超人日記・作文

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#俳句・川柳ブログ 

<span itemprop="headline">クレンペラーのブルックナー選集の全貌</span>

2012-11-03 18:21:24 | 無題

月曜に発売だったクレンペラーのブルックナー選集が金曜にようやく来る。
そのクレンペラーのブルックナー選集を通して聞いた。
交響曲4番は速足の印象。時間はそこそこ掛けているのに速足に感じるのはフレージングが短いからか。はたまた休止の間隔が短いからか。
4番はウィーン響との演奏が超快速だという話だがEMI盤もかなり速い。スタイリッシュで硬派なブルックナー。
5番、7番は適正なテンポ感で美しく聞かせる。8番、9番は遅いと聞いていたがどうか。
クレンペラー本来の曲を大きく見せる性格が8番のスケール感とマッチしている。ブルックナーの雄大な本性が8番で露わになる。クレンペラーはマーラーの七番に100分掛けたのだから、ブルックナーでも巨匠テンポで振ればいいのだ。8番は延々と巨匠テンポで歌っている。遅いがこれぞクレンペラー節。
9番にも十分な時間を掛けている。楽想と遅さがぴったり合っている。深淵だ。
9番の闇や光を縦横無尽に歌い尽くす。
第三楽章の天への階梯を昇りゆく様子もじっくりと演奏されている。
クレンペラーは曲の全体構造と細部の関係を絶えず意識させる。構築の鬼クレンペラーである。
8番はクレンペラー名演集10CDに入っていたケルン放送響とのライヴでは70分台でまとめ上げていた。それはそれで見事にスリリングである。でも惜しみなく時間を注いだEMI盤もいい。
全体として巨匠にしては引き締まった演奏で巨大なブルックナーと曲を大きく見せるクレンペラーの出会いはいい意味で予想を裏切っている。
辛うじて8番9番の悠然さがクレンペラーのブルックナーの到達点を今に伝えている。それにしてもつい最近までは高額だったクレンペラーのブルックナーが全部で\1644で手に入るとは恐ろしい時代になったものだ。
私は廉価でクレンペラーのブルックナー選集が出ればいいのだがと幾度となく書いたがついにその期待が実現する時代になった。ばら売りでこつこつ集めた人には気の毒だが私は待っていた甲斐があった。
クレンペラーのブルックナーを俯瞰して聞いてみて実に掛け替えのない音響体験が味わえて満足である。
初回生産限定盤なので興味のある人は廃盤になる前に手に入れることをお勧めする。

歳月を越えて宇宙に鳴り響く御大の棒冴える深淵



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