AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

土曜日の本(クリム本キングの宮殿)

2015年12月12日 | プログレッシヴ草稿
今週はじめから、待ちに待ったキング・クリムゾン約12年ぶりのジャパンツアーが東京よりスタートしている。
大阪公演は明日(今日)!いよいよ私の人生における初の生クリムゾンである!

そんな折、先日タワレコに立ち寄ると、音楽雑誌コーナーの棚に『レコード・コレクターズ』と『THE DIG』のキング・クリムゾン特集号2冊が魅惑的な表紙で、まるで競い合ってるかのように並べて積み上げられていた。
こ、これは買わずにはおれない。
どちらも結構な値段なのでどっちか一冊に絞りたいが、かなり迷った。
表紙的にはレココレ。DIGの方はロキノンが昨年あたり使ってたショットやん。

で、結局THE DIGの方を買ってサンマルクカフェでベトナム珈琲をすすりながら気になった記事から読んでいた。




THE DIGの方のクリムゾン特集号を選んだのは、人間椅子の和嶋慎治氏のインタビュー記事が載っていたからにほかならない。


初めて見た海外アーティストのライブが、84年の中野サンプラザで行われたクリムゾンだという和嶋氏。
機材も自作するギタリスト和嶋ならではの視点でクリムゾンの魅力について語っておられる。
本書には、和嶋氏がフリップの愛用のファズを基に自作したエフェクター、その名も「狂気」も紹介されている。
実際「21世紀の精神異常者」をバンドでカヴァーして、そのYOUTUBE映像は海外からも絶賛のコメントが寄せられている。

つかワジーにインタビューするの遅いんだよ!売れたとたんに言い寄ってきてからに。
ワジーがクリムゾンの影響受けているのは、メジャーデビュー作『人間失格』(1990)収録の「天国に結ぶ恋」ですでに明々白々だ。
私も当時まだクリムゾンの良さもわかってなかった頃に、この曲の間奏のフリップ奏法を聴いて「なんじゃこの旋律!?」ってビビっときたもん。
まぁ一応人間椅子知る前にクリムゾンの『宮殿』聴いてたんだが、先に椅子の方にハマって和嶋ギターの変な歪みや奏法、そしてサバスの影響だけじゃ説明できないこのダークな世界観がクセになってきて。
それからジワジワとクリムゾンの『宮殿』のスゴさカッコよさが身に沁みてきて、次に大久保の電気屋に自転車こいで『太陽と戦慄』を買いに行ったんだっけ。
つまり、人間椅子に出会ったことで、私がキング・クリムゾンに傾倒していったのは必然だったのだ。

「天国に結ぶ恋」。よく考えたらイントロ部分はホルストの「火星」をモチーフにしてるやん。



あと『THE DIG』のクリムゾン特集号で、今は亡きYESのオリジナルギタリストのピーター・バンクスの自伝からの証言記事が非常に興味深かった。
当時YESと同じ頃にデビューしたクリムゾンのステージをYESのメンバーたちと初めて目撃した時、その圧巻のパフォーマンスにその場で全員が敗北を認めたという。
ビル・ブラッフォードがその時すでに「あのバンドに入りたい」と言っていたそうな(笑)。


気づけば、クリムゾン特集号は家にぎょうさんあるなぁ。
クリムゾンフリーク(いや、それほどでもないんやけど)の性みたいなもんで、本屋で見かけてしまうともう買わずにはおれんのよ。出す側もそれを見透かしている。
まぁジャケ買いみたいなもん。レココレの表紙はほんとセンスいいよなぁ。


約11年前か。サイゼリアで一字一句漏らさず貪るように読んでいたのが、ストレンジデイズ増刊の丸々全頁『キング・クリムゾン』本(写真右上)。定価2500円。
本書で各メンバーのパーソナルデータからロバート・フリップと同じ誕生日であった事実を知り、無茶苦茶興奮して勝手にクリムゾンとのディスティニーを感じていたのを覚えている(ちなみにビル・ブラッフォードとは1日違い)。
本書を読んでいた頃、『宮殿』から『スラック』までの各アルバムの参加メンバーの名をゲストまで全部言えたからなぁ。
今年の盆、ソニックマニア行くため、夜行バス乗り込む前に旅のお供にと駅の本屋で購入したのが、文藝別冊の『キング・クリムゾン ~二十一世紀的異常音楽の宮殿~』(写真右下)。
著名人の各クリムゾン体験、クリムゾン論が中心で、正直たいくつなもの、わけのわからない話が多かったが、この中ではジム・オルーク氏の辛口で率直なクリムゾン論が一番おもしろかった。
「ブリューの“味”があまり好きでない」とか、「ダブルトリオ云々は興味がありません」など。前者はともかく、後者は同意見である。
平田真夫氏のキッパリと「二十一世紀の精神異常者」と言いきる、わけのわからんなんの意味もない“倫理上の配慮”とやらを排除した文章も気にいった。

DVD化されてからも表記を変えなかった人間椅子に拍手!


とかタラタラ書いているうちにもう朝やんけ!

本日、いよいよ人生初生クリムゾン!!(さっき言ったか)




今日の1曲:『21世紀の精神異常者』/ King Crimson
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絵 VS 墓

2012年09月16日 | プログレッシヴ草稿
中古で激安だったので、有名プログレバンドのライブアルバムを2枚同時に入手。

1枚はエマーソン・レイク&パーマー(以下ELP)が、ムソルグスキーの壮大なる組曲を大胆にもカヴァーしたあまりにも有名な『展覧会の絵』の20bitK2盤。
ELPは、私が高校時代にプログレッシヴ・ロックに傾倒していくキッカケとなったバンドでもあり、このライブアルバムも当時むさぼるように聴いておりましたが、やはりなんだかこのクラシックとハードロックの融合には、少なからず違和感を覚えながら聴いておったように思います。
10数年ぶりにいい音質で改めて聴いてみて、ムーグシンセサイザーを駆使しまくりのキースのプレイはそこそこおもしろいとは思うが、グレッグの歌はカッタるいし、プログレ特有のクドクドしさ、大仰しさの典型といったところで、今聴くとちょっとしんどいものがある。

ワイト島でのELP衝撃のデビューライブ。
当時この映像を目撃した時は、さすがにキースのやんちゃっぷりに度肝抜かれた。



もう1枚は第一期キング・クリムゾンの2枚組ライブ音源集『Epitaph ~1969年の追憶~』。
いわゆるオフィシャル・ブートレグというやつで、フリップ翁が海賊盤流出の対抗措置として、ブート音源集を連発していた頃の1つ。
オリジナルメンバーでのライブ音源にはかなり興味はあったんだが、1969年のブート音源なんてどうせロクな音質じゃないだろうし、だいいち4500円は高価すぎるということで今まで手を出さずじまいだった。

Disc-1には、最初のレコーディングとなったBBSスタジオライブの音源が4曲の他、アメリカでの2公演のライブ音源をつなぎ合わせた寄せ集め構成で、音質のバラツキ感はハンパない。
BBSセッションの“クリムゾン・キングの宮殿”と“エピタフ(墓碑銘)”だけが、やたらクリアな音質という。
あとインプロで、ビートルズの“Wild Honey Pie”のアコギフレーズをさりげに挿入してるのが面白い。
Disc-2は、1ヶ所の公演に統一されたもので、オリメンでの最後のライブとなったサンフランシスコ フィルモア・ウェスト公演の音源。音質はDisc-1に比べてはるかに良いものとなっている。
“21世紀の精神異常者”は様々な時代のライブヴァージョンを聴いてきたが、やはりオリメンでの演奏が私には一番シックリくる。この時期のフリージャズ然としたタイトな演奏が素晴らしい。
そして第一期クリムゾンの一番の功労者ともいうべきイアン・マクドナルドの暴れっぷりが耳を惹く。フルート、サックスを自在に弾きこなし、“クリムゾン・キングの宮殿”を名曲たらしめたメロトロンの実に雄大で壮厳なる効果的な奏でっぷりは圧巻というほかない。

あと本作で一番の収穫だったのが、2曲目の“Drop In”。
この曲は“Why don't you just drop in”というタイトルで、クリムゾン前身バンド?Giles,Giles & Flipp時代から演奏されていた曲で(この時はイアンがVoか?)、クリムゾンの4th『Islands』で、“The Letter”というタイトルでボズ・バレルが歌ったのが正式レコーディングされている。
GG&F時代のはちょっとフォーク・ロック寄り過ぎで、ボズの歌うのはいささかダーク過ぎだが、第一期メンバーでのヴァージョンはかなり荒削りな演奏ながら、アヴァンギャル度が濃厚でぶっ飛んでいる。
なんつってもグレッグの歌がいいね。『展覧会の絵』の時のダサヴォーカル加減とは比べるべくもない。

しかし、この時期のライブ音源を聴くにつけても、クリムゾンという音楽集団はやはりその時代、その時のメンバー編成によって独特の輝きを放っている。グレッグの歌ひとつとってもそうだが、クリムゾンの名のものとにメンバーが想定以上の技量を発揮する不可思議な魔力を持つ空前絶後のモンスターバンドなのだ。
いや、クリムゾン自体ロックバンドというより、とてつもない破壊力を内包した一種のエネルギー体というべきか。



今日の1曲:『Drop In』/ King Crimson
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拝啓 エディ・ジョブソン殿

2012年06月28日 | プログレッシヴ草稿
先週UKを一緒に観にいったじょにい氏より、ロックオン802でマサ伊藤氏が話していたという以下のような涙ぐましい美談が届けられた。
このことは是非、関西のUKファンのみなさまに知っていただきたい!

【エディサイコウダヨ】
最初は川崎クラブ・チッタ公演のみとなっていた今回のトリオUK来日公演だが、突如ポっと決定した大阪一夜限りのなんばHatch公演。
実はこの大阪公演、エディ・ジョブソン本人が強く希望したらしく、にもかかわらずクラブ・チッタ側は動かなかったのだそうだ。
どういう事情があるにせよ、このチッタ側の怠慢ぶりにはあきれかえるばかりである。
そこでエディ自身が直々にどっかの有限会社に大阪公演のセッティングを依頼したのだとか!
まさにプログレの貴公子!!プログレ伯爵!!である。
救世主といってもいい!
どうりでチケットに印字してある企画制作が聞いたことない会社だと思ったよ。

エディありがとう!エディ愛してるよ!
ぼくたちわたしたちは、これからもずっとあなたを敬愛し続けていきます!


関係ないけど、最近のエディって、あのラバン・シュルズベリイ博士に似てるなぁ~って思うのは私だけか。

キーボードを打つ様が、なんとなくエディを彷彿とさせている。

【ラバン・シュルズベリイ博士】
ミスカトニック大学の教授。20年間もの間行方不明になっていた後、まったく齢をとらずに再び現われたという謎多き人物。
彼はその20年の間、プレアデス星団にあるセラエノの大図書館にこもって、大いなる神々の知識についての研究にいそしんでいたのだという。
それらの知識をまとめて本にしたのが『セラエノ断章』であり、それをアーマ=スィンが冗談半分に日本語訳にして編集したのが『そりゃえ~の談笑』である。
彼の著書には他に、『ルルイエ異本を基にした後期原始人の神話の型の研究』、『ネクロノミコンにおけるクトゥルー』などがある。
彼のかけている黒メガネの奥には、ぽっかりと穴の空いたような虚ろな眼窩が隠されているといわれている。



【ついで情報】
エディ・ジョブソンとはフランク・ザッパ時代からの盟友であるテリー・ボジオさん。
なんと、その彼がこの度日本への永住権を得て日本に移り住むんだとか!
てことは、これからは毎年あのバケモン要塞ドラムでのテリーの気迫のプレイが拝めるっつーことなのか!?

