飯守泰次郎指揮の英雄を聞いてきた。
2時半からピアノ片手に飯守さんのプレトーク。
ベートーヴェンは革命児、変革者。
英雄は特にその意志が強く作曲に表れている。
主題に入る前のたった二音でそれまでの伝統を捨て去る意志が示されるというお話。
プロメテウスの創造物は重厚。
二瓶真悠さんが出てきてヴァイオリン協奏曲になる。
二瓶さんはまさに花のお姫様。素敵なドレスに美しいお姿。
ヴァイオリンの崇高さを現わした超絶技巧の演奏で
満場の観客に応えていた。オケとの息の合った掛け合いは
見ごたえ十分。
英雄は話題のマルケヴィッチ版だろうか。
飯守さんの掛け声が聞こえてくるというこの臨場感。
底光りするオケが有機的なベートーヴェンの
交響宇宙を奏でる。
英雄の時は飯守さん、まったく楽譜を見ていない。
猛攻するようなアグレッシブな大きな身振りの指揮で
確実に重厚な音を刻み込んでゆく。
テンポの割と遅い堂々とした演奏である。
前から二列目のB28番席で英雄を生演奏で聞くのは
何という悦びだろう。
満場の拍手で演奏会が終わった。
英雄が体の中でまだ鳴っている。
重厚で立体的な英雄の交響曲を二列目で聞く