去年のふかわりょうと遠藤真理のきらクラで掛かった
アルヴォ・ペルト「鏡の中の鏡」は単純なピアノに
ヴァイオリンが淡々と変奏を乗せてゆく美しい作品。
ピアノを鐘のように鳴らす「アリーナのために」という曲と
一緒にアルバム「アリーナ」に収められている。
「鏡の中の鏡」はギャビン・ブライヤーズの
「タイタニック号の沈没」の導入部を思わせる
静かな悲しい美しい繊細な曲で小品ながら珠玉の名曲である。
同じくラジオを聞いて感動した曲がゴンチチの
世界の快適音楽セレクションで掛かった
ムスタファ・スカンドラニという人のピアノ。
これはアンダルシアの古典イスラム音楽に即興を加えた作品で素晴らしい。
何が凄いかといえばこれはシタールのような旋律を
ピアノで弾くのである。
ふつう、ピアノとはシタールのようには弾けない構造になっている。
だが、ムスタファ・スカンドラニは弾くのである。
シタールのようなピアノ。空前絶後の録音である。
アンダルシアの古典イスラム音楽をピアノに
置き換えるという発想は稀有だった。民族音楽のピアノ版、貴重である。
聞いてみてこれはシタールの音階ではないという人もいるだろう。
あくまで私の聞いた主観で、シタールのようなピアノと呼んでいる。
ラジオを聴いていると時々自分の語彙にない音楽が訪れる。
貴重な音楽との出遭いが重い気分を軽くしてくれる。
突然に閉じた扉の戸を叩く見知らぬ土地の曲の訪れ