山本芳久著、「トマス・アクィナス―理性と神秘」を読む。
トマスはドミニコ会士の神学者だった。
ドミニコ修道会は、托鉢して歩き、田舎に定住しない、
使徒的な暮らしを理想としていた。
当時、ヨーロッパを揺るがしていたのは、アリストテレスの
ほとんどの著作がイスラム圏から入って来て、
ほぼ理性によって世界のすべてが体系的に説明できることへの
驚きだった。自然学、政治学、倫理学、数々の分野が、ほぼ
神なしで説明されている。
とりわけキリスト教徒にとって難問だったのは、唯一の知性を
万人が分け持つというアリストテレス派の考えと、
世界は永遠に存在する、という終末論の否定であった。
アリストテレスの受容の態度としては、
アウグスティヌスにさかのぼる消極的受容派と、
神学と住み分けて全面的に受容する急進派が居た。
トマスは、この間を行く、アリストテレスを神学と照らして
学説を作る、中間的受容派であった。
その考えは、世界の根本原因とその全展開を
魂のうちに書き込むことを目的とする。
神学の方向性を理性的徳の完成と神秘の追求に分け、
神がイエスとして受肉した神秘を知ろうとすることで、
理性はより深化し、成長するとトマスは考える。
慈愛に満ちた宇宙の根源を受容することで、
理性はより深く世界を汲み尽くすことになる。
深みから湧き出る幸を知ることで理性は次の階段を昇る
トマスはドミニコ会士の神学者だった。
ドミニコ修道会は、托鉢して歩き、田舎に定住しない、
使徒的な暮らしを理想としていた。
当時、ヨーロッパを揺るがしていたのは、アリストテレスの
ほとんどの著作がイスラム圏から入って来て、
ほぼ理性によって世界のすべてが体系的に説明できることへの
驚きだった。自然学、政治学、倫理学、数々の分野が、ほぼ
神なしで説明されている。
とりわけキリスト教徒にとって難問だったのは、唯一の知性を
万人が分け持つというアリストテレス派の考えと、
世界は永遠に存在する、という終末論の否定であった。
アリストテレスの受容の態度としては、
アウグスティヌスにさかのぼる消極的受容派と、
神学と住み分けて全面的に受容する急進派が居た。
トマスは、この間を行く、アリストテレスを神学と照らして
学説を作る、中間的受容派であった。
その考えは、世界の根本原因とその全展開を
魂のうちに書き込むことを目的とする。
神学の方向性を理性的徳の完成と神秘の追求に分け、
神がイエスとして受肉した神秘を知ろうとすることで、
理性はより深化し、成長するとトマスは考える。
慈愛に満ちた宇宙の根源を受容することで、
理性はより深く世界を汲み尽くすことになる。
深みから湧き出る幸を知ることで理性は次の階段を昇る