この週末の2日間は、26日の本番を目前に控えた「愛知祝祭管弦楽団」の事実上の最終稽古。初日の18日(土)は、戸惑いの残る団員もいたようだ。
というのも、わたくし=福島章恭が、突如覚醒してしまい、これまで練習してきたよりも、かなり遅いテンポで指揮したからである。
テンポや呼吸が深まることは、管楽器奏者には死活的な問題なので、その心配も頷ける。
しかし、ひとたび覚醒してしまったものは元に戻せるものでなく、2日目の本日はレッスンはじめに「このテンポで行く」旨を宣言し、楽員に覚悟を決めて貰った上で指揮棒を振り下ろした。
愛知祝祭管弦楽団のメンバーの順応性はひじょうに高い。
昨日は、遅さや深さが持ちこたえられなかったり、あるいは、流れが止まって沈滞する場面がなくもなかったが、今日は全てがピタリと決まってゆく。
そして、昼食を挟んだ午後、いよいよ運命のブルックナー8番の通し演奏となった。
メンバー一丸となった集中の成果は素晴らしいものだった。これが本番でも良かったのでは? と思うほどに、崇高な音楽が天空に鳴り響いたのである。
その演奏時間は、なんと93分。
チェリビダッケにこそ及ばないものの、朝比奈先生をも超える重量級の演奏となったのだ。もちろん、遅ければよいというものではないが、些かも停滞することなく、愛知祝祭管のメンバーはこの崇高なる演奏を成し遂げたのだ。ブラヴィッシモ!!
などと書けば、「お前の自己満足だ」「ただの自画自賛だろう?」 と思われるかも知れないが、過去に何度もこの作品を演奏したことのあるメンバーも含め、
「今日のように無心で弾き通せたのははじめて」
「演奏時間は価値の全てではないけれど、今日の演奏は意味のある90分超えだった」
「弾きながら背筋が震えた」
「今日の3楽章、この世のものとは思えないくらい美しかったです。ウルウルでした。来週はステージで泣いてしまうかも。。。」などの言葉を頂くことができた。
さて、指定席の残りも僅かになってきているとのこと。
万一、迷われている方がいらっしゃるなら、自信を持って「どうぞ、お越しください」とお勧めしよう。それだけ桁外れの演奏会となりそうだ。
愛知祝祭管弦楽団 FBページ記事
日増しにマエストロのテンポは遅く。
しかし全く間伸びすることはなく、更に密度が上がって内蔵するエネルギーは倍以上。
「息を飲む空気感」「身動き取れない緊張感」
「天から舞い降りる幸福感」「抗えない興奮、そして感動」
聴いてる皆さんも心地よい消耗すること間違いなし。
凄いブルックナーになります。
存分にお楽しみください。
後悔させません。是非お越しを!
※事務局的には終演時間が心配になるほどです。。
でも前に20分撤収やってのけましたので大丈夫。音楽優先です!
(ES)
コンサートマスター 高橋広氏のコメント
愛知祝祭管のゲネプロ前最終練習にて、ブルックナー8番の通し練が終わりました。
偉大な本番演奏が終わった時に感じる充足感、成就感、虚脱感、寂寥感が綯(な)い交ぜになった気分を、早くも通し練で感じまくっております。
90分を越える、長さも深さも桁外れのブルックナー8番になりました。ブルクネリアンは勿論、クラシックを愛する方には何が何でも聴いて頂きたい演奏会です。
愛知芸文コンサートホールにて、10月26日13時30分開演です。