『ではみなさんは、そういうふうに川だと云(い)われたり、
乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものが
ほんとうは何かご承知ですか。』
この冒頭で始まる、 宮沢賢治・「銀河鉄道の夜」。
昨日、横浜のプラネタリウムに行った。
何年ぶりかに見たプラネタリウムだったが、
上映されたのが、この「銀河鉄道の夜」の話だった。
昔、絵本で読んだことがある。
ジョバンニとカムパネルラの二人の少年が、
天の川を走る銀河鉄道に乗り、様々な星や星座に出会う。
北十字星から、南十字星に向かう旅。
白鳥の群れ。 まっ赤に燃える、蠍座の話。 ケンタウロスの祭り。
プラネタリウムでは、美しい映像と音楽とともに、この名作をなぞっていく。
絵本を見ても難しい物語だと思った。なので、うろ覚えのまま大人になった。
ただ、 二人の少年と銀河鉄道という、
その二つの言葉は、ずっと夢とノスタルジックの中にあり続けた。
昨日、 プラネタリウムという空間の中で、 この物語と向き合うことができた。
こんな素敵な話だったのか・・、と思う。
映像の最後に、 静かに字幕が浮かぶ。
『もっと銀河鉄道の旅をしてみたいと感じたら、
宮沢賢治の、「銀河鉄道の夜」を読んでみませんか・・?』
26分の星の旅。 幸福な時間だった。