突然のニュースではありますが、JRAの日本人トップジョッキーである福永祐一騎手が来年2月での引退を発表。JRA調教師の道に入るとことになりました。
すでにネット上では、調教師試験を受けている情報が流れていましたので、合格すれば、いつでも騎手を引退する可能性はある・・と、ファンの一人として覚悟を決めていたつもりでありますが、何と言っても、ここ5年間で3回も日本ダービーを制している日本一のスーパージョッキーが、その全盛期にいきなり引退というのは、あらためて驚かされるニュースでありました。
直接的には、昨年12月の香港スプリントでの落馬事故が引き金になっているのだと思います。
昨年の香港スプリント(GⅠ)のレース中、4コーナー手前で3番手を走っていた香港のアメージングスターが突如前脚に故障を発生して転倒(予後不良)、その直後にいた福永騎手騎乗のピクシーナイトは、転倒したアメージングスターを飛び越えたものの、他馬に接触してこれも転倒。福永騎手は転倒前に横に投げ出されて、顔と胸を激しく打ちつけられ左鎖骨骨折の重傷となりました。
ただ、騎乗していたピクシーナイトが目の前のアメージングスターを上手く避けた時に、先に福永騎手が横に放り出されたことが、それ以上の大怪我に繋がらなかった第一の理由でした。ピクシーナイトはこの事故で左前膝骨折という大怪我を負って、いまだに自身は復帰できないままでありますが、目の前の転倒事故を瞬時に避けてくれたことで、鞍上の福永騎手のピンチを救ってくれた形に。
それからもう一つ、すぐそのあとを走っていた川田騎手のダノンスマッシュも、落馬した福永騎手を間一髪のところで避けて、飛び越していった事実があります。これは川田騎手のファイン騎乗だったのか、ダノンスマッシュのファインセーブだったのかは分かりませんが、これも福永騎手を危機的状況から救った第二の理由でした。
昨年の香港スプリントの事故は、以上のように、2つの奇跡的な事象が重なったおかげで、福永騎手は怪我はしたものの、致命傷となるような事態を避けることが出来ました。落馬事故で若くして引退したお父様のこともあって、帰国後は、家族とも十分な話し合いがあったのではないでしょうか。そうした経緯があって調教師試験受験と、今回の合格があったのだと思います。
それにしても、あの事故から調教師試験受験まで、それほど準備期間はありませんでした。JRA調教師試験は、日本中でも難試験中の難試験で有名ですから、これを1回で合格するというのは凄いことだと思います。ちなみに、開成高校出身の矢作芳人調教師は、これに10回以上落ち続けた過去をお持ちです(まぁこれは、別の理由があったと思いますが・・)。
福永調教師は、藤沢和雄調教師と同様、『馬優先主義』を掲げるそうであります。暫くの間は、どちらかの厩舎で実地訓練を受けることになると思いますが、縁の深い「藤原厩舎」でも、「矢作厩舎」でも、福永調教師がジックリと熟成していくのを見るのが楽しみであります。
それから、あと2か月ちょっととなりますが、福永祐一騎手の、レースにおける華麗な手綱捌きも、しっかり眼に焼き付けておきたいと思います。
まずはお疲れ様でした。
そして、これからも応援いたしますよ、福永祐一先生‼