福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

愛知祝祭管 福島章恭ブルックナープロジェクト vol.1 反響 その1

2014-10-28 01:19:08 | コーラス、オーケストラ

コンサートホールはBrucknerの宇宙となった。。

普通ならすぐに感想を書くところですが、今回は筆舌に尽くしがたい衝撃だったというのが正直な感想です。

コンサートホールの2階から視覚的にも音響的にも俯瞰するような席から聴かせていただけたのもまた最高。

金管の咆哮、怒涛の弦の響き、そして天上のハープの調べ、もはや耳からではなく、体中から染み込んでくるような不思議な体験でした。

この演奏を生で聴けたことは最高の幸せ。いくら録音が良くてもこの演奏の感動は再現できないのではと思います(しかも普通のプレーヤーやスピーカーではなおさら)。

帰り際に妻が一言、
"また先生が遠くなったね"と言っていたのが、まさしく私と一緒の感想でもありました。

~富士ベートーヴェンコーラス団員 Sotto Voce氏

 

凄いブルックナー8番だった。

他の曲もやっているけれど、昨日の愛知祝祭管弦楽団の演奏会の感想はその一言に尽きます。

「ブルックナーを隅から隅まで味わい尽くす演奏にしよう」と指揮者の福島章恭先生の言葉。スコアに書かれた音符一つ一つを慈しんで演奏しようとしたらブルックナー8番を演奏するのに90分以上の時間がかかるのは必然なのだろうとすら思いました。

(通常より遅いテンポに、あれ以上遅くなったら死ぬとか言ってますが、演奏困難なだけで、音楽的には素晴らしいと思っているのですよ!)

曲中の客席は咳払いはおろか、物音一つしない静けさでありながら、音楽とともに次第に高揚していく、あの雰囲気は今までどんな演奏会でも感じたことはありません。

チューバ奏者として、その巨大な音楽の中にいるということに、この上ない喜びを感じ、噴出するアドレナリンを全て音にしてぶつけるように演奏しました。(そのせいかアンケートにチューバがやる気があってよかったって書かれたけど)

長い長い交響曲の終わりが近づき、熱狂が高まってくると終わってほしくない気もしてきて…それでも最後のCの音は渾身の力で吹ききると、昂揚感、達成感、陶酔感…などが入り乱れて、とても幸せな気持ちでした。

今回の演奏会は僕は代役で、本番約1か月前にお話を頂いた時は、非常に驚きました。曲目がブルックナーである以上、チューバの代役は人を選ぶだろう、というのは僕もチューバ奏者なので想像がつきます。

愛知県内から手配することも可能だったでしょうが、わざわざ隣県に住む僕を指名していただいたこと、その信頼には何としてでも応えねばなるまいと思い、受けさせていただきました。

そして福島先生と愛知祝祭管弦楽団のみなさんのこの演奏会にかける熱い熱い思いに触れるにつれ、みんなが笑顔で演奏会を終えられるようにしたいと思うようになりました。

そのために約1か月、必死で練習し、聴き手としては決して得意ではなかったブルックナーを一生懸命勉強しました。(結果、食わず嫌いだったとわかりましたが)

終演後、みなさんがよい笑顔でいてくれたので、僕の役割は無事に達成できたと思います。

演奏についても共演者や観客の方々からとても褒めていただきました。それら全部を書きたいところですが(笑)ひとつだけ紹介すると、ステマネの方に「このホールはチューバの音が分離して聴こえてしまいがちだけど、見事にブレンドされていた」と言っていただけました。昨年、このホールでオケを聴いたときにその傾向は感じていたので、かなり意識的にやったことで、それに気づいていただいたことが嬉しかったです。

とにかく、生涯に一度あるかないかの素晴らしい音楽体験をさせていただいて、愛知祝祭管弦楽団のみなさんには感謝しかありません。

~ 愛知祝祭管弦楽団 Tuba奏者 K.S氏