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■ ザ・カセットテープ・ミュージック(前編)

2021/01/10 UP

本日放送の #80「よくわかるペンタトニック講習会」、面白かった。

ペンタトニック(スケール)とは、C音トニックの場合「ドレミファソラシ(CDEFGAB)」の内から4度「ファ(F)」と7度「シ(B)」を抜いた「ドレミソラ(CDEGA)」のみでつくられるスケール。
5音のみで構成されるので「5音音階」とも。4度(ヨ)と7度(ナ)を抜くので「ヨナ抜き音階」とも。
親しみやすく平易なスケールで、日本に限らず世界各地の民謡や童謡に使われているもの。
(「ド」がトニックだとメジャーペンタ、「ラ」がトニックだとマイナーペンタ。)

これに対して西洋音楽は「7音音階」で、ポピュラー系ではセブンスコードが代表格。
響きが複雑になり、とくにメジャー・セブンスをベースにし、Sus4コード、エー・マイナー・メジャー・セブンス(クリシェ)などを加えるとシティポップ的なお洒落感が出るといわれている。
(だからペンタのイメージ的な対極はメジャー・セブンスだと思う。)

「ヨナ抜き音階とは?」

■ ベルベット・イースター - 荒井由実 【COVER】 ← 典型的な初期ユーミン曲(セブンス)
コード


■ 春よ、来い - 松任谷由実  ← ヨナ抜き音階(=ペンタ)?
コード

「春よ、来い」をはじめて聴いたとき強い違和感を感じた。
その一方で、ユーミンはこの曲で新たなファン層を掴んだといわれる。
その理由がわかる気がする。


〔 演歌じゃない演歌? 〕
■ 千曲川 - 五木ひろし

3拍子のペンタ。
ものすごいスケール感だけど、歌のうまさがシビアに問われそう。
やっぱりこれ演歌じゃないわ(笑)

〔 メロはペンタだけどあとは違う例 〕
■ YELLOW MAGIC CARNIVAL - MANNA(作・細野晴臣)

チャイナ風なペンタのメロだけど、リズムはアップビートだし、マイケル・マクドナルド風のキーボードリフも・・・。
う~ん、なにこれ(笑)
さすがに才人、細野晴臣。

それと、若手ペンタトニッカー(笑)
たしかに2015年以降、ペンタトニッカーが増殖している感じがする。

思い返してみると、
~1970年代前半  ペンタの時代
1970年代前半~中盤  ペンタとセブンスの拮抗時代
1970年代中盤~1980年代中盤  セブンス優位の時代
1980年代中盤~2014年  J-POP 進行(小室進行含む)の時代
2015年~  ペンタ回帰の時代
↑ こんなイメージがある。

世界的にみても1980年代中盤からは、王道進行(=J-POP 進行)やユーロビート進行の曲がやたらに増えた気がする。
ブレイクビーツや4つ打ちリズムはこれらのスケール(コード)と相性がいいから・・・。
だから、ペンタや王道進行、ユーロビート進行の氾濫に食傷した人たちが、国籍を問わず(メジャー)セブンスの宝庫「シティポップ」になだれ込んだのでは?

それと ↓ に書いた、このところの「コード進行ブーム」?も、ペンタからのエスケープ志向のあらわれでは?

1980年代中盤~2014年  J-POP 進行(小室進行含む)の時代
2015年~  ペンタ回帰の時代
2020年~  ペンタからの脱却の時代??(シティポップ人気、コード進行ブームやヒゲダン・ワンオクの人気)

にしても、マキタスポーツ氏のコメント、あいかわらず鋭い。

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2020/12/27 UP

本日も「ザ・カセットテープ・ミュージック」視てみました。

番組後半でマキタスポーツ氏が「Just the Two of Us進行」(丸サ進行、ジゴロ進行)を「勾玉進行」と称してスージー鈴木氏とJamってた。
いろいろ出てきたけど、やっぱり原曲(↓)がベストかな(笑)
Grover Washington Jr. - Just the Two of Us (feat. Bill Withers) (Official Audio)

※ はじめて聴いたとき、サックスとスティールパンの取り合わせにのけぞった記憶あり。


コード進行、たしかに大きなポイントだと思う。とくに循環コード。
いろいろあります。

Chord 1  スリーコード  C F G
Chord 2  J-POP 進行(王道進行)  F G7 Em Am
Chord 3  小室哲哉進行  Am F G C
Chord 4  小室哲哉進行(マイナー編)  Am Dm G Am
Chord 5  My Revolution 進行  C Am F G7
Chord 6  ユーロビート進行  F G Am Am
Chord 7  イチロクニーゴー  C Am Dm G7
Chord 8  期待感・増幅進行  Am Em F G7
Chord 9  カノン進行  C G Am Em F C F G
(出所:「コード進行に注目した J-POP 音楽の可視化」芸術科学会論文誌 Vol. 15, No. 4, pp. 177-184 (2016) 上原美咲 伊藤貴之 高塚正浩)→ こちら(PDF)
※ 孫引きでした。原典はおそらく→ こちら(コード進行マスター)。← 凄いサイトです。

