AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

えれぇ面子だクリムゾンキング

2015年12月25日 | コンサート
キング・クリムゾン12年ぶりの来日公演『THE ELEMENTS OF KING CRIMSON TOUR in JAPAN 2015』。
大阪公演初日に行ってきた。

くどいようだが、私にとって人生初クリムゾンライブである。
高校のときより聴き続けてきて、1995年のダブルトリオ期、2003年のヌーヴォメタル期の2度の来日公演に行くチャンスをことごとく逃してきた。
都合がつかなかったというわけではない。なんか見す見す逃してきたのだ。
そして数年前のロバート・フリップ引退宣言により、ああ、もう一生クリムゾンのライブを見ることができないんだと失意に暮れておったのだが。

いやー、長生きはするもんだ。
1年前クリムゾン再始動の知らせが聞こえてきて、今年ついに12年ぶりの来日公演が決定。
今回は絶対逃すまいと、15000円という高額設定のチケ代なぞ驚くにはあたらなかった。
そして今年のモトリーのライブでお会いしたクリマン有料会員の大学の同期のツレの後輩さんに図々しくも先行予約の抽選を頼んでみたところ・・・・

やっぱクリマン会員様様!!この奇っ怪極まりないチケデザインと席番に鼻血出た。
しかも席番はなんと私の誕生日ナンバー。もう家宝。



当日、一緒にチケットをとった唯一といっていいクリ友のサムソンとフェスティバルホールで待ち合わせ。
彼は1995年のダブルトリオライブを目撃している男だ。


フェスティバルホールはすっかりクリスマス一色。
ふん、今の俺には何も感じないがね。全てが無意味だ。



開演前、客のひとりがなんか警察沙汰起こしてた。


テロを警戒してか、一人に対して警察官の動員数が多過ぎた。
その警察沙汰起こしてたおっちゃんは、いかにも内田裕也タイプの初老のおっちゃんで、まぁ12年ぶりの日本公演だからなぁ・・・・興奮してらしたのだろう。

開場時間の30分前に着いたが、物販販売はすでに始まっていて長蛇の列ができており、かなり焦った。
サムソンの到着を待たずして行列に並ぶ。まぁでも今んところサイズ切れはなさそうだった。

イン・ザ・コート・オブ・ザ・クリムゾンガールズ。



会場入りして、まずステージにメンバーそれぞれの楽器群がズラリと並べられているのが目に入ってきた。
フロントのトリプルドラムセットの配色がことごとく青で、今回は青を基調としたステージなのだということが窺えた。
パーツを見て、誰がどのドラムセットに座るのかは一目瞭然だった。
私は正直ギャヴィン・ハリソン側に座りたかったのだが、左側のパット・マステロットのまん前だった。
しかもこの位置はロバート・フリップからもかなり離れている。




そして7人のメンバーが登場。全員が正装。ネクタイもほとんどの者が着用していた。
なぜか「トニーー!!」のコールだけ起こる。出戻りだからか?それならメル・コリンズもそうだろ。
今回メルがツアーメンバーに加わったことには、大いに心騒がされた。なんせフリップを除く唯一の70年代クリムゾンメンバーだからな。
管楽器色が強い70年代の『宮殿』~『アイランズ』からの楽曲が演奏されることを期待せずにはおれなかった。

ただ、今回のメンバーには得体の知れないのが約2名いる。
ギターヴォーカルのジャコ・ジャクスジクとドラムのビル・リーフリンだ。

このジャコのアコースティッキーなギターの調べにのって、「平和」の独唱で幕が開けた。
これにはちょっと意表をつかれた感じ。まさかいきなり2nd『ポセイドンのめざめ』からとは!
ただ、歌の出だしでギターのピック位置を見失ったかなにかで、ジャコが確認のため下を見て歌が途切れるという・・・
これには愕然とした。「おいおい、この人大丈夫か?」と。

まぁグレッグ・レイクやらジョン・ウェットンらの歴代Voの全責任を背負ってるからなぁ。
それに開演中、ずっと翁にこの至近距離で見られてるんだぜ。そのプレッシャーたるや相当だと思うよ。



で、シャンシャンシャンシャン・・・・という、不穏なSE音が流れ出し「キタ!!」と思った。
そう!「太陽と戦慄 Part.1」である!
まさか生きているうちにこの曲を生で聴けるとは・・・感激極まりなかった。

で、お次は「冷たい街の情景」と、これまたいイヒョーー!という感じ。こんな曲やるんや!
いやいや「21世紀の精神異常者」の2番煎じ曲とはいえ、この曲のリズムセクションは最高なんだ。

そして早くも「エピタフ ~墓碑銘~」キターー!!
ここでわかったのが、中央位置にいたビル・リーフリンの役割。
彼はシンセサイザーも担当していて、初期のメロトロンがふんだんに使われる曲になったら彼がそれを再現する役割を担っていたんだ。
ドラムプレイに関しては特に注目に値するところはなかったので私はそう解釈した。


この調子で順番にタラタラ演奏曲紹介していくのもアレなんでセトリをば。


01. Peace
02. Larks' Tongues in Aspic, Part I
03. Pictures of a City
04. Epitaph
05. Radical Action (To Unseat the Hold of Monkey Mind)
06. Meltdoun
07. Radical Action (To Unseat the Hold of Monkey Mind II)
08. Level Five
09. Easy Money
10. The Letters
11. The ConstruKction of Light
12. Hell Hounds of Krim
13. Red
14. 21st Century Schizoid Man
15. Starless

encore

16. The Talking Drum
17. Larks' Tongues in Aspic, Part II
18. The Court of the Crimson King



見ての通り、以前のクリムゾンらしからぬオールタイムベスト的なものとなっている。
ただ、ブリューの歌モノ(ディシプリン期)の曲はいっさいなし。
まぁトリッキーすぎるあの個性を再現するのは無理やろからな。


心底感激したのが、「Easy Money」が演奏されたとき。
なんといっても中盤のインプロヴィゼーション。これはかなりきてた。
とにかくまん前で演奏しているパット・マステロットから目が離せなかった。
Crimson Projectの時も思ったが、彼はジェイミー・ミューア(あるいはブラッフォード)の意思をそのまま引き継いでおり、あらゆるパーカスの小道具を取りそろえ、ドラムセットはどこかディシプリン時代のビルのセットを彷彿とさせていた。
特に「戦慄Part.1」など、『太陽と戦慄』からの曲では彼が主役同然で、様々な奇抜な小道具の音で我々を楽しませてくれた。
高性能と思われるマイクが2ヶ所に取り付けられていて、そこでリール音を鳴らしたりパフパフラッパを鳴らしたり、かと思えばでっかい鉄板型の銅鑼を持ちあげてバンバンやる。
ダブルトリオの時は「いらんやろ」と思っていたが、やはり長年クリムゾンに在籍しプロジェクトなんかでもクリムゾンの楽曲を演奏しつづけているパットは、クリムゾンの楽曲をやりこなす技を身につけ磨きあげてきたのだ。

Porcupine Treeの凄腕ドラマー、ギャヴィン・ハリソンのプレイを初に拝めるのは今ライブの楽しみのひとつであったが、ポーキュパインのライブの時みたいにやりすぎず、的確なプレイに徹していたように思われ(上で翁が見てるからな)、ちょっと個人的にはもの足りなかった。
ただ、「21世紀~」では後半のテーマに戻る前に、これぞギャヴィン!な超絶ロングドラムソロが披露され、観客の度肝を抜いていた。

ちょっと勇気のいる発言だが、ちまたで絶賛されている今回の目玉であるトリプルドラム効果に関しては、正直私にはその意味合いがいまいち見いだせなかった。
なんかひとりでもやりこなせるドラムを3人で無理くり分担してやってるみたいなところが多々見受けられたし、パットとギャヴィンはそれぞれの役割分担を果たせていたとは思うが、真ん中のリーフリンに関しては両端の二人と比べると、どうしても存在が薄すぎた。ま、彼はシンセサイザー要員ってことで。


そして、なんといってもメル・コリンズの存在。
常にニコニコ顔のメル。彼が今ツアーに参加した意義はやはりデカくて、「The Letters」、「Starless」、そしてまさか演るとは思ってなかったラストに演奏された「クリムゾン・キングの宮殿」がレコーディングに近い形で再現されたのは、やはり彼がいてこそなのだ。
アルト、テナーサックス、フルートと管楽器を自在に持ち替え演奏するメル。「太陽と戦慄Ⅰ」のインプロではフルートで「君が代」のメロディを挟んだり、ときおり曲のイントロの部分で意味不明のダンスを踊り出すなど、結構オチャメな人だった。
けっこう近いところで見ていたので、ライブ中何回も目が合ったような気がした。
本編最後の「Starless」でのサックスソロは、ほんとカッコよかったなぁ・・・・


ロバート・フリップは遠かったのでイマイチ何やってるのかわからなかったが、彼のギターで「Starless」のあのメンイフレーズを聞けたのはよかった。
終盤ではステージが赤に染まった。



ライブ前、会場に入ったら、ステージ上に並べられた楽器群を塞ぐように、撮影録音禁止の注意書きのデカい看板が3本も立てかけられてあって、スタッフが警察犬のごとくにらみをきかせたり、怒声を浴びせたりしていたのはすこぶる感じが悪かった。
まぁ著作権とかにうるさいロバート翁のお達しであったのだろう。

ただ、ライブが終わった後にレヴィンが客席にカメラを向けてる間だけ撮影OKという特殊な緩和があった。
まぁあわてふためいて、ほとんどいい画はとれなかったが・・・




終演後、連夜の東京公演を回ってきたと思しき客の「今日は当たり日やった!」という声が聞こえてきた。
確かにセトリを見ると、あらゆる時代の代表曲がズラリと並んでいて豪華というほかない。
ただ、個人的な意見としては、「再び赤い悪夢」や「船乗りの話」などが演奏された日の方が当たり日だったような気がする。


しかし、今回は最後やと思ってちょっと物販奮発しすぎたか・・・
いや、もっとツワモノはおるやろうけど。軽く15000円のチケ代を上回ってしまった。




今回初観戦となったキング・クリムゾンのライブ。
一生見れないであろう、演奏されないであろうと思っていた珠玉の名曲群を、本物のクリムゾンで生で拝見できたのは本当によかったと思う・・・うん、ほんとそう思う。
思うのだが・・・フリップ翁はなんか丸くなってしまったなぁ、という淋しさも拭えなかった。
なにか殺伐とした緊迫感や、一触即発的なカオスが足りなかったように思えた。
10年前に来日したクリムゾントリビュートバンド“21stスキッツォイドバンド”で歌ってたジャコ・ジャクスジクをヴォーカルに据えたのにも、なんか妥協したんかなーっと。
いや、彼のヴォーカルにそれほど不満があったというわけじゃない。あらゆる時代の代表曲を、あれだけ無難に歌いこなせたら上出来だろう。
ただ、やっぱトリビュート感が否めないのね。
トニーのベースも初期の曲を演るには、ちょっとヘヴィさが足りないというか。


フリップ翁は今ツアーにおいて、とってつけた感は否めないものの、トリプルドラムというクリムゾンの進化を見せつけつつ、長年のファンに感謝の意も込めて、往年のオールタイム的名曲群を最後(?)に披露して有終の美を飾ろうとしたのではないだろうか。
ちょっと寂し過ぎる考察だが、そう思えてならないのだ。

でもまた日本に来てほしいな。


今日の1曲:『クリムゾン・キングの宮殿』/ King Crimson
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