いやいや、3ヶ月後のエイジア公演で今年3回も来日することになるジョン・ウェットンはもう日本に住めば?って思ってたんやけど、まさかのボジオさんがそういうことになってたとは・・・・
まぁ確かに彼の人柄のよさそうな感じからして、日本に合っているような気はしてた。
“照井菩次男”(オッサン、逆!逆!)って、アテ字にもしやすい名前だしね(帰化するとはいっとらんよ)。
つーかボジオの奥さんが日本人だったってことをさっき知った。




今日の1曲:『Presto Vivace & Reprise』/ UK
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貴族の音楽

2012年06月07日 | プログレッシヴ草稿
ルネッサ~~ンス!(チーン!死語)

つーことで、最近ルネッサンス音源蒐集に余念がない。
勢い余って、先走りすぎてILLUSIONっていう、オリジナルメンバーらがバンドを抜けた後結成した別バンドのアルバムまで購入してしまうという大失敗をやらかしてしまっている。

煮ても焼いても食えんかった。


ルネッサンスの音源を蒐集するに当たって気をつけなければならないのは、3rdアルバム以前と以降ではほとんど別物であるということ。
そりゃそうだ。メンバーが総入れ替えしてしまっているという、まさにドッヒャーン!!な経緯があるからだ。
1st~2nd期は元ヤードバーズのキース・レルフとジム・マッカーティを中心に結成された、いわゆる“オリジナル・ルネッサンス”と呼ばれる時期であり、ヴォーカルはキースの妹のジェーン・レルフが担当している。
1st『RENAISSANCE』を購入したが、このころはシンフォニックというより、どちらかというとフォークロック色が強い印象があり、楽曲ともに正直私の感性にはあまり響いてこなかった。

オリジナル・ルネッサンス。


私はやはり、以前紹介した7th『お伽噺』での天女の如き崇高なるクリスタルヴォイスの持ち主、アニー・ハズラムの美声に魅かれたのであり、彼女がヴォーカルに代わってからの3rd以降のルネッサンスでなければ意味をなさないのだと確信にいたった。
で、3rd『PROLOGUE』、4th『燃ゆる灰』、5th『運命のカード』と、矢継ぎ早に(もちろん紙ジャケリマスターで)買い揃えていった次第である。
思えばここのところ、私はアニーに翻弄されっぱなしのような気がする。歌なんかでも「私の声が聴こえますか?」とか、「本当にわかる?あなたにわかる?」って、悩ましく質問攻めで語りかけてくるかと思えば、「わたしには解からない」と、肩透かしをくらわされるって、どないやねん!
まさに小悪魔的女性シンガーといったところである。

『PROLOGUE』は、幻想的なヒプノシスデザインのいかにもプログレッシヴなジャケットで、昔からなんとなく目をつけてたんだが、20代前半ですでにプログレ探求心がなくなっちまって今更の初聴きとなったわけだが。
1曲目タイトルナンバーでのダイナミックでクラシカルなピアノ伴奏のイントロからして「キテる!」って思った。まぁ演奏はけっこう荒削りだし、アニーのスキャットもなんだか乱暴でドギツい感じもするが、全体的にはハードプログレな趣きでとにかく躍動感に溢れていてグー。“Rajah Kahn”っていう11分にも及ぶアラビアンテイストなスキャットナンバーもあるが、まだまだアレンジ力に青臭さが否めない。

ルネッサンスの中では最高傑作と誉れ高い『燃ゆる灰』であるが、この作品はアコースティック色が全面に出てわりと洗練された作風で、プログレッシヴロックというより、ちょっと壮大さを加味したフォークロックという感じ。
アニー・ハズラムの純粋にヴォーカルとしての力量を見せつけた作品ともいえるが、カーペンターズみたいな楽曲を果たしてルネッサンスで演って意味があるのかとの疑問も抱いてしまう。
#1“Can You Understand”のドラマティックな帰結展開、ジャケットのイメージが示す通りの秋の哀愁を感じさすタイトル曲のクラシカルアレンジは秀逸。

そして5th『運命のカード』で、第二期ルネッサンスの仕掛け人マイケル・ダンフォードが正式加入し、ルネッサンスはいよいよシンフォニックロックバンドとして開花してゆくわけだが、この作品についてはまたいつか。



今日の1曲:『Ashes are Burning』/ Renaissance
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キキコレ

2012年04月26日 | プログレッシヴ草稿
先日の予定外のイエスライブ終了後、物販にえらいオヤジ臭漂う人だかりができていて、何かと思ったら新星堂がとっくに品切れ状態にあったと思われたイエスの紙ジャケSHM-CDシリーズ(こいつらがストックしてたのか、再プレスしたのか)を特典ポストカード付で売りさばいとるではないか!
まぁでも代表作2枚の音源は所持しているので、にわかの私には関係ないやいと思っていたのだが、今じゃ入手困難な紙ジャケリマスターホンマにいらんのかい?という、押さえ難い誘惑に気持ちがモラホラと騒ぎだし、気づいたらラス一になっていた5thアルバム『危機』を手に掴んでいたのであった。

つーわけで、今回で『危機』は4枚目。まさにキキキキキキキキーーー!!って感じ
中古で買った旧規格盤、ジャンク屋で見つけたアナログ盤、今は亡きWAVEで正規の値段で買ったデジパックリマスター、そして紙ジャケSHM-CD。
今回の紙ジャケ盤は、当時の表裏エンボス加工を再現した英国E式見開き特殊仕様となっており、このザラザラした手触りと、当時のLPの帯を再現したカタカナのイエスロゴに思わず心トキメいちゃう

ストレンジデイズ刊行の『イエス本』はほとんどジャケ買いだ。


プログレ聴き始めの高校生の頃、最初このアルバムを鑑賞したときは「なんかせわしないゴチャゴチャとした音楽やなぁ」と、しばらくは当惑するばかりであったが、聴けば聴くほどこの驚異的なイエスサウンドの深みにはまっていった。
ロジャー・ディーン描くこの緑を基調とした幻想的なグラデーション画をまさに具現化したかのような壮大なスケールと、アンダーソン、ブラッフォード、スクワイア、ウェイクマン、ハウという黄金期メンバーだからこそ到達しえた完成度の高さ。この各メンバーの目くるめく技のぶつかりあい、せめぎ合いに何度陶酔したことか!

