AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

her?

2014年08月04日 | しねしねシネマ
先日『her/世界でひとつの彼女』という、いかにも女性好みの映画作品を鑑賞してしまった。

タイトルやポスターから、どう考えても私に似つかわしくないこの作品を劇場で鑑賞したのは、なにも本作がアカデミー賞で脚本賞を受賞したからではない。
理由は単純で、監督がスパイク・ジョーンズだったからだ。
といっても小生、スパイク・ジョーンズの作品を見るのは約10年振り。あの傑作『アダプテーション』以来となる。

スパイク・ジョーンズは、ビースティ・ボーイズやビョークなど、奇想天外な発想でユニークなプロモーション画を撮るMV監督として昔から好きだった。だから今回もそういうのを期待してたんだが、意外と洗練された純愛ラブストーリーだった。
まぁ恋愛対象がPCのOSってのが奇抜な設定なのであるが。

離婚調停中でシングルになって孤独感に打ちひしがれていた主人公が、ある日自分のPCに人工知能型OS“サマンサ”をインストールする。“サマンサ”は普通の女性のように会話し、データ処理の他、良き相談役、話し相手となって主人公に接しているうちに、お互いが意識をしはじめ恋にまで発展。
スカーレット・ヨハンソンが声優をつとめるセクシィヴォイスの効果もあったと思うが、これは肉体の域を超えた精神の結びつきが実に鮮明に描かれている。そしてついにふたりは会話だけでオルガズムの境地にまで達してしまう。




近いところで人間がロボットに恋をするって話が今まであったと思うが、私が思いつくのは『火の鳥 ~復活編~』での事務用ロボットのチヒロと宮津レオナとの恋だ。しかしこの場合、レオナは生身の人間がガラクタに、ロボット(無機物)が人間に見えるという視覚障害を患っており、やはり視覚的な部分で恋に発展している。



もうひとつ思い出したのが『ブラックジャック』の(手塚作品ばっかりでスンマシェン)「海賊の腕」というエピソードで、病気で義手になりヤケになっていた少年イッチンが、そのしゃべる機能を持つ義手に励まされることによって感情移入していって人生が開けるというエピソード。しかしそのしゃべる義手は実は陰で少年を慕う少女が遠隔マイクで話しかけていたものだったのだ。



今回の『her』でも内心そういう展開をちょっと期待した。最後にはスカーレット・ヨハンソンが出てきて実体のある結びつきへと開花するっていう。
「十分声だけでもめっちゃセクシーやん!やっぱスカーレットに憧れちゃう!」ってのが女性評なんやろうけど、男は浅はかなもんでやっぱスカーレットの美貌が拝みたいじゃん?

鑑賞中は退屈もせずそれなりに楽しめたんだが、正直この作品の真意みたいなもんはつかめなくて、話のオチも微妙だった。
OSなもんだから、実は二又どころか六千又くらいかけててそれは全部本当の愛でその男どもといつも同時に会話してたなんて、それでなんかギクシャクして最後はOSの方から「もうお別れよ」っていうラストの展開には正直ついていけなくて「her?」ってなってしまった。
これはもうシステムの復元するしかありませんわ。


でもエンドロールの最後で、監督の「~~に捧ぐ」のところにアダム・ヤウクの名がクレジットされていたのには少しジンとなった。

Beastie Boys 'Sabotage' Interview on 'Ciao L.A.'


オススメ度:★★★

今日の1曲:『Sabotage』/ Beastie Boys
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする