世界地図で見る「お金持ち分布図」、各国の富豪トップは誰だ?
10年前に0人だった中国のビリオネアの数は、今年251人だった。富はどこに集まっているのか? 勢力図とともに、各国のもっともリッチな人物(米国はトップ3)を見ていこう。
1位 アメリカ – 540人
1. ビル・ゲイツ(資産:750億ドル)
マイクロソフト創業者でフィランソロピストのビル・ゲイツは、2014年から3年連続で「世界のビリオネア」ランキング1位に君臨。00年に妻のメリンダと立ち上げたビル&メリンダ・ゲイツ財団を通して、世界で蔓延する感染症対策や、途上国の開発支援、米国内での教育支援に取り組んでいる。
2. ウォーレン・バフェット(資産:608億ドル)
著名投資家のウォーレン・バフェットは、世界第2位の富豪になった今でも、1958年に3万1,500ドルで購入したネブラスカ州オマハの自宅に住み続けている。曰く「人生最良の買い物は、ベンジャミン・グレアムの『The Intelligent Investor』(邦題『賢明なる投資家』)」。
3. ジェフ・ベゾス(資産:452億ドル)
アマゾンの創業者、ジェフ・ベゾスの総資産は452億ドルで、前年の348億ドルから大きく増加した。同社は従業員の劣悪な労働環境が問題視されてきたが、ベゾスはこれを否定。また2000年に宇宙開発企業のブルー・オリジンを設立し、低価格の宇宙旅行の実現を目指している。
2位 中国 – 251人
王健林(ワン・ジエンリン、 資産:287億ドル)
不動産王の王健林は近年エンターテインメント分野に注力している。王が率いる大連万達は今年1月、35億ドルでアメリカの映画制作会社レジェンダリー・エンターテインメントを取得。12年にもアメリカの映画館チェーンを買収していた。
3位 ドイツ – 120人
ベアテ・ハイスター & カール・アルブレヒトJr.(資産:259億ドル)
ドイツのディスカウントストア、ALDI(アルディ)の創業家。アルディはヨーロッパと北米で店舗展開しており、米国内の店舗数は1,500超。食料品チェーン「トレーダー・ジョーズ」の親会社でもある。
4位 インド – 84人
ムケシュ・アンバニ(資産:193億ドル)
リライアンス・グループの会長。今年5月には、リライアンス子会社のリライアンス・パワーがバングラデシュに液化天然ガス(LNG)発電所を建設すると発表した。なお、リライアンス・グループは「Forbes INDIA」の発行元でもある。
5位 ロシア – 77人
レオニード・ミケルソン(資産:144億ドル)
ロシアの天然ガス生産・販売会社ノヴァテクのCEO。同社の天然ガスの生産量は、同国内ではガスプロムに次ぐ2番目。ウクライナ危機後の米国による制裁や原油価格の高騰で前年は資産を減らしたが、今期は返り咲いた。
6位 香港 – 64人
李嘉誠(リ・カーシン、資産:271億ドル)
香港のコングロマリットを率いる大富豪、李嘉誠はこの1年で62億ドルもの資産を減らし、資産総額は271億ドルとなった。30年以上にわたり投資しているカナダの石油・天然ガス大手ハスキー・エナジーの株価暴落で資産価値が51億ドル減少した。
7位 英国 – 50人
ヒンドゥージャ一族(資産:145億ドル)
ヒンドゥージャ財閥は、ロンドンに本拠を置くインド系のコングロマリット。近年はアフリカ市場での成長を目指して積極投資中。傘下の自動車会社アショック・レイランドは、日産と小型商用車を開発するため合弁会社を設立している。
8位 イタリア – 43人
マリア・フランカ・フィッソロ(資産:221億ドル)
イタリアの菓子メーカー、フェレロ創業家の未亡人。同社はチョコレートスプレッドのヌテッラ、ヘーゼルナッツを使ったチョコレート菓子のフェレロ・ロシェなどの代表作で知られている。
9位 フランス – 39人
リリアンヌ・ベタンクール(資産:361億ドル)
世界最大の化粧品会社ロレアル創業者の一人娘。「世界のビリオネア」ランキングで、女性としてはトップの資産を持つ。ロレアルの株式の33%をベタンクールの一族が保有している。認知症を患っており、知人からの詐欺被害に遭った。
10位 カナダ – 33人
デビッド・トムソン(資産:238億ドル)