たとえば・・・

■ 小室進行100曲メドレー作ってみた。 【同じコード進行の曲】

Am F G Cの循環コード。
カノン進行とSAW(未練)進行(F G(7) Em Am)の中間的なイメージかな。
日本人の情感に心地よく訴える進行だと思う。
たしかにオフコースは小室進行あった。

■ カノン進行が使われているJ-POP30曲メドレー

3:47~ クリスマス・イブ
5:06~ 糸
↑ この2曲がカノンコードとり入れてるのはけっこう有名な話だけど、ほかにもいろいろあるわな。

クリスマス・イブのコード → (こちら)
Original KeyはAだけど、Cに移調すると途中のコーラスパートで見事なカノンコード
C G Am(7) Em(7) F C F(Dm7) G
がでてくる。

■ 山下達郎 - クリスマスイブ

1:56~のコーラス。 

他の曲もOriginal KeyがCでないものがほとんどだけど、Cに移調(べつにCじゃなくてもいいが)してテンションや分数コード外し、BPM揃えて放り込むと無限ループが成立!
コード進行に著作権はない(と思う)から、この戦略はたしかに使えるかも・・・。
これからまだまだ増えていくのでは?

〔 追記 〕
たしかに「カノン進行は禁断の果実」かも・・・。(→ 元ネタ 「『カノン進行は禁断の果実』の嘘」

■ 愛は勝つ


・カノン進行を使うと一発屋になりやすい。
・カノン進行を使った曲が、そのミュージシャンの代表曲になりやすい。

↑ どちらが正解かわからないけど、それだけの大きなパワーをもつコード進行なんだと思います。

■ 守ってあげたい - 松任谷由実

コード
So you don't have to worry worry 守っ てあ げた い
C G Am C F C Dm Gsus4 G
あなた を 苦し める 全て のこ とから
C G Am C F C Dm
↑ サビにしっかりカノンがいる。

■ However - GLAY

↑ これもサビの一部カノン進行? 

カノン進行は、コード8個も使った強力な(縛りの強い)進行。
人はどんなに才能があっても一定のメロディパターンに頼りがちなりで、2曲目のカノン曲はどうしても「二匹目のドジョウ」になりやすく、だから「禁断の果実」とか「悪魔の作曲法」などと呼ばれるのだと思う。

〔 さらに追記 〕
「シティポップ進行」もぜったいある筈と思ったら、やっばりあった。
(すんません、トーシロなんでぜんぜん知らなかった(笑))

トゥ・ファイブ・ワン・シックス(Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ-Ⅵ)進行。

Dm7 G7sus4 Cmaj7 Am7の(循環)コード進行。
やっぱり、メジャーセブンス系のドミナントモーション絡みか・・・。
このリリース、お洒落だもんね(笑)

「イチロクニーゴー」と「トゥ・ファイブ・ワン・シックス」の関係について、即席でおべんきょしました。→ (コード進行 ケーデンスと循環コード、トゥーファイブ
代理コードをつかったドミナントモーションがポイントなのか・・・。(→ 代理コード
でも、結局はどれだけテンションかけて、どうやってトニックにリリース(解決)するかがキモでは?

それと、バックドアドミナント進行。これはぜったいあると思う。↓ むずかしすぎて理論はよくわからんけど、裏口入学(笑)



■ I LOVE... - Official髭男dism [Official Live Video]

・トゥ・ファイブ・ワン・(シックス)進行
・Just the Two of Us進行
サブドミナントマイナー
ドミナントセブンス・スケール
・sus4コード
(ベース)ラインクリシェ
パッシング・ディミニッシュ

音の質感はシティポップとは違うけど、テンションとリリースのバランス(ドミナントモーション)が絶妙。
シティポップ世代(50歳代)の評価が高い理由がわかる気がする。(→ コード進行の解説

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2020/12/21 UP

さっきまで視てた(途中からだけど)BS12 トゥエルビ「ザ・カセットテープ・ミュージック」(第64回「ディスコ/ダンスミュージック特集」)、すごく面白かった。

スージー鈴木氏(音楽評論家)の知識もそうだけど、マキタスポーツ氏の蘊蓄がさりげに凄い。
どうしてディスコ・ミュージックが1990年に向けてあれだけ変わっていったのか、思いあたることがいくつもあって目からウロコ状態。
マキタスポーツ氏が「またやりたい。」っていってたので、期待して待ってます。
「おうちで踊ろう!」(笑)

