AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

涙のリクエストベスト

2020年11月03日 | まったり邦楽
Cocco の3回目のベストアルバム『20周年リクエストベスト+レアトラックス』をようやくゲット。
3CD+1DVDの4枚組で、それに豪華フォトブックが付属した限定BOXセットである。


とにかく寿感がハンパない。



パッケージに沖縄伝統衣装に身を包んだ幼少の頃のCoccoの大写しが掲載されるなど、この20周年を祝さんがゆえの出血大サービスぶり。
まぁこれは彼女自身のための記念盤であるという趣が強い。



フォトブックの内容はなかなかよかった。



シングルジャケットのアナザーショットが満載されていたのはうれしかった。



本作がリリースされた3年前に購入することを躊躇したのは、その当時も言ったと思うが、音源を殆ど持っていたからである。
とにかくベストアルバムというものは、元々ファンである者にとっては殆どメリットのないシロモノであるし、今回のはファン投票で選ばれたベスト盤ということだったが、それこそいよいよ興味が沸かない。

レアトラックスがあるぢゃないか!と思われるかも知れないが、まぁCoccoが活動中止を発表した2000年以降当初は、それこそ熱心にCoccoの動向を注視していた中々のストーカー野郎だったので、絵本を出してそれに付属されたCDなどはもちろん、沖縄限定のVHS+シングルCD『風化風葬』、『ジュゴンの見える丘』沖縄限定盤などはわざわざ琉球レコードの通販で取り寄せたし、ゴミゼロ大作戦のDVD『Heaven's Hell』付属のCD(まぁ参加したからね)、塚本晋也監督の映画『ヴィタール』の主題歌「blue bird」が収録された8cmCDももちろん持ってる(今回収録されてないけど)。
松田聖子、尾崎豊の一連のトリビュートアルバムに参加したときのカヴァー曲もレンタルでかりて音源は保存してある(まぁこれらはレアだけど、いらんよなぁ)。
今回目新しかったレア曲は、これも沖縄民謡のカヴァー曲?「オジー自慢のオリオンビール」くらいか。




まぁせっかくなので、Disc1から順に曲目を見ずに聴いていきました。
聴いてて思ったのが、「え?これってCoccoのベスト盤しか持ってない人たちばっかが投票したの?」っていうくらいシングル曲、PV曲オンパの定番セレクション。
2、3曲そうじゃない曲もあるけど、「おお、これが入選したか!」みたいな意外性は殆ど感じられなかった。
意外といえば、Coccoが3年前のインタビューで、投票の結果「手の鳴る方へ」が1位だったって言っててこれは意外やなぁとは思ったけど、正直「はぁ?」て感じ(個人の感想です)。
あとレアトラックス枠なのか、くるりとのコラボバンドSINGER SONGERの楽曲を入れるのはちがうんじゃないかと思うんだが、でもこれもCoccoの20年間の音楽活動の内のひとつなのでアリということか。
まぁ久々(10年ぶりくらい?)に聴いた「ジュゴンの見える丘」や「箱舟」などの、ちょっと忘れかけていた楽曲の秀逸さを再確認できたのはよかったかな。


などと、投票にも参加してないクセに、ここまで散々コアなファン特有の捻じ曲がった能書きたれときながらも、なぜこのベスト盤を入手したのかというと、もうおわかりですね?

そう、本作には、活動中止前最後のライブとなった、2000年10月6日に行われた日本武道館でのツアーファイナルの全プログラム映像が収められたDVDが付いていたからに他ならない。




この2000年の武道館ライブ映像は、Coccoが活動中止を新聞の一面で発表した後、SSTVで放映されたもので、当時VHSに録画してテープすりきれるくらい何回も観たものさ。
このライブ映像がいつDVD化され、正式に映像作品として市販されるのかと、20年も前からずっと切望し続け待っていたんだが。
まさか、こんな形でのDVD化になるとはね。


で、先週の土曜の晩、家族の者が寝静まってからリヴィングで明かりを消して、野菜ジュースを片手にフラットテレビで鑑賞。

思ってたより画質も音質も悪くて、ちょっと残念な気分になってしまった。
まぁ20年前撮られた映像だからなぁ・・・元々のマスターが今と比べてそんなに良くはないのだろう。
ライブ始まる前に、オープニングで流れてた緊張感高まる壮大なADIEMUSの「魂の歌」も版権の都合かハショられてた。




いや、しかし、この映像も10数年ぶりに観たけど、やっぱこの頃のCoccoは凄い。
この歳になって、久々に20代の頃のようにお茶の間でひとり憚りもなく興奮しちまったい。
(だから家族が寝静まるのを待ったんだ)

