前回の映画『盲獣VS一寸法師』の記事で、「この作品は江戸川乱歩作品の『盲獣』と、『踊る一寸法師』を掛け合わせたもの」と書いてしまったけど、正確には『一寸法師』だったんですね。
この作品はかな~り昔に一度だけ読んだ話だったので、もう内容の記憶は忘却の果てに消えておりました。まぁ自分にとってそれほどインパクトがなかった作品だったのかもしれません。
あの曲馬団での回想シーンは『踊る一寸法師』の内容が取り入れてあって、この作品はよく覚えておりました。だから“踊る”の方と勘違いしてしまったんですね。
確かにこの映画での一寸法師は少しも踊ってはいません。怪奇な存在というより、なんだかものすごく不愍で悲哀を感じさせる役どころだったと思います。
山野夫人を手込めにしようとしても兄貴に邪魔されたり、曲馬団ではいじめられ、最期には屋根から落っこちて死んでしまい、挙句の果てには明智の策略で女中殺しの罪を被せられるという、なんとも可哀想過ぎる扱われ方でした。
せめて山野夫人と一発・・・いや1回くらいは一夜を共にさせてやってもよかったのではないでしょうか?
(「橋本麗香の濡れ場シーンを見たかっただけやろ!」という邪推はお断りだ!)
さて、そんな哀れな彼に捧げたい一枚のアルバムを今日は紹介したいと思います。
それは日本の猟奇的ハードロックバンド人間椅子の『踊る一寸法師』でございます。
このアルバムは彼らがメジャーレーベルとの契約が切れて、再びインディーズの地下に潜り込んだ時の5thアルバムなのですが、いやいやどうしてこれが名曲揃いの傑作アルバムなのです。
インファント島の住民が吹いている笛を意識した木目細かな音色の和嶋氏のギターソロが印象深いM1“モスラ”。津軽弁全開の歌詞に津軽じょんがら節とサバス趣味がこれ以上ない程絶妙にマッチした超名曲M3“どだればち”。
ドライブ時のBGMには最適なMSGの“ARMED&READY”風ノリノリロッケンローなM4“ギリギリ・ハイウェイ”。おそらく目に見えぬエイズの脅威を歌ったと思われるドゥームナンバーM5“エイズルコトナキシロモノ”。
鈴木氏のうだつの上がらない人生をパチンコの羽根モノに喩えて歌った出だしがユーライア・ヒープの“7月の朝”を彷彿とさせるフォークロック哀歌M6“羽根物人生”。エンディングのアルペジオとブルージーなソロが美しいM7“時間を止めた男”。今でもライブではアンコール定番のスラッシュナンバーM8“ダイナマイト”。
そして最後を飾るのは、もちろん陰鬱怪奇を極めたタイトルナンバー“踊る一寸法師”である。
私が“踊る一寸法師”を初めて聴いたのは、土蔵のような造りの京都の由緒正しきライヴハウス磔磔での『踊る一寸法師のレコ発ツアーライブ』を見に行った時でした。
この時の“踊る一寸法師”を演奏する人間椅子の姿は、もう本当に鬼気迫るものがございました。
ブラック・サバスの“黒い安息日”を彷彿とさせるフレーズに、和嶋氏の狂ったギターの不協和音がこだまし、あやかしのベースラインを刻みながら「フヒャッハッハッハ!」と狂笑するブルーライトに照らし出された不気味に蒼白く浮かんだ慄然たる鈴木氏のニヤニヤ顔は私のトラウマとなり、私の脳裏に深く刻み込まれました。
会場全体が凍りついたような空気の中、この悍ましくも美しい怪演に、誰ひとり声も発することができずに、ただ茫然と見惚れておったのを、今でもハッキリと覚えております。
私もこの慄然たる光景を見たときは、なにやらゾっとする名状し難い一種異様な戦慄を感じないではいられませんでした。
闇に融けゆく 影法師ひとつ
人の道から 外れて伸びろ
きれいみにくい みにくいきれい
からくれないと 道化は笑う
今日の1曲:『どだればち』/ 人間椅子
この作品はかな~り昔に一度だけ読んだ話だったので、もう内容の記憶は忘却の果てに消えておりました。まぁ自分にとってそれほどインパクトがなかった作品だったのかもしれません。
あの曲馬団での回想シーンは『踊る一寸法師』の内容が取り入れてあって、この作品はよく覚えておりました。だから“踊る”の方と勘違いしてしまったんですね。
確かにこの映画での一寸法師は少しも踊ってはいません。怪奇な存在というより、なんだかものすごく不愍で悲哀を感じさせる役どころだったと思います。
山野夫人を手込めにしようとしても兄貴に邪魔されたり、曲馬団ではいじめられ、最期には屋根から落っこちて死んでしまい、挙句の果てには明智の策略で女中殺しの罪を被せられるという、なんとも可哀想過ぎる扱われ方でした。
せめて山野夫人と一発・・・いや1回くらいは一夜を共にさせてやってもよかったのではないでしょうか?
