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関東温泉紀行 / 関東御朱印紀行
■ 渋温泉 「九番湯(結願湯) 渋大湯」



住 所 :長野県下高井郡山ノ内町平穏
電 話 :0269-33-2921 (渋温泉旅館組合)
時 間 :6:00~22:00 (渋温泉の宿の宿泊者のみ可)
※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。
〔現地掲示より〕
渋温泉を代表する天下の名湯で、高僧行基により発見された霊泉です。巡浴祈願の最後に入浴し、それから薬師庵に登り薬師如来に心を込めてお参りしていただきます。万病に効くと云われておりますが、特に神経痛・リウマチ等に効く事で有名です。
また、源泉(地下にあります)の湯気を利用した蒸し風呂もお楽しみいただけます。屋上には同じ源泉の足湯もございます。
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【写真 上(左)】 男湯入口
【写真 下(右)】 女湯入口
ついに九番結願湯「渋大湯」です。
名実ともに渋を代表する外湯で、渋温泉の中心にどっしりと腰を据えています。
渋高薬師参道の対面に祀られる和合道祖神と足湯「のふとまる」をはさんで上手が男湯、下手が女湯です。
湯屋をはさんで男女湯の入口がべつべつになっているのは渋の外湯ではここだけです。
ただ、浴場は上部開放の仕切り板で距てられているだけなので声はとおります。
仕切り越しに連れ合いと湯上がりのタイミングをやりとりしている様など、いかにも湯場らしい風情があります。


【写真 上(左)】 のぼり
【写真 下(右)】 暖簾
なんといっても人気のお湯で、いつも賑わいをみせています。
外湯めぐりをはなかばあきらめている宿泊客もさすがにここだけは入るらしく、とくに週末の夕方など相当に混みあいます。
また、結願湯を泊まりの翌朝に持ち越す客も多いようで、朝もけっこう混んでいます。
狙い目は泊まり客がチェックアウトする10時から昼くらいまでかな・・・。
泊まり客夕食中の19時くらいも意外に空いています。


【写真 上(左)】 案内板
【写真 下(右)】 結願湯です
湯屋に向けて下っていくつくりもここだけのもの。これは地下に源泉があり、それに湯屋のグランドレベルをあわせたためでしょう。


【写真 下(右)】 外壁に掲げられた川柳
【写真 下(右)】 脱衣所
わりあいに広い脱衣所はさすがに大湯らしいもの。
脱衣所脇に地下の源泉の余熱を利用した「不老長寿蒸し風呂」がありますが、じっくり入ったことがないので(^^;)、コメントは省略。


【写真 上(左)】 蒸し風呂
【写真 下(右)】 浴場
浴場も九湯中もっとも広いものですが、半地下にあるためかいささか採光がよわくやや暗め。
湯気抜きも大がかりではなく、客の出入りの激しい時間はややこもり気味に。


【写真 上(左)】 湯気抜き
【写真 下(右)】 夜の浴場
総木づくり(男女湯の仕切り壁はガラスブロック)の浴場に木づくりの湯船はさすがに大湯らしい風格を備えています。
湯船は、おくに熱湯槽4人、手前に適温槽4-5人のふたつがとなりあってお湯の行き来があります。(源泉をおくの熱湯槽に注いで、木板の下から適温槽に流し込んでいる。)
湯温はタイミングにより変化しますが、手前の方が常にぬるめです。


【写真 上(左)】 おくの熱湯槽
【写真 下(右)】 手前の適温槽
木の湯槽から引かれた木樋の湯口から相当量の源泉を投入でオーバーフローのかけ流し。
お湯の投入は熱湯槽サイドだけとみられ、鮮度感は熱湯槽のほうが高いです。
両槽の境に冷水カランがありますが、ふつう常識的な湯温に保たれているので、出されていることはあまりありません。
お湯は、タイミングにより若干のイメージのちがいはありますがだいたいこんなところです。
緑色を帯びた茶褐色透明度50cmほどのにごり湯で、にごりは九湯のなかでもっともつよいもの。
状態がいいと透明度と緑色度が上がり、状態がよくないと赤味がつよまり金サビ気を帯びたまたーりとしたお湯になります。
2012年入湯時は混雑時でも以前より状態がよかったような気がするので、お湯の投入量を増やしているかもしれません。


