クラウディオ・アラウ・ヘリテージ・ベートーヴェンを安価で入手した。ラッキーである。
入手困難盤なので喜びもひとしおである。
クラウディオ・アラウのベートーヴェン・ピアノソナタ新盤はかみしめるようにゆっくりと弾く。実に奥深く瞑想的な演奏である。
時折指が回らないが、心配無用の至福の演奏である。アラウの老境に到達した自在境を聞き取ることができる。オリジナル・マスターに編集ミスがあるそうで道理で再発売されないはずである。だが私は喜んで聞いている。かつて聞かせてくれた学友に感謝である。
その学友が6月の末にヴァレリー・アファナシエフのバッハの平均律クラヴィーアの演奏会を聞いてきたとブログに書いていた。CDで聞くと気ままでとらえどころのない演奏だが、実際聞いてみるとシャイで優しい印象だったという。最近のアファナシエフは暗くないらしい。
私もアファナシエフの平均律クラヴィーア持っているので久しぶりに聞いてみた。速弾きしたり、めっぽう遅く弾いたり、強者である。だがバッハらしい知性が聞き取れる。私もトッパンホールで聞きたかった。
最近知人の勧めでメンゲルベルク指揮のバッハのマタイ受難曲を聞いた。フィリップス・デュオの二枚組である。ふつう三枚組のところ二枚に収めているので160分ぎっしり詰まっている。
最初はやけに古い録音だなと怪訝に思ったが聞いてみると超感涙である。参加している一人一人が自分の力を最大限生かし切っている。第二次世界大戦直前のオランダで聖なる日に演奏された奇跡の名演である。
名曲喫茶で感激して教えてくれた知人であるが、確かに心打たれる演奏である。メンゲルベルクは大時代的な交響曲演奏で知られているが、マタイは別格である。
幸運に手元に着いた名盤のピアノの指でまた夢を見る