(「橋本麗香の濡れ場シーンを見たかっただけやろ!」という邪推はお断りだ!)
さて、そんな哀れな彼に捧げたい一枚のアルバムを今日は紹介したいと思います。
それは日本の猟奇的ハードロックバンド人間椅子の『踊る一寸法師』でございます。
このアルバムは彼らがメジャーレーベルとの契約が切れて、再びインディーズの地下に潜り込んだ時の5thアルバムなのですが、いやいやどうしてこれが名曲揃いの傑作アルバムなのです。
インファント島の住民が吹いている笛を意識した木目細かな音色の和嶋氏のギターソロが印象深いM1“モスラ”。津軽弁全開の歌詞に津軽じょんがら節とサバス趣味がこれ以上ない程絶妙にマッチした超名曲M3“どだればち”。
ドライブ時のBGMには最適なMSGの“ARMED&READY”風ノリノリロッケンローなM4“ギリギリ・ハイウェイ”。おそらく目に見えぬエイズの脅威を歌ったと思われるドゥームナンバーM5“エイズルコトナキシロモノ”。
鈴木氏のうだつの上がらない人生をパチンコの羽根モノに喩えて歌った出だしがユーライア・ヒープの“7月の朝”を彷彿とさせるフォークロック哀歌M6“羽根物人生”。エンディングのアルペジオとブルージーなソロが美しいM7“時間を止めた男”。今でもライブではアンコール定番のスラッシュナンバーM8“ダイナマイト”。
そして最後を飾るのは、もちろん陰鬱怪奇を極めたタイトルナンバー“踊る一寸法師”である。
私が“踊る一寸法師”を初めて聴いたのは、土蔵のような造りの京都の由緒正しきライヴハウス磔磔での『踊る一寸法師のレコ発ツアーライブ』を見に行った時でした。
この時の“踊る一寸法師”を演奏する人間椅子の姿は、もう本当に鬼気迫るものがございました。
ブラック・サバスの“黒い安息日”を彷彿とさせるフレーズに、和嶋氏の狂ったギターの不協和音がこだまし、あやかしのベースラインを刻みながら「フヒャッハッハッハ!」と狂笑するブルーライトに照らし出された不気味に蒼白く浮かんだ慄然たる鈴木氏のニヤニヤ顔は私のトラウマとなり、私の脳裏に深く刻み込まれました。
会場全体が凍りついたような空気の中、この悍ましくも美しい怪演に、誰ひとり声も発することができずに、ただ茫然と見惚れておったのを、今でもハッキリと覚えております。
私もこの慄然たる光景を見たときは、なにやらゾっとする名状し難い一種異様な戦慄を感じないではいられませんでした。
闇に融けゆく 影法師ひとつ
人の道から 外れて伸びろ
きれいみにくい みにくいきれい
からくれないと 道化は笑う
今日の1曲:『どだればち』/ 人間椅子