尋常じゃないくらい格パートの自己主張が激しい音楽で、ここまで絶妙な音世界を創造しえた作品はそうあるものではない。大仰かつスリリング。しかしムダというものが一切感じられない、全3曲という大作主義の象徴のようなプログレモンスターアルバム。
アナログではA面全部を占める18分に及ぶ超大作の“危機”は4つのパートで構成され、地殻変動のごとき劇的な流れで展開していき、特に3パート目“盛衰”でのリック・ウェイクマン奏でるスリリングなキーボードソロはプログレ史上に残る名演!!
今回のイエスライブでも演奏されたアコースティッキーな#2“同士”も、アンダーソンの牧歌的な歌唱が秀逸で、中盤のウェイクマンの代名詞的な印象深いキーボードの音色は、後のプログレキーボーディストに多大なる影響を与えたのではないかと。
ラストの“SIBERIAN KHATRU”も、前作収録の“燃える朝焼け”に勝るとも劣らない(個人的には“朝焼け”より好き)スリリングな名曲であり、イントロの激しく切り込むハウのカッティングから、ラストの変則的コーラス技にいたるまで、息もつかせぬ尋常ならざるスリリングさにドーパミンがほとばしること必至。
今回のライブで演奏されなかったのが返す返すも残念であった。




今日の1曲:『Siberian Khatru』/ YES
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しんふぉにぃ

2012年03月25日 | プログレッシヴ草稿
ロックとクラシックってのは、相性がいいようで実は混ざりにくいものだというのが私の持論である。
そんな頭の固い私がなんの気まぐれオレンジロードか、ルネッサンスの7thアルバム『お伽噺』を購入。
いや、元来シンフォニックロックというものをあまり好きになれない自分が、まさかこの期におよんでルネッサンスのアルバムにこれほどハマるとは、予想だにしてなかった。
最近までは布団に入るとき、子守唄よろしく毎晩本作をかけて安眠していた。暗室で聴くとまたいいんだよね。

もちろんルネッサンスの存在は以前より知っていたけど、多分ムリだろうと敬遠していたところがあった。
だいたいクラシックを導入したプログレッシヴロックというものは、各々プレイヤーの自己主張が激しくて、なんか騒々しくなるだけとう印象があり、なおかつテンポが悪くてクサい。ELPの『展覧会の絵』などはいい例であろう。
それに対し、ルネッサンスの音楽はどちらかというとバックのオーケストラの方に波長を合わせてるといった感じで、見事に“調和”することに成功している。

最初、1曲目の「私の声が聴こえますか」のあまりにも露骨なシンフォニック展開にはかなり辟易したのだが、お伽の国から抜け出してきたかのようなアニー・ハズラムの母性的なクリスタルヴォイスが、そういったクサさを払拭させるほどに聴き手の心を奪うのである。
特に彼女の歌が心に響いたのが#2「姉妹」。アニーの歌声はある種の宗教的な静謐さを帯びており、情熱的で神々しいほどに美しい。いや、ほぼリズム無しの楽曲でこれほどまでに歌メロにハマったのは久々。
この作品はドラムがやや控えめで、幻想的なアコースティックギターと壮麗きわだかなるシンセサイザー音がほぼ全体を支配している感じなのだが、それでもやはり、アニーの母性的な歌声を際立たせることに重点を置いていることが窺える。
ようは演奏陣は、物語が展開していく上での効果音的役割を担っており、前に出よう出ようとはせず演出することに徹しているのである。
クライマックスともいうべき約10分の#5「情熱」も、目まぐるしいシンフォニック展開をみせるも、楽曲全体の骨組みがシッカリしておりキメも印象深く、終盤では実にドラマティックで壮大な大団円をみせる典型的なプログレ大作に仕上がっている。

いや、もうプログレッシヴロックも衰退にさしかかろうという1977年に、7作目にしてこれほど充実した内容の秀逸作を生み出せるその創作力には拍手喝采。
よーしこれからルネッサンス集めるぞ!紙ジャケで!


ルネッサンスのみなさん。ヅラっぽい人約1名。



今日の1曲:『The Sisters』/ RENAISSANCE
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悲しみのマクドナルド

2011年10月30日 | プログレッシヴ草稿
コカコーラ500mlに100円マックのいずれかが当たる無料引換券が付いていたので、購入してラベルをめくってみると、コカコーラSでズッこけた。
200円だからと久々に食ったビッグマックは相変わらずスカスカでマズいし(レタスはボロボロこぼれるし)。

ところで、あの体育の日以来、私の中でまたプログレブームみたいな波がやってきて、長年放置してきた四天王以外のプログレCDなんかをなにげに聴き返していた。
まぁでも、探求心旺盛な若い時期に聴いてもダメだったものは今さら聴き返してみてもやっぱダメで、私にはプログレ嗜好というものが元々乏しかったのだと再認識した。

そんな中、ダリル・ウェイズ・ウルフの1st『CANIS-LUPUS』の後半のインストゥルメンタル群はなかなか私の嗜好に合うものがあった。
ダリル・ウェイズ・ウルフはカーヴド・エアのメンバーであったヴァイオリニスト、ダリル・ウェイが1973年に立ち上げたカルテットバンド。
確かまだプログレ探求心旺盛だった浪人時代に購入したやつだと思うんだが、当時「この妙に軽快な曲調が気に入らないな、特に歌がダセぇわ」つー感想を持ったのが、今回聴き返してみて再び蘇ってきた。
ただ、#5“CADENZA”は当時よりお気に入りだったインストナンバーで、各パートが順々にソロを展開していくこのスリリングな感じがツボだった。
まぁ私がこの作品を購入するに至った動機は、元キング・クリムゾンのイアン・マクドナルドがプロデューサーを務めていたことによるところが大きい。
この作品はイアンとの共同作業的な趣きが強く、#6“無言歌”ではイアンがエレピを弾いているし、幻想的な#7“悲しみのマクドナルド”は、タイトル見てもろたらわかるようにイアン・マクドナルド本人に捧げられたナンバーである。
ひょっとしたら当時私は、『クリムゾン・キングの宮殿』の幻影をこのバンドに追い求めていたのかもしれない。

で、先日2nd『SATURATION POINT(飽和点)』の紙ジャケリマスターSHM-CDがストレンジ・デイズ監修で発売されていることを知り、思わず購入に踏み切ってしまったわけだが。
彼らも自分たちは歌がマズいってことを自覚していたらしく、本作ではシングルカットの#2“二人の姉妹”を除き、全てインストナンバー。ちなみに、本作ではイアン・マクドナルドはいっさい関わっていない。
1曲目からヴァイオリンとギター両者が凄まじいバトルを展開していて、最初はかなりイケてるんじゃないかと思った。
しかし、この人ら確かに演奏力はスゴイのだが、曲作りのセンスがあまり感じられない。ヴァイオリンは流麗さを欠いているし、ギターはかなりの速弾きだがよく聴くと雑。ドラムは手数は多いが引き加減をわきまえてない。
#4のおちょくったようなハミングは、マジでセンスを疑ってしまった。
各パートのバランスも悪く騒々しさだけが鼻につき、これだったら全体的に整合感のあった1stの方がよっぽどマシ。



