goo

「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」展

上野の東京国立博物館の特別展「国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅」(2019年3月26日(火) ~ 6月2日(日))に行ってきました。
平日だったこともあり、予想したほどの混雑はなく、楽しめました。

 

お大師様の足跡がたどれる丁寧な展開は好感がもてました。

後七日御修法がひとつのテーマになっていて、丁寧に説明されていた。
今回の改元にあたり、宮中と仏教の関係をとりあげた番組は結構あったけど、後七日御修法にふれていたものは意外に少なかった。
代表的な例だと思うのですが・・・。


前半部分では、
風信帖(ふうしんじょう)をまじかで目にできるとは、感無量です。
曼荼羅では、「種子曼荼羅」が地味ながらよかった。
それと、関東ではおそらく修することが許されなかったであろう大法関連の図像や別尊曼荼羅など。
さらに、表層が剥げて、いかにも「使われてきた感」のある巨大な敷曼荼羅。

後半の仏像系では、まず五大虚空蔵菩薩坐像。
獅子や象や孔雀の上に座していますが、文殊尊でも、普賢尊でも、孔雀明王でもなく、虚空蔵菩薩です。
こういう構成は関東ではほとんど目にすることはなく、インパクト大。
ただし、これに似た構成の五智如来はたしか板橋の安養院で見たことがある。(中央-大日如来(獅子)、東-阿閦如来(象)、南-宝生如来(馬)、西-阿弥陀如来(孔雀)、北-不空成就如来(迦楼羅))


メインの立体(羯磨)曼荼羅。
売りの”イケメン帝釈天”はやはりイケメンだと思う。それと象さんの存在感が凄かった。(この仏像のみ撮影可)
五(四)大明王では降三世明王が圧巻。背面の1面は東寺でも拝めないのでは?
五菩薩は、これも(関東では)なかなかお目にかかれないので貴重。

ただ、気になった点もありました。
立体曼荼羅なので、当然中心佛(大日如来や不動明王)が中心に位置しますが、こちらの出品がなく壁面に離れてつけたし的に掲出されていたこと。
やはり、東寺で見るのとは違うイメージになっていました。
でも、大日如来と不動明王は画像ながらも強いインパクトを放っていた。さすがに中心佛。
この2尊の実物が加わっていればさらに凄いことになっていたと思うが、さすがに中心佛は遷座できないのかも。

それと立体曼荼羅エリアの説明がお粗末。
たとえば、「五智如来の尊格のちがいは印相や持物でしか判断できない」と説明しながら、その印相や持物のしっかりとした説明がないなど。
曼荼羅にしても、これだけ大々的に出品しているのだから、大曼荼羅、三昧耶曼荼羅、法(種子)曼荼羅のわかりやすい説明があれば、ギャラリーの見方も変わるのでは?

でもでも、こういう素晴らしい宝物が東京でみられるとはありがたい。
仏像展は人気が高いようなので、次なる展開に期待したいところです。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )