超人日記・俳句

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トマス神学入門を読む

2020-10-20 13:55:28 | 無題
山本芳久著、「トマス・アクィナス―理性と神秘」を読む。
トマスはドミニコ会士の神学者だった。
ドミニコ修道会は、托鉢して歩き、田舎に定住しない、
使徒的な暮らしを理想としていた。
当時、ヨーロッパを揺るがしていたのは、アリストテレスの
ほとんどの著作がイスラム圏から入って来て、
ほぼ理性によって世界のすべてが体系的に説明できることへの
驚きだった。自然学、政治学、倫理学、数々の分野が、ほぼ
神なしで説明されている。
とりわけキリスト教徒にとって難問だったのは、唯一の知性を
万人が分け持つというアリストテレス派の考えと、
世界は永遠に存在する、という終末論の否定であった。
アリストテレスの受容の態度としては、
アウグスティヌスにさかのぼる消極的受容派と、
神学と住み分けて全面的に受容する急進派が居た。
トマスは、この間を行く、アリストテレスを神学と照らして
学説を作る、中間的受容派であった。
その考えは、世界の根本原因とその全展開を
魂のうちに書き込むことを目的とする。
神学の方向性を理性的徳の完成と神秘の追求に分け、
神がイエスとして受肉した神秘を知ろうとすることで、
理性はより深化し、成長するとトマスは考える。
慈愛に満ちた宇宙の根源を受容することで、
理性はより深く世界を汲み尽くすことになる。

深みから湧き出る幸を知ることで理性は次の階段を昇る
コメント
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