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■ 塩原元湯温泉 「ゑびすや」



塩原元湯温泉 「ゑびすや」
住 所 :栃木県那須塩原市湯本塩原153 (旧 那須郡塩原町)
電 話 :0287-32-3221
時 間 :11:00~17:00(要事前確認) / 原則無休
料 金 :500円
オフィシャルWeb
紹介ページ (@nifty温泉)
紹介ページ (楽天トラベル)
紹介ページ (栃木の温泉宿(求人ジャーナル社))

※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。


俗に「塩原11湯」といわれるのは、大網、福渡、塩釜、畑下、塩の湯、門前、古町、中塩原、上塩原、新湯、元湯。
なかでも奥にある新湯と元湯は硫黄泉にごり湯で高い人気を誇ります。

”元湯”の名が示すとおり、ここは塩原温泉発祥の湯。
承和元年(834年)、弘法大師の開湯伝承もつたわる古湯で、江戸初期には「元湯千軒」といわれるほどの賑わいをみせたと伝わりますが、万治二年(1659年)の大地震と山崩れで大部分が壊滅し、いまは「元泉館」「ゑびすや」「大出館」3軒の湯場になっています。

元湯の歴史と格式を裏づけるように、毎年9月に催される「塩原温泉古式湯まつり」では「ゑびすや」の”梶原の湯”が奉納されます。


【写真 上(左)】 玄関
【写真 下(右)】 帳場

ここは日帰り受け入れもしていますが、この名湯をじっくり味わいたかったので宿泊してみました。
「ゑびすや」は3軒のうち、もっともこぢんまりとして湯治宿の味わいゆたか。


【写真 上(左)】 客室
【写真 下(右)】 部屋からの眺め

自炊部屋もありますが、このときはこたつのある2階角の賄い客室(食事付の客室)に泊まりました。


【写真 上(左)】 夕食
【写真 下(右)】 浴場への階段

浴室は階下にあり、入口に”梶原の湯”の飲泉所もつくられています。
ここは、”梶原の湯”と”弘法の湯”(えびすや新掘)の2本の自家源泉をつかっています。

浴室はふたつで、混浴浴室には”梶原の湯”と”弘法の湯”のふたつの浴槽、女湯には”弘法の湯”の浴槽があります。
両浴室は扉越しに行き来できるので、女性も”梶原の湯”に浸かることができます。


【写真 上(左)】 浴場入口
【写真 下(右)】 飲泉所

はやくも脱衣所から山のイオウ泉特有の涼やかなラムネ臭がただよっていて嬉しくなります。
こぢんまりとした浴室は暗めでこもり気味。
窓(開口)が小さいこともありますが、間欠泉の”弘法の湯”の湯口が数分おきに大量の熱湯を注ぎ込むので、湯気が落ちつく間がないからかと・・・。
ミスト状にただよう湯気、浴室内の壁などに成分がうすく堆積していて、浴室にいるだけで効能がありそう。


【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 混浴浴室

浴槽まわり、とくに”弘法の湯”のまわりは盛大な石灰華でふちどられています。
場内上部に神棚が祀られているのはさすがに”元湯”。


【写真 上(左)】 石灰華&湯色
【写真 下(右)】 堆積する成分

右手窓側に”弘法の湯”(木枠石敷5-6人)、正面おくに”梶原の湯”(木枠石側面&底)の湯船がとなり合っていて、どちらもたっぷりふかめで入りごこち抜群。
なお、女湯の”弘法の湯”は6人ほどの木枠の湯船で、かなりの熱湯とのことでした。


【写真 上(左)】 絶妙な浴槽配置
【写真 下(右)】 右が弘法の湯、左が梶原の湯

カラン2、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
泊まったときは宿泊客がすくなくほとんど独占状態でした。


【写真 上(左)】 弘法の湯の銘板
【写真 下(右)】 弘法の湯

〔 弘法の湯 〕
湯だめ槽から突き出た木樋の湯口から投入。間欠泉で2分おきにでるときもあれば、5分以上でないときもあります。
さいしょチョロチョロとではじめ、つぎにドバッと(50L/min以上)ほども吐湯し、しだいに量を減じていきます。
湯船端の切欠から大量流し出し。


【写真 上(左)】 弘法の湯の湯口-1
【写真 下(右)】 弘法の湯の湯口-2

熱め(42~43℃ほど)のお湯は、透明度20cmくらいの緑白色にごり湯で、湯の花はさほどでていません。
スペック的に感じるはずの塩味やたまご味はなぜかほとんど感じず、苦味と重曹味をクリアに感じます。


【写真 上(左)】 弘法の湯の泉源?
【写真 下(右)】 源泉は透明です

ラムネ臭+朽ちた落ち葉の臭い(これ塩原元湯の特徴)+ごくよわい炭酸臭。
ツルすべときしきしとイオウ系のスルスルが入りまじる湯ざわり。


【写真 上(左)】 梶原の湯の銘板
【写真 下(右)】 梶原の湯

〔 梶原の湯 〕
クリーム色の析出に覆われた木樋の湯口から20L/minほど投入し、スリットから内床への排湯。
こちらは常時投入で間欠泉ではありません。


【写真 上(左)】 梶原の湯の湯口
【写真 下(右)】 梶原の湯側から

ぬるめ(37~38℃ほど)のお湯は、透明度40cmくらいの灰青緑うすにごり湯で、白い湯の花がただよっています。
甘酸味+つよめの苦味+微塩味+明瞭な炭酸味。
ラムネ臭+朽ちた落ち葉の臭い+明瞭な炭酸臭で、不思議とイオウ臭はつよくありません。
こちらもツルすべときしきしとイオウ系のスルスルが入りまじる絶妙な湯ざわり。