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具体的にいきます。(★は番組で紹介してた曲)

〔変化前/1970年代後半~1980年代前半〕

■ The Hustle - Van McCoy and the Soul City Symphony(1975)


■ Got To Be Real - Cheryl Lynn(1978)


■ The Soul Train Dancers 1980 (ConFunkShun - Got To Be Enough)


■ What Cha' Gonna Do For Me - Chaka Khan(1980)

しょっぱなのフィルインがかったドラムスの入り方、ムチャクチャ格好いいんですけど・・・。

■ On The Beat - B.B. & Q. Band(1981)


■ Never Too Much - Luther Vandross(1981)

ドラムスとベースの振る舞い、ムチャクチャ格好いいんですけど・・・。

■ "43" - Level 42, Live Bochum 1983

英国ファンカ・ラティーナ[funka latina]のグルーヴ!
ばりばりのチョッパー・ベース。

■ Rocket To Your Heart (Hot Tracks Remix) - Lisa(1983)

San FranciscoのHi-NRG(ハイエナジー)レーベル、Moby Dickからのリリース。
↓ 変化後の「ユーロビート」系と聴きくらべると、「ハイエナジー」との質感の違いがよくわかる。

★ Private Eyes - Daryl Hall & John Oates (1981)

↑マキタスポーツ氏が「でも、これ(Private Eyes)、4つ打ちなんですよ、ほら」と言っていた。
このあたりまでの曲はアップビート(裏拍)か、4つ打ちでも1拍、3拍クローズの「裏打ち」だったと思う。
それにシンコペやリフがふつうに入って、グルーヴが乗っていた。

■ Holiday Rap - Madonna vs MC Miker G and DJ Sven

Madonna + Rapだけど変化前だと思う。

だから、邦楽でもこんなことができた。
★ ソウルこれっきりですか - マイナー・チューニング・バンド(1976)

う~ん、オサレですねぇ(笑) これオリコン2位までいった。

それに、ドリフだって・・・。
★ ドリフの早口ことば - ザ・ドリフターズ(1981)

ドリフ視ながら、お子様たちがR&Bのリズムを叩き込まれてる(笑)

〔変化中/1980年代中盤〕

■ Break Me Into Little Pieces - HOT GOSSIP (Extended Mix)(1984)

個人的にはハイエナジー(Hi-NRG)からユーロビート(Eurobeat)への過渡期を画した曲だと思う。

■ Color My Love - Fun Fun(1984)

これって、ハイエナジー(Hi-NRG)じゃないよね・・・。

■ A Girl in Trouble (Is a Temporary Thing) - Romeo Void(1984)

これまでとは明らかに違うビート。個人的にはリバーブ聴いたリズムやメロ嫌いじゃなかったけど。
この頃はまだ、エレクトロポップやニューロマンティックスの流れか? と思っていた。 

★ Tarzan Boy - Baltimora(1985)

なんなんだろう、このリズム・・・。跳ねてそうで跳ねてないし。

★ Breakout - Swing Out Sister(1986)

ぜったい変わってきてるよね。

■ Give Me Up - Michael Fortunati(1987)

メロはまだわかるとしても、リズムが・・・。

〔変化後/1986年~〕

■ Venus - Bananarama(1986)


★ Together Forever - Rick Astley(1987)


★ Toy Boy - Sinitta(1988)


★ Turn It Into Love - Kylie Minogue(1988)

はい、きました。
ストック・エイトキン・ウォーターマン (Stock Aitken Waterman/SAW)、大活躍!

パッパカ、パッパカという馬乗りビート(4つ打ち表拍だと思う)とベタメロディ。
ジュリアナサウンドの完成です(笑)
それに、どんどん歌謡曲に近くなってきている。

ほらね、この F → G(7) → Em → Amのお約束ベタメロディって、↑ でJ-POP 進行(王道進行) / Chord 2って呼ばれてるじゃん。
(「J-POP 進行」というより、むしろ「歌謡曲進行」だと思うが。)

■ 愛が止まらない - WINK(1988)


■ Gimme! Gimme! Gimme! - ABBA(1979)

でね、洋楽でいうと何に近いかっていうと、じつは1970年代のミュンヘンサウンドなのよね~。
ABBAとか、Arabesqueとか、Boney Mとか・・・。
だから日本で人気が出て当然か・・・。

実際、日本ではハイエナジー(Hi-NRG)よりもユーロビート(Eurobeat)の方がブレークしたと思う。


マキタスポーツ氏が「未練進行」と指摘してたけど、F → G(7) → Em → Amのお約束ベタメロディって、どれ聴いても同じ感。
で、この頃からメジャー系の洋楽はほとんど聴かなくなった。

