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■ 中伊豆(冷川)温泉 「ごぜんの湯」 〔 Pick Up温泉 〕



<中伊豆(冷川)温泉「ごぜんの湯」>(静岡県伊豆市(旧 中伊豆町)伊豆市冷川 1002、14:00~22:00(土日祝は11:00~)、月休、525円/2h、0558-83-0281)
オフィシャルHP

伊豆スカイライン冷川ICからほど近いところにある、温泉好きのあいだではメジャーなお湯。あたりはなんということもない山里ですが、たたずまいが妙に好ましげ。
「天然源泉温泉湯治宿」を謳っていて、安価で泊まれます。


【写真 上(左)】 入口
【写真 下(右)】 飲泉所の湯口

駐車場よこの泉源?のそばには飲泉所。蛇口は石膏の析出で見事にコーティングされています。
門をくぐって左手に古民家風の母屋。なかには囲炉裏や休憩スペースがあって、この手の雰囲気が好きなひとにはたまらんでしょう。
まっすぐいった奥の別棟に男女別の浴室。そばにはペット用の風呂もあります。
どこにあるのかわかりませんでしたが、貸し切り風呂(貸切料1,050円/h)もあります。


【写真 上(左)】 内湯
【写真 下(右)】 内湯の湯口

脱衣所、浴場ともにこぢんまり。
内湯は檜造2人(あつめ44℃)、露天は石枠鉄平石造7.8人(39~40℃くらい)。
狭いスペースに浴槽をめいっぱい配置しているので、トドになれる空間があまりありません。
日曜11時で6~8人も入り込んで盛況だったのにはびっくり。(女湯は空いてたらしい)
カラン2、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。

内湯は竹筒の湯口2本からの投入。露天は岩の湯だめから竹樋で引いての投入+数本のパイプからの投入(あついのとぬるいのがある)。
槽内注排湯はなぜかどちらもメモしわすれましたが、掲示によるとかけ流しです。


【写真 上(左)】 露天
【写真 下(右)】 露天の湯口

お湯はほぼ無色透明で露天には白い湯の花が出ていました。
露天のお湯はややなまり気味で内湯のほうが新鮮。ほこほことした石膏味におだやかな温泉臭。
とろみとキシキシがあってよくあたたまり、浴後肌に弾性がつく典型的な硫酸塩泉の浴感ですが、北毛あたりの硫酸塩泉にくらべるといまいち力感に欠けるような気もします。
箱根湯本や湯河原を濃くしたようなイメージかな。

料金も安いし、お湯もなかなか、のんびりした雰囲気も○なので、近くに行ったときには入りの一湯かと。

Na・Ca-硫酸塩温泉 63.2(63.6)℃、pH=8.3、湧出量不明、成分総計=1.115g/kg、Na^+=232.1mg/kg、Ca^2+=85.4、Fe^2+=1.8、Cl^-=59.6、SO_4^2-=583.9、メタけい酸=104.5 <H11.3.9分析> (源泉名:冷川温泉 冷川5号)

<温泉利用掲示> 加水:なし 加熱:なし 循環装置:なし 温泉水殺菌剤:使用しない

〔 2006年9月26日レポに加筆 〕
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■ 岩地温泉 「(温泉船)ダジュール岩地」 〔 Pick Up温泉 〕



<岩地温泉「(温泉船)ダジュール岩地」> (松崎町岩地、清掃17:00以降朝まで入浴不可、無料、0558-45-0116(岩地観光協会))
紹介HP

唐突ですが西伊豆です。
西伊豆の海岸沿いを走るR136。松崎町をすぎると断崖を縫うシーサイドラインとなり、がぜん雰囲気がでてきます。
ここから南には、三浦(さんぽ)地区と総称される岩地、石部、雲見の集落が点在し、魚料理のおいしい民宿エリアとして知られています。
それぞれ温泉と伊豆有数の個性的な無料露天をもっていてここもそのひとつ。

いちおう夏期メインの設置ですが、岩地観光協会HPによると10月下旬まで設置されているようです。
私が行った10月上旬もなみなみとお湯がはられていました。

岩地海水浴場の一角におかれた船に温泉がはられ無料開放されるもので、温泉船としては土肥の土肥温泉丸と双璧では?。
岩地の海岸沿いは海水浴場&漁港で無料Pがないし、道が狭いうえに行き止まりになるので不用意に入りこむと往生します。
で、R136沿いにある無料Pに停めるのがベターかと。
このPのよこに源泉櫓(おそらく三浦3号泉)もあります。