今日の1曲:『悲しみのマクドナルド』/ Darryl Way's Wolf
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体育の日

2011年10月11日 | プログレッシヴ草稿
今日NHK-FMラジオで「今日は一日プログレ三昧」という、あまりと言えば無謀過ぎる、プログレファンにとっては夢のような企画が山田五郎氏司会進行のもと、よりによって体育の日にオンエアされとったようで。
東京在住のマイミクさんからご一報を頂き、私も夕方くらいから拝聴し出したわけでありますが、まぁ私はそれほどプログレ好きという訳でもないので、四川省ゲームやりながらポケーっと聞き流しておりました。

スターレス高嶋さんが他方より熱いコメントを送ってきてて、「プログレッシブロックはこの世のメインストリームの音楽だ!」などと、訳の分からんことを断言したり、ゲストミュージシャン、デイブ・シンクレア氏のスタジオライヴが行われたりとかなりテンコ盛りの内容で、スタジオは一種異様な盛り上がりをみせていた。
しかし、プログレあるあるとか、枚挙にいとまがなかったな。
山田五郎氏が「ヤンキーとプログレッシャーは漢字が好き」とコメントしていたのはウケた。

とりあえず、よそからひろってきた今日のセトリ貼り付けておきますわ。

01. 原子心母 / PINK FLOYD
02. 聖地エルサレム / EMERSON, LAKE & PALMER
03. 無益の5% / YES
04. Time / PINK FLOYD
05. アラゴンのキャサリン / RICK WAKEMAN
06. 永遠の詩 / LED ZEPPELIN
07. 歌に愛をこめて / WINGS
08. 葬送 / ELTON JOHN
09. Daylight / ASIA
10. 醜い画家ラヤダー / CAMEL
11. Question / MOODY BLUES
12. 1°tempo:Allegro / NEW TROLLS
13. 重力 / ARTI & MESTIERI
14. 北の輝き / RENAISSANCE
15. デブカ / SHESHET
16. AEri-Tobbi / HINN ISLENSKI PURSAFLOKKUR
17. System Manipulation / DISCUS
18. Fanfare - All White / SOFT MACHINE
19. 逆説の真理 / KANSAS
20. Sylvia / FOCUS
21. Step Into Easter / MR.SIRIUS
22. 月の位相 パート1 / KENSO

23. 【プログレ裁判 1】夜桜お七 / 坂本冬美
24. 【プログレ裁判 2】キグルミ惑星(アニメ「はなまる幼稚園」から) / 高垣彩陽
25. 【プログレ裁判 3】ポリリズム / Perfume
26. 【プログレ裁判 4】タルカス変奏曲 / KOKOO
27. 【プログレ裁判 5】ビッグブリッヂの死闘(ゲーム「ファイナル・ファンタジーⅤ」)

28. 曼荼羅組曲 / MANDALABAND
29. 人生は川のようなもの [LIVE] / PFM
30. 恍惚の盗人 / ATOLL
31. Sea Song / ROBERT WYATT
32. Tenemos Roads / NATIONAL HEALTH
33. 悲しきスキンヘッド / FAUST
34. Crystal Voyage [LIVE] / SIRIUS
35. 少年期〜時の崖 / NOVELA
36. Sons of Sand / MR.SIRIUS
37. エピローグ / PAGEANT
38. パラノイア / BLACK PAGE
39. ナイルの虹 / MR.SIRIUS
40. Pilgrims / VAN DER GRAAF GENERATOR
41. Register Magister / FINCH
42. Watcher Of The Skies / GENESIS
43. YYZ [LIVE] / RUSH
44. Casablanca Moon / SLAPP HAPPY
45. Season's Overture / HOSTSONATEN
46. Wanderlust / DAVE SINCLAIR
47. Island / DAVE SINCLAIR
48. ある国 / MAXOPHONE
49. In The Dead Of Night / UK
50. A Kid Called Panic / MOON SAFARI
51. To France / MIKE OLDFIELD
52. A Pauper In Paradise: 2nd Movement / GINO VANNELLI
53. A Pauper In Paradise: 3rd Movement / GINO VANNELLI
54. Uffe's Woodshop / TYONDAI BRAXTON
55. Birdman / McDONALD & GILES
56. Starless / KING CRIMSON
57. 同志 / YES


いきなり「原子心母」だから、一般視聴者への配慮皆無ですよ。
その後も20分越えの曲をノーカットでバンバンかけるし。だいたい10時間オンエアしてて57曲っつー少なさが異常だよな。
ラジオ・エディットという言葉を知らんのか!この人らは・・・
ラストナンバーは素直に「スターレス」でええもんを、イエスの「同志」で締めくくらはるし。
いや、奇遇にも昼間すでに『危機』を鑑賞してたんっすよ。
今さっき、日産デュークのCMで「燃える朝焼け」流れるし・・・


このラジオ番組を聴き終わったあと、ふとピンク・フロイドのP・U・L・S・Eシグナルを久方ぶりに点滅させてみた。
放置していたバッテリー切れの単三電池は塩吹きまくり状態で、カバー(紙)の部分が溶けてボロボロになっていた。


インドネシアのプログレバンド、ディスカス。


キング・クリムゾンにジョン・ゾーン要素をまぶしたような?
ステージ後ろにテリー・ボジオの要塞ドラムらしきものが!!

このバンドは要チェケだな。


今日の1曲:『SYSTEM MANIPULATION』/ DISCUS
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東北と戦慄

2011年03月23日 | プログレッシヴ草稿
mixiからの情報

キング・クリムゾンのライブ音源保管庫である?DGM Liveは、1995年10月の仙台公演のライヴ音源の売り上を日本赤十字社を通じて東日本大震災の被災者に寄付すると発表したそうな。

http://www.dgmlive.com/archive.htm?artist=8&show=645

これは是非ダウンロードせねば!って思うのだが海外サイトで買物したことがないので、どうやったらいいのかわからん。
今度ツレにやり方を聞こう。


1995年といえば、クリムゾンが90年代最初のアルバム『THRAK』を引っ提げ、日本ツアーを敢行した年であり、私はこの時のライブを見逃している。
メンバーはクリムゾン史上最多の6人編成で、“ダブル・トリオ”といって、ギター2人(ロバート・フリップ、エイドリアン・ブリュー)、ドラム2人(ビル・ブラッフォード、パット・マステロット)、スティック2人(トニー・レヴィン、トレイ・ガン)という前代未聞のアヴァンギャルドな構成をとっている。
パット・マステロットといえば、アメリカの人気グループMr.ミスターでドラムを叩いていた人と言えばピンとくるかと・・・・・・え、こないって?“キリエ”を知らないの?

