井上道義先生のブルックナー9番。
神の存在を思わせるような深遠な演奏であった。
井上先生といえば、自由人でアナーキーなイメージもあり、宗教から最も遠い存在にも思われがちが、作品によって「神」と向き合うような瞬間を思わせることがある。
そう感じたのは、神戸や札幌で合唱指揮者として共演させて頂いたベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」の時であったが、今日、鎌倉芸術館に鳴り響いたブルックナーでは、さらに神に近づいた、というか神と戯れているような境地をも感じさせた。
(写真上は終演後、愛知祝祭管コンサートマスター高橋広氏とともにマエストロを囲んで)
マエストロの全身全霊の音楽に献身的に応えたN響も見事!
これまで、朝比奈隆、マタチッチ、ヨッフム、ヴァント、スクロヴァチェフスキーら、ブルックナー指揮者と呼ばれる巨匠の実演を聴いた耳と心にも、最高ランクの感動を与えられたことを告白しておく。
井上道義先生の完全復活を心より祝したい! ブラヴィッシモ、マエストロ!