【写真 上(左)】 Pよこの温泉櫓
【写真 下(右)】 アプローチの階段

Pからは岩地海岸の全景がみおろせ、温泉船(ダジュール岩地)もしっかりみえます。
岩地の集落はベージュ色の屋根が印象的。「集落の建物はウコン色の屋根、アイボリーホワイトの壁で『東洋のコートダジュール』と呼ばれています。」(岩地観光協会HP)とのこと。
じつはナゾだった(^^;)「ダジュール岩地」のネーミングもここからきたものでしょう。


【写真 上(左)】 岩地海岸とダジュール岩地
【写真 下(右)】 カラフルな岩地の集落

Pから急な階段をおりていきます。さえぎるものがないので空中散歩をしているような気分のいいアプローチ。
おり切ってすぐ右手に公衆WC。ここは原則水着着用のようなので、混雑時以外はここで着替えるのもいいかも・・・。

WC脇からすぐ堤防沿いの道となり数十秒右手に歩いて堤防が切れたところに目ざす「ダジュール岩地」があらわれます。
砂浜のうえに据えられた船風呂は予想より大きなつくりで、海側の樹脂容器にもパイプから温泉が注がれていますが、たぶんこれは海水&砂落とし用だと思います。


【写真 上(左)】 ダジュール岩地
【写真 下(右)】 海側の小浴槽?

船にはぜんぜん詳しくないですが、おそらく漁船形式。ただ、船首に「D'Azur IWACHI」という銘板とマストに万国旗が掲げられているので、なんとなく洋風のイメージ。
あざやかな水色の船体に温泉がなみなみとたたえられています。


【写真 上(左)】 タラップ
【写真 下(右)】 湯口(左が温泉)

タラップをのぼって入浴します。
浴槽は3つに仕切られ、左舷の船尾側、陸側より引かれたパイプからゲキ熱源泉と湯温調整用の水が注がれています。
温泉の投入量は25L/min以上と多いですが、加水量もダイナミック(^^)。混合比は温泉60:水40くらいとみました。

船尾の船べりに寝そべると、目の前は入り江と海。頭上にはマストと万国旗。なんとも贅沢なシーサイド露天です。


【写真 上(左)】 オーシャンビュー
【写真 下(右)】 船首から船尾

10月上旬の連休の10時で独占~3人。ゆったりと入浴を楽しめました。
船尾槽は4-5人でやや熱め。中央槽は5-7人でややぬる。船首槽は5-7人でぬるめ。
温泉が注がれている船尾槽から仕切越しに船首方向にお湯を流し出し、さらに船首槽から樹脂容器に排湯しています。

わずかに懸濁したお湯にはうす茶の浮遊物が少量。強塩味微苦味で、塩味は雲見赤井浜や石部平六などより強いのでは?。
よわいながら磯の香。肌に食い入るような塩化土類食塩泉の湯ざわりと強いあたたまりがあり浴後はややぺとぺと、これだけ加水あってもかなりの濃度をキープしているように思いました。

みかたによっては”キワモノ”的な温泉施設ですが、想定外に力づよいお湯におののき。
好ロケで力のある温泉を楽しめるすぐれもののお湯だと思います。

浴槽のカベには「この温泉は三浦温泉様のご好意によりいただいております。(以下略)」とありましたが、これは三浦(さんぽ)地区に5本の稼働源泉をもち、温泉供給事業をおこなっている松崎三浦温泉(株)のことだと思われます。

分析書はみあたりませんでしたが、松崎三浦温泉(株)のHPに分析書の掲載がありましたので引用します。(この施設でつかっているものかどうかは不明。)

Ca・Na-塩化物温泉 56.0℃、pH=7.2、湧出量不明、成分総計=12.12g/kg、Na^+=2068mg/kg (43.31mval%)、Ca^2+=2285 (54.89)、Fe^2+=0.2、Cl^-=6866 (92.59)、SO4^2-=722.2 (7.19)、メタけい酸=51.9 <H12.3.10分析> (源泉名:三浦1号、三浦3号、三浦5号、赤井浜 混合貯湯槽(混合泉))

やはり高張性の塩化土類食塩泉。さすがに源泉から塩をとっているだけのことはあります。

〔 2008年11月4日レポ 〕(2008年10月入浴)
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■ 伊豆山温泉(走り湯) 「偕楽園」 〔 Pick Up温泉 〕