アルバム『THRAK』は6人編成と銘打った割にはどうしようもなくサウンドに迫力がなく、確かに1曲目“VROOM”などは“RED”の流れを汲む曲構成なんだが、いかんせん破壊力に欠け、妙に整い過ぎている。ブリューがメロウに歌い上げる普通の歌モノが割と多く、「6人でやらんといかんかったんかい?」と問い詰めたくなる内容だ。
だから私はこの時のライブに気乗りがしなくってスルーしてしまった。

その後、WOWOWで放映された中野サンプラザでのライブ“KING CRIMSON LIVE IN JAPAN”の映像をツレがVHSに録画したのをかりて見て、ライブに行かなかったことを激しく激しく激しく激しく激しく激しく後悔したのは言うまでもない。

それまで動くクリムゾンを見たことがなかったので、この映像はかなりショッキングだった。
シンセ音やピアノ音をギターで掻き鳴らすブリューのおちゃめなプレイ。悟りきったかのようなフリップ翁の佇まい。スティックという未知なる楽器から奏でられる高速音。
で、やっぱりビルのシャープなドラミングがカッコよすぎた!
結局この時がクリムゾンでビルが叩く最後のツアーとなったんだよな・・・
“Talking Drum”からの“太陽と戦慄 Pt.2”のリレー式再現を見られた時は「やったぜ!」って思いましたね。

そして、まだまだ若輩者だった私は「クリムゾンはライブバンドである!」っていうことをこの時初めて痛感させられたのだった。この古き良き時代のVHS映像で!

あああ~~~!!時間よー、戻れ!!

LIVE IN JAPAN 1995


P.S.
久々にツレからいまだかりパク中の、このVHS映像を鑑賞してて慄然としたのだが、“RED”演奏時に画面上にWOWOWの速報が流れ、“東北の太平洋側に津波注意報”というテロップが!!
これは、3.11を予言していたのだろうか!?

今日の1曲:『VROOOM VROOOM』/ KING CRIMSON
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21世紀のあましん異常者

2011年02月25日 | プログレッシヴ草稿
ツレが年端もいかぬ自分の子供にキング・クリムゾンの1stジャケットを手に持たせ、故バリー・ゴッドバー画伯描く、あのあまりにも有名な“歪み顔”をさせた写真を添付メールで送ってきた。
内ジャケのあの仏教的変なポーズまでもさせて!!

その写真を見て私は、“パラノイアの危険な入口”にさしかかっているなと、なにかしらゾッとする、名状しがたい太陽と戦慄を感じないではいられなかった。
その写真をブログにアップしようかとも思ったが(ツレもその危険性は十分に承知していたハズだ)、さすがにそれはピルトダウン人の道に外れる行為だと思いとどまり、ユニクロのフリースに身を包み、21世紀の精神異常者に扮した自分の写真をアップすることで満足したのであった。


いや、私は満足なんかしてはいない。

血塗られた拷問台 有刺鉄線

ガストのプレミアムカフェ・クーポン券。

だが 欲しいものはなにひとつ得られない。

21世紀の精神異常者。


くりむぞう。



今日の1曲:『21世紀の精神異常者』/ King Crimson
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再び赤い悪夢

2011年01月08日 | プログレッシヴ草稿
キング・クリムゾンの「RED~40周年記念エディション」を購入してしまった。
ジョーシンで30%OFFで売れ残っていたのを昨年の夏頃から目をつけてたのだ。
もっと安くならねぇかって・・・


しかし我慢も限界!どこかのプログレオタクに持ってかれる前に購入しておこうと!
何度も悔しい思いをするのはもうイヤだ!


クリムゾンの不朽の名作『RED』本企画盤は以下のような豪華内容となっている。

◆日本盤のみツイン紙ジャケット仕様(ようは紙ジャケが2枚。私はこれで3枚目になる)。
◆DVDオーディオ(5.1サラウンド&ステレオ。ミックスを手掛けているのはスティーヴン・ウィルソン from Porcupine Tree)
◆HQCD=英国初回仕様ジャケット(ハイ・クオリティーCD。新規ボートラ3曲追加)。
◆ロバート・フリップ、シド・スミス英文ライナー訳付。
◆DVDオーディオ部分にはボートラ4曲の他、映像特典収録。


1st『クリムゾン・キングの宮殿』を最高傑作とするのが世間一般の見方だが、実はクリムゾンファンやミュージシャンの間では、この『RED』こそがクリムゾンの最高傑作であるとの声も多く、私も同意見である。
かのニルヴァーナのフロントマンであったカート・コバーンも生前、確かこのアルバムに影響されていたと聞いたことがある。

ジャケットは「そして3人が残った」的な様相を呈してはいるが、実はメル・コリンズやイアン・マクドナルド、マーク・チャリグなど、歴代クリムゾンメンバーがゲストで参加しており、各々実にいい仕事をしていて、正に初期クリムゾンの集大成的な内容に仕上がっているといってよい。
とくにヴァイオリン奏者のデヴィッド・クロスなど、「神の導き」のインプロヴィゼーションで過去最高の軋ませ振りを発揮している。

本作のハイライトはなんといっても日本テクノ界の珍客、空手バカボンもカヴァーしたラスト曲「Starless」だろう。
ジョン・ウェットンのもの悲しげな歌メロと、ピーンと張り詰めた緊張感漲る分厚いファズ掛かったベースラインに、ブラッフォードの即興性抜群のパーカッション(チャリーン!というあの鐘音がたまらんて!)、後半の荒々しさを極めたドラミング、そしてフリップの同じフレーズを繰り返してるだけなのにやけに脳髄に響くヒズムギター。
ヘヴィかつ破壊的で壮麗きわだか。70年代クリムゾンの終焉を予見させる、正に名曲中の名曲である。
この作品には激動の時代を駆け抜けた3人の、筆舌に尽くし難いギリギリ限界のエナジーが詰め込まれている。


そして今宵、私はこの愛聴盤の5.1chのサラウンド・ミックスの贅沢過ぎる極上サウンドの法悦に授かろうとしている!!