【写真 上(左)】 湯口
【写真 下(右)】 湯色&湯口
芒硝味をベースとした金気だし味、金気貝汁臭+焦げ臭。
硫酸塩のきしきしと金気のぎしぎしとメタけい酸のとろみと弱酸性系の染み入り感が入り混じる複雑な湯ざわり。
湯色からすると重炭酸土類泉的なイメージがありますが、重炭酸土類泉特有の重厚なあたたまり感はなく、すっきりと熱が抜けていくような感覚があってあまりほてりません。
このあたりは低pH(=弱酸性)がきいているような気がしますがどうでしょうか・・・。
輪郭のくっきりとしたいかにも温泉らしい浴感で、「ここのお湯いいね~。ほんと温泉ってゆ~感じ」という温泉女子(笑)の声を仕切り越しに何度かきいたことがあります。
分析スペック上、イオウ系成分はあらわれていませんが、明瞭な焦げ臭からするとイオウ分がでていると思います。
弱酸性、金気、イオウ、硫酸塩、土類(Ca)と、渋の特徴を総ざらえするようなイメージのお湯はさすがに〆の結願湯。


【写真 上(左)】 緑がかった好調時の湯色
【写真 下(右)】 夜の大湯まわり
渋温泉公式HPによると「古くから湯治場として賑わったこの温泉地のシンボル『大湯』の直下にこの源泉はあります。地下にもぐるとそこにはたたみ四畳ほどの四角く掘られた大穴で、湧き出したお湯が満々と溜まっています。」とあり、この浴場が泉源の真上に位置していることがわかります。
圧倒的なお湯の質感もそれによるところ大かと・・・。
渋温泉を代表する人気絶大なお湯で、マニア的心情からすると注文のひとつもつけたくなるところですが(笑)、圧倒的なお湯の存在感のまえに素直に感服している自分に気づきます。
「どれか一湯!」と問われたら、やはり渋大湯を推してしまうのだと思います。
それにしても七番「七操の湯」から九番結願「渋大湯」と終盤に向けて一気に盛り上げてくる心憎い仕掛けは、さすがに外湯めぐりの王者の貫禄。
後半のお湯のインパクトの強さに前半のお湯の記憶が飛んでしまい、またぞろ湯めぐり目的で泊まってしまうという、温泉マニアにとっては蟻地獄的な温泉地であります。
※2012年9月現在掲示
〔 源泉名:渋大湯 〕 <H17.12.22分析>
Na・Ca-硫酸塩・塩化物温泉 59.6℃、pH=4.5、湧出量記載なし、総計=1263mg/kg
Na^+=227.0mg/kg (58.29mval%)、Ca^2+=112.1 (33.02)、Al^3+=1.1、Fe^2+=4.2
Cl^-=280.4 (47.71)、SO_4^2-=409.4 (51.39)、HCO_3^-==2.4、HS^-=記載なし
陽イオン計=373.2 (16.93mval)、陰イオン計=697.3 (16.58mval)、メタけい酸=136.4、メタほう酸=36.1、遊離炭酸=20.1、硫化水素=記載なし
<温泉利用掲示>
加水:なし 加温:なし 源泉かけ流し(放流式) 消毒:殺菌剤は入れてません
〔 2012/10/21UP (2002/11・2009/01・2012/09入湯) 〕
E138.26.10.460N36.43.53.309
〔 INDEX 〕
■ 渋温泉 (プロローグ)
■ 渋温泉 「一番湯 初湯」
■ 渋温泉 「二番湯 笹の湯」
■ 渋温泉 「三番湯 綿の湯」
■ 渋温泉 「四番湯 竹の湯」
■ 渋温泉 「五番湯 松の湯」
■ 渋温泉 「六番湯 目洗の湯」
■ 渋温泉 「七番湯 七操の湯」
■ 渋温泉 「八番湯 神明滝の湯」
■ 渋温泉 「九番湯(結願湯) 渋大湯」
■ 渋温泉 「高薬師」
■ 渋温泉 「番外薬湯 信玄竈風呂」 (エピローグ)
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