このところ本題それまくりで何のブログかわからなくなってきたので、心を入れ替えて(^^) 気に入りのやつ1湯いきます。



<伊豆山温泉(走り湯)「偕楽園」> (熱海市、14:00~20:00、1,050円(タオル付)、0557-80-2111)
オフィシャルHP

伊豆山温泉”走り湯”をつかう温泉旅館。走り湯は好みのお湯ですが、日帰りできる宿が少ないのと、ここは加えて独自源泉までもっているので前から狙っていました。
場所は走り湯や「うみのホテル中田屋」の上ですが、それらとはアプローチがちがい、1本湯河原寄りの小路(逢初橋北側)を海側に入って道なり。細くて段差の多い道なので大型車や車高の低い車は要注意。
旅館の前は少し開けていて、公園とその上に「浜浴場(共同浴場)」(みしゅらん)があります。Pの位置は宿泊客の状況によってふり充てるようなので、フロントに確認した方がベター。



海側からみるとかなり年季の入った建物ですが、玄関や浴場まわりは手がいれられていて綺麗。段階的にリニューアルされているような雰囲気。また、ここはスタッフの対応がとても親切できもちがいいです。

浴場はフロント右手奥の露天(男女交替制)、家族風呂(別料金)と左手階下の内湯(男女別)。露天も日帰り入浴可ですが、この日は女湯だったので連れが入りました。


【写真 上(左)】 露天風呂附属の内湯
【写真 下(右)】 露天風呂

脱衣所はこぶり。壁に貼られた使用3源泉の分析書(&湯づかい掲示)は圧巻。
相模湾を見渡す眺望絶佳の浴室に、扇形黒みかげ石枠伊豆石敷5.6人の浴槽がとなりあってふたつ。手前が「走り湯」(たぶん走り湯、第2走り湯の混合泉)、奥が自家源泉(伊豆山63号泉)使用の「逢初の湯」です。


【写真 上(左)】 男湯から相模湾の眺望
【写真 下(右)】 脱衣所からの男湯

浴場奥から「走り湯」のお社が見下ろせます。この位置関係からすると、男湯はほとんど走り湯泉源の直上に当たるのでは?。
カラン8、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。年始15時で2~5人とゆったり。あと、内湯の上には相模湾を一望できる休憩所もあります。


【写真 上(左)】 男湯のすぐ下が走り湯泉源
【写真 下(右)】 休憩所

ふたつの浴槽はともに石の湯口からかなりの量を投入、「逢初の湯」はやや熱め、「走り湯」はかなりの熱さです。

「走り湯」と「逢初の湯」は、おのおのお湯のイメージがちがいます。
「走り湯」は、緑茶色透明で白~うす茶の湯の花。走り湯特有の強苦味強鹹味とかすかな磯の香。掲示には”加水・循環”とありましたが、味は「浜浴場」の非加水熱湯槽とさほど変わらなかったので、加水はごく少量だろうと思います。走り湯らしい濃度感と強烈なほてり、塩化土類系のキシキシペトペトととろみがあります。

「逢初の湯」は、緑茶色透明(走り湯よりややうすい)で白~うす茶の湯の花。はっきりとした芒硝塩味と弱いながら独特な焦げ臭(炊きたてのご飯のような湿りをおびたもの)があります。硫酸塩泉系のキシキシととろみが楽しめる、なかなかにすぐれもののお湯です。


【写真 上(左)】 「走り湯」浴槽
【写真 下(右)】 「走り湯」浴槽の湯口


【写真 上(左)】 「逢初の湯」浴槽
【写真 下(右)】 「逢初の湯」浴槽の湯口

「逢初の湯」は成分こそうすめなものの、硫酸塩泉特有の温まりがあります。調子に乗って2槽連チャンしてると、土類食塩&硫酸塩のホテホテ&冷めない攻撃に晒されてヘロヘロカラカラになるので要注意(^^;)

「走り湯」は予想を上回る湯づかいで満足。自家源泉「逢初の湯」もかなりの良泉なので、料金はちと高めですが、ここはおすすめです。
その後、走り湯泉源を見に行きました。以前より炭酸発泡が増えているような感じがしたのは気のせいかな。


