福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

伝説のミルテの花女声合唱団(7) 「山のいぶき」 巣立ちの歌

2013-12-26 21:24:58 | コーラス、オーケストラ
伝説のミルテの花女声合唱団(7)川崎祥悦 「山のいぶき」 福島章恭


伝説のミルテの花女声合唱団(7)

「山のいぶき」
作曲 川崎祥悦 作詞 松前幸子

指揮:福島章恭 ピアノ:出川美佐子
1995年3月4日 フィリアホールに於けるライヴ録音

取り敢えず、シリーズの最終回となります。
連投にウンザリされた方には申し訳ありません。
ただ、こうして纏まった時間の取れるのは、レッスンのない年末年始くらいなので、一気に済ませたかったのであります。

当時のステージ写真が見当たらず、印刷物ばかりの画像なのが心残りかな。
家庭用ビデオはもちろん、デジカメすら普及していない頃でしたし、
演奏と録音で精一杯で、写真まで手が回らなかったのでしょう。

改めて「山のいぶき」は名曲ですね。
本コンサートのラストを飾る曲でした。
今から約四半世紀前、中学校の産休代替教員として赴任した学校の授業でも、よく採り上げた­曲のひとつ。

その頃に出会ったのが、ミルテの花のメンバーです。
歌の好きな純粋な娘たちが集まっていて、卒業してからも一緒に歌いたいという。
随分たくさんのステージを共にしましたが、このコンサートは、その時の最上級生たちが大学を卒業する春のコンサート。
このコンサートをもって、ミルテの花女声合唱団は活動を終え、メンバーはそれぞれの活躍の場に羽ばたいていきました。
(その後、一度だけ同窓会的なコンサートは一度行いましたが)

部活ではない、授業としてのコーラス・クラブを担当させられたのが、私の合唱指揮第一歩なのですから、人生は分かりません。

着任して最初の水曜日。午後のクラブの時間。
レッスンの会場に行くと部長のMさん(後のミルテの団長)が「先生、発声練習お願いします!」と元気な明るい笑顔でいう。
他人に発声指導などしたことのなかった私は、おどおどするばかり・・・。
後の発声や体操にうるさい自分からは想像もつかない情けない姿でした。

あの公立中学校に「コーラス・クラブ」がなければ、今頃私はどうしていたのでしょうか?

伝説のミルテの花女声合唱団(6) 「夏の思い出」~よく知られた歌こそ真剣に、新鮮に。

2013-12-26 18:10:42 | コーラス、オーケストラ
伝説のミルテの花女声合唱団(6) 中田喜直「夏の思い出」


伝説のミルテの花女声合唱団(6) 

「夏の思い出」
作曲 中田喜直 詩 江間章子

指揮:福島章恭 ピアノ:出川美佐子
1995年3月4日 フィリアホールに於けるライヴ録音

中田喜直を演奏するとき、いつも「ねむの花」「石臼の歌」「夏の思い出」の3曲をセットにしていました。「夏の思い出」が「石臼の歌」の人生を思わせる重さからサッと解き放ってくれるから。
「夏の思い出」は、知らぬ者のないほどの有名曲ですが、それどけに低俗に歌われることが多く、そんな歌唱を聴くと閉口してしまいます。下手に歌われるのも嫌ですが、いかにも童謡風に歌うのもよろしくない。
こうした小品にこそ、真剣に命懸けで取り組まねばなりません。演奏家の才能が顕わにされてしまうからです。この演奏にかけた熱い想いが伝わることを祈ります。

なお、今回も映像にチラシを使用しました。第2回リサイタルのチケットを除いてシルクスクリーン作品ではありませんが、手間のかかっている分、なんだか味わいがありますね。特に思うのは、写植した文字の美しさ!

追記
第2回リサイタルのチラシ裏面の問い合わせ先までシルクスクリーンなのには、改めて感動しました。
この番号、今はどなたかのものかも知れませんので、くれぐれもおかけにならないよう・・・。

伝説のミルテの花女声合唱団(5)  「石臼の歌」 和紙の演奏会チラシ!

2013-12-26 17:02:37 | コーラス、オーケストラ
伝説のミルテの花女声合唱団(5)  中田喜直「石臼の歌」 福島章恭


伝説のミルテの花女声合唱団(5) 

「石臼の歌」
作曲 中田喜直 詩 壺田花子

指揮:福島章恭 ピアノ:出川美佐子
1995年3月4日 フィリアホールに於けるライヴ録音

中田喜直の「ねむの花」「石臼の歌」を並べて演奏するのも、宇野功芳先生の影響ですが、そうでなくとも、この2曲は双生児のような関係にありますね。
詩人はどちらも壺田花子ですし。久しく指揮していませんが、どこかで振りたくなりました。

私に振って欲しいという団があったら、コメント覧にご一報ください(笑)。

なお、画像は、ミルテの初期のチラシの数々です。
すべて、中学時代の恩師・加藤柳一先生の作品で、特に第1回、第2回リサイタルと第1回フィリアホール公演(2枚のうち最初に登場する1枚)のチラシはシルクスクリーンによる作品。驚くべきは、第1回フィリアホール公演には「和紙」に刷ったというバージョンまでありました。もちろん、配布用でなく、関係者への保存用ですが。教え子の晴れ舞台のために、手を掛けてくださっていたことを思い出しました。今にして、師への感謝の念が熱く沸きあがりました。