もちろん今のCoccoもライブでは凄い迫力だ。常に全力投球だし。
でもやっぱプロらしくなったというか、昔と比べて余裕があり、もの凄く丁寧に歌いあげてるし、ちょっとした歌唱テクも使うようになった。
まぁそりゃ20年間も歌手やってりゃこなれてもくるよ。

しかし、この頃のCoccoは、荒削りと言うか、やみくもと言うか、余裕というものがなく、歌唱も不安定でとにかく無心に歌い続けるといった野性的な本能のみに依ってオーディエンスを圧倒する破壊力があった。
もう目がどことなくイッてるし、観客とも壁を作ってて一体感などもってのほかという感じ。




音楽的な教養もなく、元々歌手など目指してなかったCoccoは、ズブの素人からデビューした類稀なる天然のロックシンガーだ。
メチャクチャ声量があるというわけでもなく、ビブラートをきかせるといったテクニックもない。なのに、多くの人が彼女の歌に魅了されるのはなぜだろう。
もちろん毒がありながら、とてつもなく美しい言葉でサラっと綴る詞の魅力もある。
Coccoの歌声には、音楽理論上では説明の難しい人智を超えた原始的なパワーというか、とてつもないエナジーが内包されていると思うのだ。
理論的な音楽雑誌がCoccoを取り上げないのは、そういうところがあるからかもしれない。




この頃のCoccoは大のライブ嫌いで、ツアー回りがイヤでイヤで仕方がなかったらしい。
ただ、一度覚悟を決めて「やる!」となったときの爆発力が、この人は凄いのだと思う。
張り詰めた緊張感の中、愛憎、煩悩、そして沖縄への想い・・・・
Coccoの色んな感情が魂の叫びとなって発信され、超ド級のライブ感を伴ってオーディエンスに響いてくるのだ!




この時のツアーのライブは、私も大阪城ホールで初に観てるんだが、かなり後ろの方の席だったにも関わらず、ステージから放たれてくるCoccoの鬼気迫るライブ感はほんとうに凄まじかった。
長い髪を振り乱しながら全身を使ってヘッドバングする彼女の姿には度肝抜かれたものさ。




この頃のバックバンドもまた良かった。ほとんどレコーディングメンバーだけど。
向山テツ氏の大振りのボンゾばりのドラミングに、ハウリングぎみにCoccoの感情を掻き立てるかのようにかき鳴らす、堀越&長田氏両者のギターワーク。地味に壮大な演出を担当する柴田氏。ときにギター以上に効果的な音色を奏でる武藤氏のヴァイオリン(特に「ポロメリア」でのアレンジ、「カウントダウン」、「星に願いを」でのソロワークが秀逸)。
そして、バンマスでもあり、Coccoを最強のロックシンガーに仕立て上げた張本人と言ってもいいベースの(時折バックコーラスも務める)根岸宗孝氏。

公表前だったが、もうみんなこれがCoccoの最後のライブになるとわかっているので、この時の演奏にはサポートバンド以上の、まるで長年やってきた1つのバンドさながらの一体感というものが生まれているように思う。
ラスト曲「羽根」でCoccoがバレリーナ式のお辞儀をして、マイクを置いてステージから走り去った後の、その感動の余韻を引きずるかのように残されたメンバーでの演奏の感情の入り方も凄まじいし、根岸氏などは感極まれりといった感じで、最後雄叫びを上げているのがかすかに聞きとることができる。




本DVDを観終えて思ったのが、「あ、そうか。このDVDこそが私にとってのリスエストベストなのだ!」と。

このライブ映像のDVD化は長年待ち望んでいたことだし、このツアーは3rd『ラプンツェル』リリース時のツアーなので、3rdから中心のセトリでまさに私のドストライクなセトリになるのは必至であり、「濡れた揺籃」、「眠れる森の王子様 ~春・夏・秋・冬~」などの初期のヘドバンキラーチューンも演奏されるわ、まだ未発表曲だった「風化風葬」、「荊」、「羽根」、そしてCoccoが出来たてホヤホヤソングとしてはにかみながらあどけないアカペラで歌いだした「歌姫」(なぜかパッケージにはクレジットされていない)などの名曲の数々も演奏されている。


いや、近年ちょっとこのライブ映像を超える内容の作品には、なかなかお目にかかれてない気がするなぁ。


ところで、このライブの時、根岸氏が着てたTシャツって、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのバンドTかな?

コメント
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