・・・・・・・


って、プレステ2では規格外ってどーゆーこっちゃーい!!
アンダリャーーー!!
(いい加減まともなDVDプレーヤー買えよ)


仕方がないのでPCで映像特典の方を鑑賞。
フランスのTV局が1974年3月に収録した門外不出の貴重すぎるライブ映像である。
ま、ほぼこの映像目的で購入したようなもん。


わー、やっぱり有難迷惑な映像編集施てはるー
特に「夜を支配する人」の演奏シーンの映像エフェクトはひどい!ひどすぎる!
まぁでも、「太陽と戦慄2」「人々の嘆き」「Starless」の演奏シーンは想定以上にカメラワークバッチリでもう感無量。
ビルの素肌にオーバーオール姿・・・ステキ!
4人編成時は「Starless」のイントロギタメロ部分はクロスのヴァイオリンが担当してたのね。


今日の1曲:『Starless』/ King Crimson
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神々の戦い

2010年11月21日 | プログレッシヴ草稿
昨日、最寄駅前のイオンにベッキーが営業に来ていることを、ヤボ用で大阪に向かう途中に知った。
普段彼女が出てるような番組はことごとく見ないとはいえ、さすがに家から徒歩15分のところに超有名芸能人が来てると思うとちょっとテンションが上がってしまった。
俺も人の子だな。
まぁツレの結婚式行く前に、奈良のツタヤまで及川奈央のサイン会に行った過去のある私だが、大阪でのCD屋巡りの時間を割いてまで生ベッキーを拝みたいとはならなかった。
コーヒーハウスでクトゥルー本も読みたいしね。



大阪はすでにクリスマスムード一色。
相変わらず私はこの大衆の群れが苦手だ。第一歩きにくい。
いつもは御堂筋沿いを歩くのだが、ヤボ用は心斎橋筋でだったので。
ったく、クリスピードーナツのどこが美味いんだか・・・

タワレコにいくと、なんかチェブラーシカとのコラボ企画が展開されていた。
店舗でCD買うと期間限定でチェブラーシカサンタデザインのギフトラッピングに包んでくれるんだって!
めっさカワイイやんけ!!
買うもんなかったけど、無性にこのチェブラーシカラッピンが欲しくなってしまった。
なんだかんだこういうコラボレーションに弱いんかな?
じゃあベッキーかて白人と黄人のコラボではないか!
私はなんでかハーフタレントってものが鼻につくんよなー
偏見かもしれないが、飛びぬけた才能もねーのに単にハーフっつーだけでチヤホヤされてるというあの感じがどうもダメらしい。
この後マスターがニューハーフのロックバーに飲みに行ってる俺が言うのもなんやけど。



今回購入したCDもコラボ作品だったりする。
280円の見切り品コーナーを漁ってると、RUSHの『神々の戦い』をパロったジャケに目が止まったんだが、CYGNUS AND THE SEA MONSTERSというバンドで、アルバムタイトルが「ONE NIGHT IN CHICAGO」。どうやらライヴアルバムのようだ。
曲目も“2112”、“CYGNUS X-1”、“YYZ”・・・とRUSHの曲ばかりだ。
裏ジャケのバスドラになんか見覚えのあるマークが刻まれとるなと思ったら、あっそうか、ドリーム・シアターのマークやと気がついた。
そういえば、うちのラシュキチにマーク・ポートノイとポール・ギルバートが組んでRUSHの曲を演りたくるプロジェクトの話を聞いたことがあったような気がする。
ま、普段なら買わないんだがネタとしてはいいんじゃねぇかと。

で、家に帰ってさっそく聴いてみたんだが、ホンマ普通にRUSHの曲をコピってるだけ。ただそれだけだ。
これはもう軽音楽部の学祭のノリに近いんじゃないだろうか?
並みのテクニックでRUSHのコピーなんぞ出来んのはわかるが、アンタらの戯れごとにつき合わされてる人の身にもなってみぃという、あの感じ。


てか、オマエ誰やねん。


映像で見るとけっこうおもしろい。

今日の1曲:『YYZ』/ CYGUS AND THE SEA MONSTERS
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ピーヒャラピーヒャラ

2010年09月05日 | プログレッシヴ草稿
ここでは一生CDを買わないだろうと思っていた近所のイオン内にあるよくわからないCD屋で、一生聴かないだろうと思っていた日本のプログレバンド四人囃子の1974年の1stアルバム『一触即発』の紙ジャケリマスターが処分価格で売られていたのでこの際やし聴いてみたろかと、20代前半で封印したプログレ探求心をつかの間だけ開くことにした。
別に先月日比谷で行われた『プログレッシヴ・ロックの祭典~めくるめく音世界への誘い~』に彼らが出演してたからというわけではありません。

四人囃子は以前から興味がありましたが、あの時代の日本のバンドといったらフォークロックとか、グループサウンズみたいなイメージがあって四人囃子はそういうのにちょっと毛が生えた程度のバンドだろうなという勝手な思い込みがありやしてねぇ、へへへ・・・
ところがどっこい、これがかなり本格派のプログレバンドでありまして、まぁ一言で言うたら和製ピンク・フロイドといった感じですかね。
タイトル曲の「一触即発」なんて前半は狂気の“生命の息吹”で、後半の展開なんてモロ“ECHOES”してますから。
ただ、フロイドほどフォーキーではなくてけっこうハードロッキンしている。
演奏力、構成力もかなり卓越したもので、ギターボーカルの森園勝敏氏の奏でる幻惑的で美しいギターの旋律、そしてやはり日本語で歌われる独特の詩世界が日本バンドならではの個性と魅力を放っている。
特に本作でもっとも感銘を受けた「空と雲」はゆらゆら帝国も実は彼らに影響を受けたのではないか?と思わせるシュールなフレーズが見事に私のツボをつきまくった。
この曲を聴いてると、幼少時代の昭和の風景が脳裡にまざまざと浮かんでくるような、そんなノスタルジックな気分にさせてくれる。
木の枝をちぎって振り回しながら田んぼ道を闊歩して、花畑の中で立ちしょうべんをして、河川敷に落ちてるパリパリになったエロ本を持ってた木の枝でめくっていくような、そんなトキメキすら感じさせるのである。