近々、久しぶりに訪ねてみようと思います。

伝説のミルテの花女声合唱団(4) 中田喜直「ねむの花」 

2013-12-26 15:52:35 | コーラス、オーケストラ
伝説のミルテの花女声合唱団(4) 中田喜直「ねむの花」 福島章恭


伝説のミルテの花女声合唱団(4) 

「ねむの花」
作曲 中田喜直 詩 壺田花子

指揮:福島章恭 ピアノ:出川美佐子
1995年3月4日 フィリアホールに於けるライヴ録音

中田喜直の作品は、最近では採り上げていませんが、昔はよく演奏していました。
もちろん、宇野功芳先生と日本女声合唱団の実演やレコードから影響を受けてのことですが、その後、ヴォイストレーナーとして跡見学園大学のコーラスに招かれた時には、宇野先生の音楽づくりを間近で観ることができて、とても勉強になりました。
しかし、お聴きの通り、生まれる音楽は、宇野先生とは全くの別物。
これほど、シンプルな作品でも、魂というか生まれながらの資質の違いが出るのは面白いですね。

なお、当時の私の名前は、章恭ならぬ唱貴(しょうき)というものでした。改名の経緯などはまた別の機会に・・・。

伝説のミルテの花女声合唱団(3) 一期一会の「あの日から」 

2013-12-26 12:16:38 | コーラス、オーケストラ
伝説のミルテの花女声合唱団(3) 三善 晃「あの日から」 福島章恭


伝説のミルテの花女声合唱団(3) 

「あの日から」 
作曲・作詩 三善 晃

ミルテの花女声合唱団
指揮:福島章恭 ピアノ:出川美佐子
1995年3月4日 フィリアホールに於けるライヴ録音

「あの日から」は、この演奏の数年前、確か昭和音大に於ける古橋富士雄先生による市民のための「合唱指揮講座」の課題曲として知りました。古橋先生の「あの日から」への愛情が迸る素晴らしい講座でした。作品から受けた感動も大きかったけれど、まだ、合唱指揮をはじめたばかりで手探りの頃、激情の中間部、あの変拍子を振るのがとても難しかったのを苦く記憶しています。

改めて聴くと、テンポ設定などに甘いところがあって、やり直したい気持ちになりますが、いま当時の彼女たちは居ない。経験を積んだ僕の知識や感性で当時のミルテを振れたら、どんなに凄い演奏になるか、と思いますが叶わぬ夢なのです。

未熟な僕とひたむきな彼女たちが出会って生まれた瞬間瞬間の火花。
一期一会の「あの日から」。
まさに音楽であり、人生だと思います。


伝説のミルテの花女声合唱団(2) 高田三郎「典礼聖歌」

2013-12-26 04:03:16 | コーラス、オーケストラ
伝説のミルテの花女声合唱団(2) ?田三郎「典礼聖歌」4曲 福島章恭


伝説のミルテの花女声合唱団(2) 田三郎「典礼聖歌」4曲

しあわせな人 / 谷川のみを求めて / 復活の続唱 / 元后あわれみの母

ミルテの花女声合唱団
指揮:福島章恭 オルガン:出川美佐子

この演奏会の少し前に、高田三郎先生の指揮された「典礼聖歌」の実演に触れて衝撃を受­け、急遽レパートリーにしたものです。
4曲とも未熟ながら思い出深い演奏ですが、特に「復活の続唱」は気に入っています。か­れこれ18年もの歳月が流れるというのに、なかなかこれ以上に高揚したパフォーマンス­ができないでいるのです。ミルテのような至純なハーモニーの団をもう一度、作らなけれ­ば・・・。
ところで、当時は、まだ女声版「典礼聖歌」の楽譜が出版されておらず、最初の3曲は学­校の図書館で借りたレコード(荒川少年少女合唱隊」など)からコピー。「元后あわ­れみの母」は私のアレンジです。我がアレンジは言うまでもなく、ほかの3曲も後に出版­された楽譜とは調性や音がちがっておりますこと、ご了承ください。

伝説のミルテの花女声合唱団(1) ブルックナー「アヴェ・マリア」(福島章恭・編)

2013-12-26 01:33:56 | コーラス、オーケストラ
伝説のミルテの花女声合唱団(1) ブルックナー「アヴェ・マリア」(福島章恭・編)


伝説のミルテの花女声合唱団のライヴ音源(1)

ブルックナー「アヴェ・マリア」(福島章恭・編)

ミルテの花女声合唱団
指揮:福島章恭 オルガン:出川美佐子

福島章恭の原点である「ミルテの花(葩)女声合唱団」の幻の音源を発掘し公開いたします。
ミルテの花の冠=純潔の象徴、ということから命名した若い合唱団。
当時、団員は大学生と高校生でしたが、ミルテの名に相応しい至純な歌声とハーモニーが持ち味の10名前後の少人数のコーラスでした。まあ、私も若かったですが・・・。

それまで、草野球チーム「ワルキューレ」(監督:宇野功芳先生)の一選手でしかなかった私が、音楽家として、合唱指揮者として宇野功芳先生に認められたのは、ミルテの実演を聴いて頂いてから、ということになります。

このアヴェ・マリアは、有名な7声のためのアカペラ作品ではなく、アルト独唱とオルガンのための作品。それを移調し、女声合唱用にアレンジして演奏いたしました。

1995年3月4日 フィリアホールに於けるライヴ録音。

写真は、今や幻のCD。確か限定100枚のみのプレス。インレイはトレーシングペーパーに一枚一枚シルクスクリーンで印刷したこだわりの造りとなっています。
濃い藍の文様を裏面に印刷し、表からも見えるように、という趣味の良さ。当時、出始めたばかりの透明なケースを意識したものでした。