【写真 上(左)】 走り湯泉源の入口
【写真 下(右)】 走り湯泉源の湧出口

Ca・Na-塩化物温泉 68.8℃、pH=7.6、湧出量不明、総成分=12.31g/kg、Na^+=1389.0mg/kg 、Ca^2+=2946.0、Fe^2+=0.8、Cl^-=6869、SO_4^2-=865.4、メタけい酸=95.5、メタほう酸=11.3 <H16.2.27分析> (源泉名:伊豆山1号泉(走り湯))

Ca・Na-塩化物温泉 71.6℃、pH=7.8、湧出量不明、総成分=10.18g/kg、Na^+=1098mg/kg 、Ca^2+=2525.0、Fe^2+=1.1、Cl^-=5524、SO_4^2-=814.2、メタけい酸=96.6、メタほう酸=11.4 <H16.2.27分析> (源泉名:伊豆山78号泉(第2走り湯))

Na・Ca-硫酸塩・塩化物温泉 70.3℃、pH=8.3、湧出量不明、総成分=1.726g/kg、Na^+=237.5mg/kg 、Ca^2+=242.6、Fe^2+=0.1、Cl^-=238.5、SO_4^2-=820.2、メタけい酸=94.4、メタほう酸=10.8 <H16.2.27分析> (源泉名:伊豆山63号泉)

<温泉利用掲示>(男子浴槽) 加水:有 加温:無 循環:有・濾過:無 消毒:無

〔 2007年2月11日レポ 〕
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■ 伊東温泉 「いな葉」 〔 Pick Up温泉 〕



発売中の自遊人6月号別冊「温泉図鑑」を読んでいたら、伊東の「いな葉」が「6/3に宿をいったん閉めることになった」(同誌)という記事がありびっくり。(いまのところ引き受け手を探したうえで再開の方向で考えているらしい。)
以前、「東海館」に入湯したとき、「東海館」に比肩する「いな葉」のたたずまいに惹かれ、しかも独自源泉かけ流しということで狙っていましたが、この正月に2泊してきました。そのときのレポです。

なお、その後、B&B施設「ケイズハウス伊東温泉」として再開しています。

<伊東温泉「いな葉」>(静岡県伊東市、11:00~16:00(月・金13:00~)、1,000円、0557-37-3178)
オフィシャルHP
もうひとつのHP
「東海館」とともに大正~昭和初期の和風木造建築を今に伝える松川沿いの老舗旅館。
大正から昭和初期にかけて、伊東温泉(→ 温泉地巡り)の中心であった松川沿いには、「松川館」「大東館」「東海館」などの木造の旅館があいついで建築されました。「いな葉」 は、大正末期に当時炭屋を営んでいた稲葉惣次郎氏により「大東館」として建てられたものとみられます。(同館HPより)その後、数度にわたる増改築を経て、昭和23年4月より「いな葉」として営業をはじめ、現在に至っています。なお、「東海館」は平成9年に廃業、現在は観光・入浴施設に転換、「松川館」はすでに取り壊されています。




唐破風の玄関、欅材の磨き上げられた廊下、水まわりのタイル細工、精緻な欄間彫刻、意匠を凝らした照明、狭く急な階段をのぼってたどりつく望楼(見晴台)など、いまつくったらいったいいくらかかるかわからない(というかつくれない?)和風建築の粋が各所にみられます。松川沿いに配された各部屋の風情もしっとりとおちついて、松川で遊ぶかもめや対岸の柳並木が一幅の絵のようです。
ちなみにこの建物は平成10年3月、国の登録有形文化財に指定されています。

すばらしいのは建築だけではありません。お湯もそうですが、おどろいたのは料理のレベルの高さ。今回は両親、姉貴夫婦と泊まりましたが、往年の社用族で舌の肥えた父親やグルメ派の姉貴が思わず唸るほどの味でした。しっかりとした素材のうえで腕ききの板前さんが縦横無尽に腕を振るっているようなすさまじく技量を感じるもので、最近のデザイナーズ旅館で主流のフュージョン(食文化融合)やキュイジーヌは微塵も感じられない筋の通った正統派日本料理です。これだけの食材と板前さんを確保するのは新興の温泉宿ではまず無理では?。
食事はふつうは部屋か料亭「芳味亭」でいただくようですが、今回は大人数だったためか贅沢にも大広間貸切りで用意していただけました。
この大広間もすばらしいもので、市松貼りの天井に、楠材の欄間は彫師・森田東光氏作です。



客筋がよく、満室だったのに館内は静か。大浴場の洗い場など、どの客もみな椅子や湯桶を片づけていくので、常に整然としていたのには感心しました。
接客もつかずはなれずの練れたもので、くつろいだ時間を過ごせました。

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さて、本題の温泉です。
「いな葉」には、1階大浴場男湯(分福茶釜の湯)、女湯、2階と3階に家族風呂の4ヶ所の浴場があります。他に松川の対岸に温泉プールがあるようですが、冬場につき閉鎖されていました。大浴場の男湯と女湯の時間交替はなし(正月だったからかも?)

