映画を観た。
★海角七号 君想う、国境の南
原題:海角七號
監督:ウェイ・ダーション
キャスト:ファン・イーチェン、田中千絵
2008/台湾
この映画見て思ったことです。
少しずつですが、僕らが生きているこの東アジアのボーダレス化が進んでるなぁと。政治権力の枠(ボーダー)はまだまだ厳しいくらいですが、人の繋がりは明らかに広がってるいます。未来に希望が持てる映画でした。そう想うことに決めた作品です。
「・・・あなたを棄てたのではない。泣く泣く手放したのだ」
この言葉にはっとさせられました。日本と台湾の当時の関係(もちろんあるひとつの感情ですが)をそのままラブストーリーに展開しているように感じたからです。あまりにもその感情が読み取れる言葉のように感じてしまったのです。そしてこの作品が、台湾で作られたというところに驚きさえ感じます。映画の質でなく内容について。
台湾へ行くと、親日的な感情がたくさん残っていることに気づきます。日本文化をそのまま受け入れるフレンドリーな雰囲気を感じます。以前観た台湾人生では、日本統治時代の郷愁がテーマでした。そして今回、この意味深な言葉です。グサリきました。強烈なメッセージのように感じるのです。そのように読み取れるのです。
主演、ファン・イーチンは原住民阿美族の血を引いている。彼が主演であることの意味も興味深い。この映画は若者ばかりかあまり映画を観なかった中高年の人たちにも受け入れられたとか。「ハイジャオチーハオ(海角七号)を観たか?」と社会現象化したくらいに支持されたらしい。日本ではどのように受け止められるのでしょう。中国本土では、内容が内容だけに、上映禁止騒動が起きたと言われます。
ラストシーンで歌われた『野ばら』は、月琴弾きの茂おじさんのお気に入りの曲です。この歌は日本統治時代、台湾の学校でも唱歌として歌われていたそうです。ここらあたりにも、この映画の戦略ラインが見え隠れします。政治的プロパガンダというより、いかに多くの観客を動員するかを狙った商業的戦略です。結果、世代を超えより多くの台湾人の心に響く作品作りに成功したということでしょう。