欧米ではその後”SAWサウンド”は下火になったけど、日本ではパラパラや小室サウンドが継承していまなお残っている。
4つ打ち表拍とベタメロディは、もともと日本人の大好物だから当然か・・・。
ある種の先祖返りともいえるかも・・・。

そうなると、シティポップ(四和音(セブンス・コード)系/裏拍)が一世を風靡した1970年代後半~1980年代前半は、日本人にとっては異質な時代で、4つ打ち表拍とベタメロディが闊歩するいまの状況が本来の姿なのかもしれぬ・・・。

■ Last Summer Whisper - 杏里 / 角松敏生作曲(1982) ※典型的なシティポップ

↑ の「Turn It Into Love」と聴き比べて、どっちが洋楽って・・・(笑)

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関ジャムでも指摘していたけど、このところコード進行解説ブーム?
たとえば、「Just the Two of Us進行」(丸サ進行、ジゴロ進行)

■ Just the Two of Us (feat. Bill Withers) - Grover Washington Jr.(1981)


■ 愛を伝えたいだとか - あいみょん


リズム進行は似ていても、音の質感がぜんぜん違う。
たしかにこういう聴き比べも面白いかも。

■ ザ・カセットテープ・ミュージック(後編)へつづく。
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■ ザ・カセットテープ・ミュージック(後編)

■ ザ・カセットテープ・ミュージック(前編)から。


なぜかアクセスが増えているので、リンクつなぎなおしてリニューアルUPしました。
(字数制限にかかったので2つに分割しました。)

追記を繰り返して、とりとめのない記事になってるけど、筆者のいいたいことはかなり盛り込んでいると思う。

この番組、復活してますわね。↓
公式Web
NHKの「SONGS」、ほんとうにマキタスポーツ&スージー鈴木の司会でまわしてほしい。


■ Ride On Time - 山下 達郎

「いい音しか残れない」(日立マクセルUD)
↑ 至言だと思う。

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2021/09/20 UP

昨日、第1回目の再放送を流してました。
テーマは初期のサザン。
2人のやりとりがキレっキレで、めちゃくちゃ面白い。
第1回目から「はっぴいえんど中心史観」に異論を唱えてる(笑)
個人的には第1回目からすべて再放送してほしい。

記念すべき1曲目
■ C調言葉にご用心 - サザンオールスターズ


ラストにjfn 「memories&discoveries」で放送決定と出てましたが、どうなのかな?

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2021/09/12 UP

なんと、今回で最終回だそうです。
こんな面白い音楽番組、ほかになかったのに超残念。

■ Woman ~Wの悲劇より~ - 薬師丸ひろ子

↑ こういう曲のコード進行の凄さをきっちり解説してくれた。
他の音楽番組ではできない展開だった。

このところ再放送の回もけっこうあったし、やっぱりネタ切れか?
これだけ濃密なコンテンツ、ほんとに構成するのたいへんだったと思う。

「ザ・カセットテープ・ミュージック」惜しまれる閉店
↑ 閉店を惜しむコメント多数。

じっくりネタを仕込んで、またリターンしてほしいです。
まずは特番でもいいから、たまに復活してほしい。

関係者のみなさま、ありがとうございました。

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2021/08/10 UP

Ride On Time カバー特集(ザ・カセットテープ・ミュージック)
個人的には「シティ・ポップ」の文脈で、五輪開会式でかけてほしかった曲のひとつ。
「ザ・カセットテープ・ミュージック」でカバーの特集してたので、ちょっと書いてみました。
〔 〕内はマキタスポーツ氏によるネーミングです。

■ 〔原曲〕山下 達郎Vers.

達郎の名曲は達郎のヴォーカルと完璧に一体化してるので、カバーはむずかしい、と思うでしょ。
でも、

〔無思想カバー〕May J. Vers.
■ May J. / RIDE ON TIME

May J. って声質いいし、テクもあるのになぜかなんとなく迫ってくるものがよわい気がする。
でも、よくこの難曲にトライしたと思う。
予想以上の仕上がりでびっくり。(May J.だと思わなかった。一瞬、杏里かと思った。)
達郎の濃密な作家性&思想性から、曲だけを切り離して届けてくれる存在と。
「Cover Eats」とは、マキタスポーツ氏、巧すぎる表現。

〔多様性カバー〕UNCHAIN Vers.
■ UNCHAIN - RIDE ON TIME

原曲の思想性をBAND SOUNDというかたちで再解釈、の意思が感じられるという。
大箱じゃなくて、LIVE HOUSE向けの仕様にしたもの、といっていたが、たしかにそんな感じがする。
メジャーじゃないけど、なかなかいいです。Charを思い起こした。

〔乗っ取り型カバー〕松崎しげる Vers.
■ RIDE ON TIME 松崎しげる

このテイクは凄い。
完全に松崎しげるのものにしている。
「達郎さんよりRide Onしてる」(マキタスポーツ氏)って、ほんとにそうかもしれぬ。
実力あるわ、この人。