このリマスター盤にはボートラにシングル曲のA面B面が収録されていて、この楽曲達もまた秀逸。
BOSTONのジャケを彷彿とさせるような超SF風ナンバー「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」で高らかに歌われるその歌詞は誇大妄想家の戯言のようにも聞こえるが、そこにはとてつもない壮大なロマンを感じとることができる。
人間椅子の「宇宙遊泳」やVOIVODの「JACK LUMINOUS」など、一見子供っぽいバカバカしいSFという題材をいかにロマンティックにやり切るかが、プログレアーティストとしての腕の見せ所であろう。
B面曲「BUEN DIA」のスタジオミュージシャン然とした演奏のインストナンバーも普通にいい曲です。

今回「一触即発」の歌詞の中で「キンピカの時計がいったいどうしたってぇ!?」というフレーズが非常に印象深かったのですが、二十歳の頃大学で私が会話の中で“キンピカ”という表現を使ってしまい「いつの時代やねん!」といって友達に大笑いされた悲しい過去があるのですが、この時代のフレーズだったんですねぇ。
そら笑われるわ。



今日の1曲:『空と雲』/ 四人囃子
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ミル・ビル

2010年05月17日 | プログレッシヴ草稿
ずいぶん前やけど、従業員の私語がやらたデカくて不愉快なブックオフのDVDコーナーで、プログレ系の中古DVDが大量に売りさばかれておってギョっとした。
おそらく、金に困った(もしくは結婚を期に)どっかのプログレオタクが断腸の思いでコレクションを大量処分したのだと思われる。
で、なんとその中にBRUFORDの「ROCK GOES TO COLLEGE」のDVDなんかもあるではないか!しかも500円で!!
そらあんた、もちろん即買いですがな。
(IT BITESの「Live in Tokyo」のDVDも500円で売りさばかれていたのでついでに購入)

このライヴ映像は、ビルがアラン・ホールズワーズと共にU.K.を抜けてから再びデヴィッド・スチュワートとジェフ・バーリンを呼び寄せて作ったアルバム「ONE OF A KIND」リリースにともない、1979年3月7日オックスフォード工科大学で行ったライブで、BBC「ROCK GOES TO COLLEGE」という番組でオンエアされた貴重過ぎるお宝映像。

こないだのGWの午後連会合の場で上映してみたのだが、意外にみんなの食いつきがよく、かなり場を賑わせた。
やはり、ジェフ・バーリンのバリンバリンゆわす超絶ベースプレイが皆の耳を惹くようである。
ホールズワースのアーミング、鍵盤に錘を載せて和音を残すといった原始的なスチュワートのキーボード操作も目を引いたようだったが、なんといっても途中ゲストボーカルで登場したアネット・ピーコック嬢の挙動不審なパフォーマンスに一同が一斉にざわめきだした。

とにかく袖から出てきた時から全くやる気が感じられない。
歌の出だしもおぼつかない感じで、緊張してヤクでもやってるのか、どこか目が虚ろ。
やる気がないながらも一応テキトーな振り付けがあるんだが、全盛期のWinkばりにギコチがない。
途中振り付けの拍子にコートを脱ぎ捨てるのだが、ノースリーブ姿とかならセクシーな演出にもなっただろうに、どんだけ貞操観念強いねん!ちゅーぐらいゴワゴワのダサいベージュ色の衣服を身にまとっていた。
2曲目“Goodbye to the Past”では歌唱も安定してきて、ラストのビブラートなどはさすがプロといった感じだった。
そして2曲を終えたところで一片の愛想も振りまくことなく、サッサと舞台袖にハケていってしまった。

感情どこいったんやねん!


全くやる気が感じられない。


曲の途中でどこいくねーーーーん!!??


と思ったらビルの後ろに現れた。その後この定位置でずっと歌ってた。


いや、それでもブラッフォードの傑作「FEELS GOOD TO ME」を聴き、あの妖艶なウィスパーヴォイスの虜になった者にとっては、アネット・ピーコックの動く貴重な姿は鼻血モノであったはずだ。



今日の1曲:『Back to the beginning』/ Bill Bruford←ハッピーバースデー
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プログレナンセンス

2010年01月19日 | プログレッシヴ草稿
友人がドリーム・シアターの昨年の最新作『Black Clouds & Silver Linings』の3枚組限定盤の中古を定価の半値以下で手に入れてくれて、やっとこさ聴いたんですが、なんかドリムシはもうヤバくなってきてますねぇ。

今は亡き奈良のHMVで1曲目を16分間丸々視聴した時はなかなか良い感触を持ったんですが、家でジックリ聴き込むと多少ギターソロに反応するくらいで、1曲通しての完成度が格段に落ちており、演奏パターンのマンネリ化も目立ちます。
バンドをほぼ私物化してきているポートノイのドラム音もなんだか耳障り。
特に4、5のつき合わされてる感が半端ないですね。
5にはお悔やみ申し上げるが、4とか単なるツギハギですやん。
とてつもない鍛錬と音楽に対する創作意欲がないと、ここまでのレベルにはなかなか到達しないのは分かるんだけど、いい曲書けなきゃ中身のないCG映画みたいなもんっすよ。

Disc2のカヴァー集はそこそこ楽しめましたが、まぁ所詮は企画モノです。
原曲は知らんけども、THE DIXIE DREGSのカヴァー曲がプログレメタル的に一番聞き応えがあったかと。
あと、メイデンの“惑星征服”のカヴァーを聴くにおよんで、やっぱドリムシの音楽ってこの辺に一番近いんではないかと感じました。
クリムゾンのカヴァーとか、もう畑違いというか、身の程を知らんというか。

ちなみに彼らが今回カヴァーしたRAINBOWの“STARGAZER”と、KING CRIMSONの“太陽と戦慄 パート2”は、人間椅子が過去すでにカヴァーしてたりする。

『STARGAZER』/ 人間椅子

ヴォーカルについての批判は一切受けつけない。こればっかりは人間椅子愛がないと無理だろう。

『太陽と戦慄 パート2』/ 人間椅子

今回のツアーもとうとう日本飛ばしで、前作で愛想がつきて本作の購入を見送った我が国のファンが案外多かったのではなかろうかと。

なお、Disc3のカラオケ集に関しては一生聴かないような気がする。

今日の1曲:『谷間のゆり』/ DREAM THEATER
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