セーゲルスタムのオンディーヌ社のシベリウス交響曲全集聞く。
セーゲルスタムは分厚い響きの悠然としたシベリウス演奏を繰り広げる。
オンディーヌ社のシベリウスはヘルシンキフィル。
セーゲルスタムは今やフィンランドを代表するシベリウス指揮者である。
彼のシベリウスには感涙ものの響きがある。
有名な2番も奇をてらわない真っ向勝負で名演に仕上げている。
闇の中から徐々に光が差すようなシベリウス1番と短いが奥深い7番にフィンランディアがセットになっている。
フィンランディアは暗く始まり徐々に盛り上がり、勇壮な合唱で大団円を迎える。
有名なヴァイオリン・コンチェルトが収録されているところもよい。
ヴァイオリンはペッカ・クーシストの艶のある演奏が楽しめる。
セーゲルスタムはデンマーク国立放送響ともシベリウス交響曲全集を録音しており、こちらも密度が濃い。
私はベルグルンド&ヘルシンキフィルのシベリウス全集よりも、セーゲルスタムのほうを好んで聞く。
セーゲルスタムは交響曲200何番とか作っている多作な作曲家だが、熱い指揮ぶりに定評がある。
セーゲルスタムのマーラー全集も入手困難だが涙なしには聞けない熱い名演揃いである。
ベルグルンドならばイギリスのオケを振った最初のシベリウス全集が遅いテンポ設定で好みである。
最近聞いたシベリウスの中では、バーンスタインの全集、選集と並んでセーゲルスタムの新盤が感涙ものである。
作曲に多忙な中、シベリウス、マーラーで手一杯かもしれないが、セーゲルスタムはほかの作曲家にもチャレンジしてほしい。
オンディーヌ社のシベリウス全集多少入手に手間取るかも知れないが名演に間違いない。
薄暗い北国の空に曙の陽が差すような音の降臨
ルガーノ放送管との爆走ベートーヴェン・ライヴ全集で有名な
ヘルマン・シェルヘンのマーラー演奏
をポツポツと聞いている。
特にライプチヒでの1960年のマーラー3番、6番、10番の轟音ライヴが素晴らしい。
3番、6番、10番の耳をつんざく轟音ライヴには
8番千人の交響曲の出だしの合唱がおまけでついている。
この狂騒ぶりがまた刺激的だ。これはターラ社である。
同じターラ社でスタジオ録音の1番5番7番のセットも聞いている。
こちらはやや大人しいが、やはり不気味な響きが聞ける。
圧巻なのが1965年のフランス国立放送管とのマーラー5番で、
楽譜を改変しまくって、拍手とブーイングの両方が聞き取れる珍盤である。
ブーレーズのマーラーのように統制の取れた、交通整理の行き届いた演奏とは対極にある、
出たとこ勝負の音合わせ無用の一発録りでスリルが味わえる。
4番と9番を持っていないのだが、ターラの2セットだけでも相当楽しめる。
強迫的な暴走を聞かせるマーラー6番の止まらない行進のリズムも快感である。
臨場感たっぷりで凍りついたと思われる聴衆の熱狂も聞き取れる。
7番のとち狂った奇怪な響きも耳をきりきりと攻め立てる怪演である。
高音、低音が狂騒的な舞踏を踊る、ユーモラスでもある骸骨踊りの名演である。
シェルヘンのベートーヴェンの旧盤は一見大人しいが、
英雄の途中で気合を入れる指揮者の叫びが入る。
シェルヘンのアドレナリン全開の演奏、癖になる。
止まらない耳をつんざく轟音の骸骨踊り繰り返し聞く