それにしても、マキタスポーツ氏&スージー鈴木氏の感性&蘊蓄&音楽への愛情度おそるべし!
個人的には、五輪の音楽仕切ってほしかったわ。まじで。

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2021/07/31 UP

「ザ・カセットテープ・ミュージック」でひさびさに聴いた。
ちょーなつかし!
■ サディスティック・ミカ・バンド/タイムマシンにおねがい Time Machine Ni Onegai(1974年)


そういえば、この頃ってこういうのもあった。↓
■ フィンガー5/個人授業(1973年)

小学校の教室でみんなで踊ってたけど、いま聴いても曲のレベル異様に高いと思う。
ちょうど担任が、お美しいお姉たま先生だったですな・・・。リアルすぎた(笑)

↑ こういう突き抜けた曲がやたら聴きたくなる今日このごろ・・・。

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2021/07/19 UP

さきほどの「ザ・カセットテープ・ミュージック」。
■ 綺麗ア・ラ・モード - 中川翔子

これ名曲。松本隆&筒美京平ペアの最後の作品です。(2008年)

コード
イントロのピアノのフレーズからしてただものじゃない。
つづいてヴォーカル・インをがっちり支える華麗なクリシェ。

そして、マキタスポーツ氏が指摘していた、
Bメロからのサビ 0:45~「優しく髪にふれる 綺麗のア・ラ・モードね Ah~」
Fm7 G#/A# Am7-5 G# A#/G# Gm7-5~
オンコードとハーフディミニッシュが効き過ぎで、異様な高揚感(笑)

↑ のパーツ以外はわりとシンプルなコード使っていて、ところどころで小ワザをかます職人ワザ。
↓ の複雑系コード駆使しながら聴きやすいメロを紡ぎ出すユーミンとは対照的なアプローチだと思うが、どちらもやっぱりグレートすぎる。


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2021/06/07 UP

さきほどの「ザ・カセットテープ・ミュージック」。
タイトルは「ずっと80年代でいいのに・・・」(笑)
これは抜群に面白かった。
次回はマキタスポーツ氏の曲編も視たい。

■ Woman ~Wの悲劇より~ - 薬師丸ひろ子

作曲:松任谷由実。
なに、このコード進行(→コード
0:58 雪のような 星が降る
トライトーン(減五度)がらみのマイナー・セブンス・フラット・ファイブで、こんな華麗なメロディ引き出すとは・・・・。
やっぱりユーミン天才だわ・・・。

スージー鈴木氏の「知ったこっちゃねーよ」からのきれっきれのコメントがやたらによかった。
・平成以降は「やさしさ・ガンバロー インフレ」。
・口に出して「がんばれ」という言葉の無効性、限界(を80年代のアーティストは知っていた)
・”元気の提示”はやめてほしい。

御意! ほんとうにそう思う。

■ My Revolution - 渡辺美里 (作曲 : 小室哲哉、編曲:大村雅朗) /cover

↑ じっさい、メロやアレンジだけで高揚感をもたらしてくれる曲があった。
「きっと本当の悲しみなんて 自分ひとりで癒すものさ」 という歌詞が象徴的。

なんでこんなにメロがきらめいているかというと、
「後ろ髪コード進行 / F G7/F Em Am」をイントロからバリバリに使っているから、と・・・。
この曲では、 Fmaj7 G/F Em7 Am7  (→ コード

これは、松任谷由実の「卒業写真」でも使っているけど、これは「人ごみに流されて」のサビで使ってる。 → (コード
■ 卒業写真 - 荒井由実(松任谷由実)(カバー)


でも「My Revolution」はイントロから「後ろ髪コード進行」てんこ盛り状態。

それと、転調。
0:59~「きっと本当の悲しみなんて 自分ひとりで癒すものさ」 Fmaj7 Gsus4 G Esus4 E
から
1:09の A (「わかり始めた~」)への転調(前向きな転調感ばりばり)
この転調前のダブルサスフォーはアレンジャーの大村雅朗氏が意図的に仕込んだとのこと。 → wikipedia

そして返しのインスト転調(1:41)。
聴きどころありすぎ(笑)

でも ↓ の曲はさらにもの凄いけど・・・

■ Teenage Walk - 渡辺美里 (作曲 : 小室哲哉) 


*****************
でも、いまはもう80年代当時のようないくらでも逃げ場のある(?)寛容な世界じゃない。
行き場のない閉塞感のなか、

「さぁ一直線に穿って 今日も不安定な将来へ」
「明日 明後日 僕ら どんな希望を 抱いていれば 生きていられるのか なんていわれるのか」
「わかってんだって、こんな夢の無いダイヤグラムで」
「世界はもう 決まりに切って 疲れるわ けど今は 明日を急かして向かうわ」

