に難くありません。
ところで、ポツダム宣言の第8項には「カイロ宣言は履行さるべき」とあります。そのカイロ宣言には「朝鮮ノ人民ノ奴隷状態ニ留意シ軈テ朝鮮ヲ自由且独立ノモノタラシムルノ決意ヲ有ス」という一文があります。つまり日本がポツダム宣言を受け入れたということは、当然カイロ宣言の履行であったわけですから、「朝鮮ノ人民ノ奴隷状態」を世界の前で認めたことを意味します。では、「朝鮮ノ人民ノ奴隷状態」とは何を指すのでしょうか。笹川先生は、その実態がどのようなものであったのかを示すために、あの膨大な判決文を読み解いていらっしゃるのです。今回の講演では、判決文の紹介を通して、3・1独立運動や上海臨時政府の様子を浮き彫りにし、それが戦後の韓国の憲法や国民意識の形成にどのように結びついていったのかを具体的にお話しいただく予定です。
ぜひお誘い合わせの上、ご参加いただければと思います。
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