【写真 上(左)】 女湯
【写真 下(右)】 女湯の湯口

ともに成分3kgオーバーとは思えない軽い浴感のお湯で長湯できそうに思えますが、本質的につよいお湯なので長湯不可。
かといってほてるかというとそんなことはなく、重曹泉系の爽快感が勝っています。


【写真 上(左)】 女湯の湯色&析出(弘法の湯)
【写真 下(右)】 千枚田系石灰華(弘法の湯)

”弘法の湯”と”梶原の湯”のお湯は基本的には同系ですが、微妙にお湯のキャラがちがいます。
”梶原の湯”は3.5g/kg超の濃度とは思えない軽やかなお湯で、湯口ではしっかりと炭酸がきいていて、”ラムネの湯”の面目躍如。
”弘法の湯”は、”梶原の湯”より重曹がつよいイメージで析出も多くでています。
この2槽の浴感と湯温のコントラストが絶妙なのでひたすら交互浴に浸っていました。

”梶原の湯”は奥蓼科「渋御殿湯」の長寿湯をあたためるとこんな感じかな~?といったイメージ。
”弘法の湯”は、なんとなく「元泉館」の”邯鄲の湯”に近いものを感じました。

全体にスペックほどイオウ気が感じられないのですが、この日入った「かんぽの宿」(鹿股2号泉=金気がつよい)でつかった手ぬぐいが黒くなったので、やはりかなりの濃度のイオウ成分を含んでいると思います。
また、窓を開け放す旨の注意書きがありますが、これは硫化水素中毒防止のためかと。


【写真 上(左)】 注意書き
【写真 下(右)】 完璧な掲示類

1.pHが高め、2.重曹成分が多い、3.成分が濃い
というのが元湯のお湯の特徴で、pHが高いので湯ざわりやわらか、重曹が強いのでさらりとした浴感が出ています。
中性の硫化水素泉というのはあまりありませんが、やわらかに染み渡るような浴感があってわたしは好きです。
さらに炭酸分もしっかり効いていて、よくある白濁硫黄(硫化水素)泉より、よほど複雑なお湯になっていると思います。


【写真 上(左)】 源泉から製薬していた頃の許可証
【写真 下(右)】 飲泉用コップ

深夜ひとり、”梶原の湯”に浸かっていると、となりの”弘法の湯”の湯口からごぼこぼと音をたてて熱湯の間欠泉が吹き出してきます。
温泉好きでよかったと思う至福のひとときです。

〔 源泉名:梶原の湯 〕
含硫黄-Na・Ca-炭酸水素塩・塩化物温泉(硫化水素型) 39.7℃、pH=6.5、13.6L/min(動力揚湯)、成分総計=3.668g/kg
Na^+=649.6mg/kg (71.58mval%)、Ca^2+=177.5 (22.44)、Mg^2+=14.1、Fe^2+=0.1、Cl^-=695.1 (48.80)、HS^-=7.8、SO_4^2-=31.1、HCO_3^-=1198.4 (48.89)、陽イオン計=887.4 (39.48mval)、陰イオン計=1934.8 (40.18mval)、メタけい酸=112.9、メタほう酸=69.3、遊離炭酸=635.7、硫化水素=27.9 <H14.3.1分析>

〔 源泉名:弘法の湯 (えびすや新堀) 〕
含硫黄-Na-塩化物・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 52.1℃、pH=6.7、20.8L/min(掘削間けつ)、成分総計=4.421g/kg
Na^+=918.8mg/kg (77.01mval%)、Ca^2+=146.7 (14.11)、Mg^2+=35.7、Fe^2+=0.1、Cl^-=965.3 (51.72)、HS^-=17.8、SO_4^2-=19.9、HCO_3^-=1489.9 (46.38)、陽イオン計=1165.6 (51.89mval)、陰イオン計=2495.7 (52.65mval)、メタけい酸=129.3、メタほう酸=91.3、遊離炭酸=498.7、硫化水素=40.3 <H14.3.1分析>

<温泉利用掲示>(梶原の湯)
加水:なし 加温:なし 循環利用:なし 消毒処理:なし

<温泉利用掲示>(弘法の湯)
加水:あり 加温:なし 循環利用:なし 消毒処理:なし

〔 HP掲載より 〕
現在、当館内に有る「梶原の湯」は、文治2年(1186年)梶原景時、影季が平家に見方した(那須の余一の兄達)を打たんとして、傷を負い、負傷治療の為入浴したと伝えられております。

梶原の湯は、通称「ラムネの湯」(炭酸泉)と呼ばれ、特に胃腸病に効く名湯として大正時代は、この湯をかまで煮詰めた胃腸薬「長命丸」もつくられていました。

一郷一会100名湯

■ブランドグルメ
〔 塩原元湯の温泉おかゆ 〕
塩原元湯の宿に泊まると、温泉をつかって炊き上げる「温泉おかゆ」が朝食に出されます。
塩原元湯特有の苦味がほのかにきいて、食欲をそそる名物です。

〔 2011/02/23UP (2007/03入湯) 〕


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【BGM】


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