こんなことばを散りばめている曲も、けっこうあったりする。

■ 空奏列車 - めありー(歌ってみた)



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2021/04/19 UP

さっき放映してた「ザ・カセットテープ・ミュージック」。またしても個人的に思うところがあった(笑)
Led Zeppelin、そしてJimmy Pageのギター・リフとかJohn Bonhamのフィル・インとかにスポットをあてていた。

■ Achilles Last Stand - Led Zeppelin

・この曲、ほんとによく聴いてた。

マキタスポーツ氏が、Zeppelinとか一連のR&Rバンドが踊れる音楽(Roll)から離れていって、そこに隙間が生まれた。
で、こういった ↓ 楽曲のニーズが高まった的な発言あり。

■ Best Of My Love - The Emotions


たしかに、1970年代後半~1980年代前半にかけて、記憶に残るリズムがいくつも生まれている。
聴き返してみると、たいていリフが絡んでる。
この頃のグルーヴ感のなかで、リフがいかに重要な役割を果たしていたかがよくわかる。

■ Forget Me Nots - Patrice Rushen


■ Good Times - Chic


■ Never Too Much - Luther Vandross


■ Street Life - The Crusaders


■ No Reply At All - Genesis


■ True To Life - Roxy Music


■ What a Fool Believes - The Doobie Brothers

なぜか最近CMでよくかかってる。
Michael McDonaldの怒濤の鍵盤リフ。

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2021/04/12 UP

さっき放映してた「ザ・カセットテープ・ミュージック」。個人的に思うところがあった。
マキタスポーツ氏&スージー鈴木氏がいつになく感情的に語っていた「ビートパンク」。
そう、これです。日本の(メジャーな)POPミュージックの質を劇的に劣化させたのではないかと疑われているジャンル、というかムーブメント。

今回のテーマは「BAND」だったけど、インストの面々のテクやセンスにフォーカスした内容だった。すくなくとも前半は・・・。
このお二方が本当にいいたかったのは、日本のBANDを質的に崩壊させたのは、皮肉にも1980年代後半の空前のバンドブーム(第二次バンドブーム)だった、てことじゃないかと・・・。

これを境に日本のバンドは横ノリから縦ノリに、メジャーセブンスからペンタに完全に移行したと思う。
これによって失ったのは、たぶんアンサンブルなんだと思う。

パーマネントなバンドじゃないけど、アンサンブルが絶妙な例 ↓

■ Revo &梶浦由記 - 砂塵の彼方へ....

「歌は ”心” っていいますが、心を表現するには絶対的にスキルが必要ですから」「感情の大きさだけでは、いい歌は歌えない」(梶浦語録)
だぶん、それは歌だけでなく、楽器の演奏もそうなんだと思う。

■ 今井美樹 - Boogie-Woogie Lonesome High-Heel


■ 角松敏生 w / 杏里 - I CAN'T EVER CHANGE YOUR LOVE FOR ME


■ Yuna Ito - Endless Story

バンドを離れたときに、奇跡的に生みだされるアンサンブルもある。
ほんとに一期一会の世界。

2000年代に入ると、アンサンブルは日本だけでなく、世界中の(メジャーな)POPシーンからも次第に失われていった。
だから、いまの世界的なシティポップ人気は、メロディだけじゃなく、アンサンブルを聴きにきているのかも?

でも、アンサンブルをとりもどした「BAND」が、日本には少なくともふたつはあると思う。

■ ONE OK ROCK - Clock Strikes 35xxxv Japan Tour 2015


■ Official髭男dism - I LOVE...[Official Live Video]


でも、ワンオクは活動の場を海外にシフトし、ヒゲダンのこの動画でもわずか1,100万回再生か・・・。
やっぱりリスナーの感性、というか心地よく感じる音楽のパターンがもはや変わってしまったのかもしれぬ・・・。
いい悪いは別にして。

■ 神はサイコロを振らない - 「未来永劫」【Official Music Video】

神サイは、アンサンブルあると思う。
どこかのタイミングで大きくブレイクするかも・・・。

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2021/04/07 UP

なぜか地上派で「ザ・カセットテープ・ミュージック」やっていた。再放送だと思うけど。
今回のお題はThe Beatles & The Rolling Stones。

7歳年上の姉貴がブリティッシュ・ロックにのめりこんでいたので、 BeatlesやStonesは、なかば強制的に聴き込まされていた(笑)
(その状況は →こちらに書いています。)

なかでも記憶に残っているのは、この2曲。

■ Let It Be - The Beatles


■ Angie - OFFICIAL PROMO (Version 2) - The Rolling Stones

やっぱり小さいころからメロディアスな曲が好きだったのかも。

でも、一番記憶に残っている洋楽は5歳で聴いたであろう ↓ だと思う。 
■ Bridge Over Troubled Water (邦題:明日に架ける橋) - Simon & Garfunkel

