AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

サーペンス・アルバム

2013年01月09日 | ルルイエ異本
今年は巳年ということで、ヘヴィメタルバンドの蛇的なジャケットを並べてみようかと思ったんだが、ホワイトスネイクのアルバム以外は、Y&Tの『MEAN STREAK』が思い浮かんだぐらいで、あれのアナログ盤どこいったか忘れた。
あ、そうだ!メタリカのブラックアルバムも確か蛇がトグロまいてるやつだったな、と思ったが持ってなかったことに気づいた。

さて、巳といえばやはり思い起こされるのが、世界各地で見られる蛇神崇拝のことである。
南米のアステカの神話の中にでてくる“ケツァルコアトル”という蛇神は、緑色の翼のはえた巨大な蛇で、人の姿をとることもある。言い伝えによれば人間に火を与えたとされる。
中国の太古の龍伝説にも、“伏義”と“女媧”という兄妹神がでてきて、頭は人だが、身体が鱗を覆っていた。易という占いの起源となる八卦も生み出し、やはり人間に火を与えたという。

しかし、中でも極めて偏執狂的なのが、アメリカは中央オクラホマの特定のインディアン部族の間で盛んな蛇神“イグ”信仰であろう。
イグは、“外なる神”の一柱であり、あらゆる爬虫類の始祖とされることもある。イグの眷属にあたる蛇を害する者を蛇に変え、おぞましい死を与える。ゼリア・ビショップの著作にある、オクラホマで蛇を殺した夫婦がイグによって呪い殺される話は有名だ。
そう、イグは子煩悩で知られる神性なのだ。
しかるがゆえに、蛇に敬意をもって接する限り、危害をもたらすことはない。それどころかイグの恩寵を受けた者には、絶大なる富が与えられるという。



現在では絶版となって、闇黒神話としてはすこぶる希少価値の高い朝松健氏が編纂したクトゥルーアンソロジー『秘神界』の“歴史編”と“現代編”の2冊を、昨年末にセットで入手することに成功した。
その“歴史編”の中に収録されている、末殿理央という作家が著した『蛇蜜』という物語がかなり興味深く、日本人が書いたとは思えないほど西洋的闇黒神話の雰囲気が出ており、構成力も豊かで読み応えがあった。
主人公が自分が“イグの仔”であるという、己のおぞましい運命に目覚めていく半生を追ったもので、まぁ言うなれば「インスマウスの影」のイグ版といったところであろうか。
この物語の中で、彼の父ジェイムズ・ジョンソンが著した『アメリカ大陸と東洋における蛇神崇拝について』というオリジナルの文献が出てきて、彼はミスカトニック大学付属図書館で、ルドウィック・プリンの『妖蛆の秘密』を読み耽っているうちにイグの蛇神崇拝のことに触れ、ある日突然中央オクラホマに旅立ち、数年後にひとりの息子をもうけて帰ってきたのだそうじゃ。その男の子は、一見普通の子であったが、予知能力に長けているほか、10月から12月にかけて異常な飢餓感に苛まれ、凶暴化し手がつけられないありさまだったという。
しかし、その男の子の予知能力のおかげで、ジェイムズは貿易事業で巨万の富を得たのだそうじゃ。
彼は息子アルバートに謎の手記を書き残して、ほどなくしてこの世を去った。

ああ、誉むべきかな蛇神イグ。その仔らに永久の栄えあれ!


で、なにが言いたいのかというと、今年は巳年ということもあるので、蛇を大切にしようということである。
とくにオクラホマでは何人も蛇を殺してはいけません。

さて、今宵はカテドラルの1st『この森の静寂の中で』に収められている宗教ナンバー“蛇眼”でも聴いて、蛇神イグの呪わしく甘美な蛇蜜に思いを馳せることにいたそうか。

大蛇の出現を待つ夜に
その魂をたたえる歌を、召還の呪文を
大蛇召還を待ち我らは改宗す




てな感じで、今年も自由奔放に何のためにもならないブログ記事を更新していく所存にございます。
謹んで、新春のお喜びを申し上げます。

今日の1曲:『Serpent Eve』/ Cathedral
コメント
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