ロイター通信を傘下に持つ、トムソン・ロイターの会長。父親から事業を引き継いだ後、ロイターを買収するなどして事業を拡大してきた。美術愛好家でもあり、パブロ・ピカソやジョン・コンスタブルなどのコレクターとしても知られる。
11位 スイス – 32人
エルネスト・ベルタレリ 資産:86億ドル
父の死後、バイオテクノロジー企業大手セローノを受け継ぎ、事業を拡大。2007年にメルクに売却した。ベルタレリは海洋保全のための研究を目的とするベルタレリ財団を創設。ヨット愛好家であり、ラリー・エリソンのライバルである。
12位 ブラジル – 31人
ホルヘ・パウロ・レマン(資産:278億ドル)
ブラジルの著名投資家。3Gキャピタルを通じて世界最大手のビールメーカー、アンハイザー・ブッシュ・インベブなどに出資。2013年にはウォーレン・バフェットと共同でハインツの株式を取得して話題になった。
12位 韓国 – 31人
李健熙(イ・ゴンヒ、資産:96億ドル)
韓国の財閥、サムスングループの総帥。サムスングループを創業した李秉チョルの三男で、事業の多角化を進めて成功し、サムスンをアジア最大の財閥に育て上げた。電子、機械、化学、金融、建設、デベロッパー業など事業は多岐にわたる。
14位 トルコ – 30人
ムラット・ウルケル(資産:29億ドル)
トルコの食品大手ユルドゥズ・ホールディングの会長。ベルギーの老舗チョコレートメーカー「GODIVA」を買収したほか、デメッツ・キャンディ、ユナイテッド・ビスケッツなど海外で積極的にM&Aをしている。
15位 日本 – 27人
柳井 正(資産:146億ドル)
ファーストリテイリングの会長兼社長。主力のユニクロ事業が天候不順で打撃を受けた影響で、56億ドルも資産を減少させたが、日本の長者番付でトップを維持した。柳井は同社を2020年に世界最大のアパレル企業にすることを目標として公言している。
16位 スウェーデン – 26人
ステファン・ペルソン(資産:208億ドル)
ステファン・ペルソンの父がファスト・ファッションブランドのH&Mを創業し、ステファンが事業を受け継いだ。同社の28%の株式を保有する大株主であり、会長である。近年はインドや南アフリカ、中国での出店を拡大している。
17位 オーストラリア – 25人
ジーナ・ラインハート(資産:88億ドル)
オーストラリアの大富豪、ジーナ・ラインハートは、鉄鉱石を扱う「ハンコック・プロスペクティング」を父から継ぎ、その後に事業を拡大した。事業承継当時の経営状態は芳しくなかったことから、その経営手腕が高く評価されている。
17位 Taiwan 台湾 – 25人
蔡衍明(ツァイ・エンミン、資産:60億ドル)
台湾の食品大手、旺旺グループ創業者。主力商品は米菓で、老舗の米菓メーカー、岩塚製菓(新潟県長岡市)の技術協力を得て、世界最大の米菓メーカーに。低価格のせんべいがヒットし、中国市場で成功をおさめた。
19位 スペイン – 21人
アマンシオ・オルテガ(資産:670億ドル)
元妻のロザリア・メラ(故人)とともにインディテックスを創業。「ZARA」を世界的なファストファッション・ブランドに育てた。商品の企画から販売までを一気通貫で行うSPAのビジネスモデルの代表格としても知られている。
20位 インドネシア – 20人
ブディ・ハルトノ(資産:81億ドル)
インドネシアのハルトノ一族は、銀行業と、「ジャルム」銘柄で知られるタバコ産業で巨大財閥を築いた。1997年の通貨危機後に、インドネシア最大の銀行BCA(バンク・セントラル・アジア)の株式を取得し、銀行業に乗り出した。
ランキングの基準
「ビリオネアランキング」では、社内外の専門家に相談しながら、世界各国に記者を派遣し、世界の市場や富豪について詳細な調査を行っている。総資産を算出するに当たっては、給与のほか、株式の保有数や不動産価格、所有するヨットや絵画などを評価の対象としている。また、相続で富を引き継いだ人よりも個人で成功した人を重視している。王族や独裁者など特殊な地位にある人々は評価の対象外としている。30回目となる「ビリオネアランキング2016」は、2016年3月1日現在の株価や為替レートに基づく。
Forbes JAPAN 編集部