いま聴き返しても、圧倒的な名曲感しか感じない。

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2021/03/09 UP

さっきまで録画してた「ザ・カセットテープ・ミュージック#83『ルパン三世と大人のアニソン特集』」視てました。
笑えた。

メジャーとマイナーが入り交じり、メロディーが複雑でどこに行くかわからない曲って、例えば洋楽ではこんなの↓ あったけど通しで聴くと構成としてはしっかり完結してる。
■ It's Hard To Say It's Over - Sheena Easton


■ Purple Rain - Prince ← やっぱり天才


邦楽では、そんなタガが吹っ飛んだような曲がある。
例えば前にザ・カセットテープ・ミュージックで紹介していたこんな曲↓

〔 メロはペンタだけどあとは違う例 〕
■ YELLOW MAGIC CARNIVAL - MANNA(作・細野晴臣)

チャイナ風なペンタのメロだけど、リズムはアップビートだし、マイケル・マクドナルド風のキーボードリフも・・・。
う~ん、なにこれ(笑)
さすがに才人、細野晴臣。

YMOや矢野さん絡みの曲は、えげつないほどメロやコード進行、そして演奏がかっ飛んだテイクがある。
■ 矢野顕子 with YMO また会おね(1979)


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2021/02/01 UP

先週放送のザ・カセットテープ・ミュージックの「夏歌分析」?、録画したやつさきほど見てみました。
「車とポップスの関係」に注目するものが多かったけど、コード進行的に気になった内容があったので書いてみます。

1.ユーミンの「中央フリーウェイ」

■ 中央フリーウェイ - 荒井由美

いや~、やっぱりすごいわこの曲。
コード
maj7(メジャー・セブン)、sus4(サスフォー)、dim(ディミニッシュ)てんこ盛り状態。
邦楽のコード進行とはとても思えず・・・。

ご参考 → 荒井由実「中央フリーウェイ」のコード進行を科学する
「アヴァンギャルドなコード進行の上にきれいにメロディが載っている」って、ホントにそうだと思います。

■ 12月の雨 - 荒井由美(chay - 『12月の雨』Rec Ver.)

それと、たしかにこの曲のBメロの転調「通りを渡って~」(1:03~)、天才的なキレが感じられる。
コード

2.プリプリ「世界でいちばん熱い夏」の音の広がり感

■ プリンセス・プリンセス - 「世界でいちばん熱い夏」

コード

番組のなかでは、J-POP 進行(王道進行/未練進行)
F→G7→Em→Am
Fmaj7→G7→Em7→Am7(お洒落化した場合)
なので、すんなり入ってくるという見立てをしていた。

たしかに、カポ-9に移調するとF→G(7)→Em→Am(未練進行)乱れ打ち状態になっていて、これが聴きやすさにつながっているのは確かだと思うけど、この曲のはじける広がり感はAadd9(アドナインス)によるところが大きいと思う。

3.オーギュメント

クリシェなどで経過的に使われることが多いので、コードは省略されることがけっこうある。

■ SPARKLE - 山下達郎

0:57~ 「広がる~」のクリシェはオーギュメント絡みのクリシェだと思う。(少なくともカッティング・ギターは)
コード
コード上は出てきていない。(ディミニッシュ(Adim)にもってかれたのかもしれぬ。)

オーギュメントはメジャー・セブンス系の複雑なコード進行のなかで使われることが多いので、なかなかわかりにくいけど、
その独特な響きがよくわかる動画があります ↓

そうね、使い過ぎると「お腹いっぱい状態」になる(笑)

■ キセキ - GReeeeN

「明日、今日より」「今も こんなに
コード
他は平易なコード進行なので、とてもわかりやすい例。

でも、1980年代のオーギュメントって、だいたいドミナント・モーション絡みで使われていると思う。↓

オーギュメントもディミニッシュもフラットファイブもたいてい(ドミナント・)セブンスの代理コード的に使われていて、どういう事件(ドミナント)を起こしてどういうふうに解決(トニック)するかのやり方だと思う。
この事件の「起こし方」や「解決のしかた」が、1980代の音楽はお洒落だったのだと思う。

それにしても、やっぱり面白い。
これだけ金かけないで(失礼)、これだけ面白い番組つくるとは・・・。
2人のパーソナリティならでは。

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2021/01/19 UP

日曜(1/17)放送の「ザ・カセットテープ・ミュージック」またしても面白かった。
今回のテーマは、やってほしいと思ってたドラム(リズム)。

最初にふれたのが「タンタンタトタト」のリズム。
たとえば ↓
■ Church Of The Poison Mind(ポイズン・マインド) - Culture Club(1983年)