<1階大浴場男湯(分福茶釜の湯)>
1階脱衣所から階段を下った半地下にある、小ぶりながら総大理石貼りの質感高いメイン浴場。
木枠大理石造5-6人の浴槽に分福茶釜の湯口からやや熱めの源泉が湯量を変えてリズミカルに注ぎ込まれています。この分福茶釜の表情がなんともいえず独特なもので、その口からざあざあと源泉が吐き出される浴室は不思議な雰囲気があります。湯口よこには飲泉用の竹筒がおいてあります。
槽内注排湯はなく全量をざこざこにオーバーフローのかけ流し。潤沢なかけ流し量は申し訳ないほど。カラン4位、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。




<1階大浴場女湯>
分福茶釜の湯よりやや小ぶりで総大理石造。狸の湯口から投入で槽内注排湯はなく全量をざこざこにオーバーフローのかけ流し。

ふたつの家族風呂は予約制ではなく、空いているときにはいつでも入れます。
正月だったからか昼間もお湯が湛えられ、何度か入りました。

<2階家族風呂>
狭いながら二面採光の明るい浴室に、木枠簀の子底壁面タイル貼扇形1-2人の浴槽。木の湯口から少量投入で槽内注排湯はなくしずかにオーバーフローするかけ流し。



<3階家族風呂>
狭いながら二面採光の明るい浴室に、タイル貼扇形1-2人の浴槽。壁からつき出たカラン+ホースからの注入で、槽内注排湯はなくオーバーフローのかけ流し。



お湯は4槽ともほぼ同じと思われます。ただ、分福茶釜の湯のみ夕方の集中時に少量の白い湯の花が出ていました。無色透明でやや熱めのお湯は、はっきりとした芒硝味+微苦味+僅微塩味、石膏臭に仄かな芒硝臭のまじるやさしい湯の香。硫酸塩と土類のきしきしにかすかなヌルすべととろみが加わります。肌に染み渡るような浴感と適度な濃度感のある入り応えのあるお湯で、よく温まりますが、さほどほてらない上質なイメージをもつすばらしいお湯です。

うすさの風合いを味わうような伊東スタンダードのお湯ではなく、伊東をベースにしながら、熱海の上宿や宇佐美のニュアンスを足し込んだイメージのお湯に思えました。
じっさい、共同浴場をいくつか入ったあと「いな葉」のお湯に入ってみましたが、浴感はあきらかに違いました。成分総計=2.676g/kgは伊東のなかでも屈指の濃度と思われます。

それにしても1階食事処や浴室、各部屋の随所もきれいにリニューアルされていたので、まさかこのような事態になるとは予想だにしませんでした。
「伊東の財産」ともいえるこのすばらしい老舗旅館が一日も早く再開されることを祈っています。

Ca・Na-塩化物・硫酸塩温泉 51.4℃、pH=7.9、119L/min動力揚湯、成分総計=2.676g/kg、Na^+=479.7mg/kg (46.78mval%)、Ca^2+=431.7 (48.29)、Cl^-=1217 (78.41)、SO_4^2-=435.2 (20.69)、陽イオン計=942.6 (44.61mval)、陰イオン計=1676 (43.78mval)、メタけい酸=52.2 <H17.8.18分析> (源泉名:岡84号)

※HPによると「天然温泉で当館は源泉を4本所有しております。お風呂はかけ流しの湯(どんどん湧き出しているので常時きれいな湯)です。湧出量は毎分100リットルでタヌキより勢いよく源泉が出ています。文福茶釜の湯には2本の源泉54度と源泉37度の湯を混ぜて風呂温度を41度にしています。」とのこと。
すぐとなりの「東海館」とお湯のイメージがぜんぜんちがうのも、伊東温泉の底力だと思います。

〔 2007年5月4日レポ 〕
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