これは60年代のローリング・ストーンズやシュープリームス(スプリームス)が使っていたリズムで、タテノリに近く日本人にも捉えやすいもの。でも”グルーヴ”は乗せにくい。
番組で「このリズムには(1970年代初盤以降)不遇な時代があった」というコメントがあったけど、おそらくそれが1970年代中盤~1980年代中盤の「グルーヴ系リズム全盛期」なんだろうと思う。

つぎにふれたのがフィル・イン。
例は山下達郎「SPARKLE」の青山純のドラムス。

■ SPARKLE - 山下達郎


イントロの十数秒のカッティング・ギターのあとの0:17~のフレーズと2:10~のサックス・ソロ前のフレーズ。
どちらもフィル・インがかってて、全開感炸裂。
こういうアンサンブルのなかで光るワザ繰り出せるって、ほんとにドラマーのセンスで、練習してどうこうなるものではないと思う。

イントロのフィル・イン的な入りって、↓も凄いと思う。
■ What Cha' Gonna Do For Me - Chaka Khan(1980)

↓ にも貼り付けたけど再掲です。ドラムスはJohn Robinsonだと思う。

そして、ハーフタイム・シャッフル
これはTOTOの「Rosanna」が有名らしく、Webでもいくつかとり上げた記事がみつかる。
(たとえば → こちら

■ Rosanna - TOTO(1982年/Jeffrey Porcaro(ds))


1.ハイハット
チッチ チッチ チッチ チッチという三連符の中を抜いたリズム。
シャッフル(バウンス)リズムの構成要素だと思う。

2.スネアA
ツ”タ”ツタツタ というリズムキープで、”タ”の部分が「ゴーストノート」といわれる、聴こえるか聴こえないかというくらいに弱く叩く技法。

3.スネアB
ツツツツ タツツツ ツツツツ タツツツ というリズムで「タ」の部分に拍(強く叩く)を置くもの。
16分で2拍、4拍の頭に拍がくる、いわゆるアップビート(裏拍)だと思う。
でもって、この「タ」の前後にも「ゴーストノート」が絡んで、バウンス的な響きになっていると思う。 

4.バスドラ
タン タタンタン ンタタンタン という捌き。
番組では、ロックンロールの生みの親のひとりといわれるBo Diddleyの「ジャングル・ビート」を例にとっていた。

1~3は、Led ZeppelinのドラマーJohn BonhamとBernard Purdie(Steely Danが名盤『Aja』の「Home At Last」でフューチャーしたドラマー)をミックスしたもの。

■ Home At Last - Steely Dan (1977年/Bernard Purdie(ds))


つまり、John BonhamとBernard PurdieとBo Diddleyのリズム(シャッフル)のエッセンスをとり入れ、これをJeffrey Porcaroが自らのセンスを加えてつくり出したといわれるもの。
「ハーフタイム」とはテンポを半分に落とすというほどの意味で、通常のシャッフルからスネアの拍が後ろにズレることをいいますが、むしろ、このズレやゴーストノートがつくり出す「リズムの粘り」がキモだと思う。

あと、個人的にJeffrey Porcaroのシャッフルのこなしが凄いと思っているのがこの曲 ↓
■ The Goodbye Look - Donald Fagen ‎ from『The Nightfly』(1982年)


個人的には、1970年代中盤~1980年代中盤の「グルーヴ系リズム」は、8ビートと16ビートが絶妙に入り交じっていて、ハイハットとスネアの微妙な音のズレが「粘り」をつくりだしているのでは?
と考えているけど、やっぱりそんな感じでは?
それと、これに三連符が絡んでシャッフルやバウンスのニュアンスが入ってくるかと。
くわしくは → こちら(グルーヴ&ハイトーン (グルーヴってなに・・・?))に書いています。

■ Lowdown - Boz Scaggs(1976年)

↑ ハイハットは16ビート、スネアは8ビート?

■ Untouchable And Free - Adrian Gurvitz(1979年)

AORの名盤として知られる『Sweet Vendetta』のA-1曲。
これも、ハイハットが16ビートをしっかりキープしているのがわかる。
Jeffrey Porcaro(ds)、David Hungate(b)、Steve Porcaro(key)、David Paich(Arranged)

↓のJeffrey PorcaroのInstructional Videoを視ても、スネアとハイハットの使い方がキモになっている感じがする。

■ Jeff Porcaro - Instructional Video


「粘り」がキモだから、リズム出しのためにピッチを上げる必要はなく、だからミディアム曲でもグルーヴ感のある曲が多かったのでは?
例 → ミディアムなAOR

それにしても、こんなマニアックな内容の番組、地上波では放送できんわな・・・(笑)
これからも、この路線でお願いしたい。

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