好奇心こそが科学の原動力なのだ。なぜ、一体どうなっているかと不思議に思う気持ちが科学の地平を広げてゆく。
名は体を表すキュリオシティが無事火星に着陸した。どのようなデータを送ってくれるだろうか、本当に楽しみだ。火星からは光と同じ速度で伝わる電波でさえ5分も掛かる(火星までの距離は一定でないので位置によっては十分以上掛かる)。往復では10分、こんなゆっくりしたやりとりで機器をコントロールするのはとても難しいに違いない。
しかもパラボラアンテナで利得を稼ぐにしても、たかだか白熱電球程度の高周波出力で一億万キロの距離を通信するわけだから電波は極めて微弱で、それこそ蚊の鳴く音のようなものだろう。それでも間違いなくしかも効率よく情報を伝達するために、いろいろな誤情報を検出し訂正するシステムが使われているはずだ。それによって、たかだか五六人の伝言ゲームでも随分話が変わってしまう伝達力しかない人間には不可能な精度で物事を伝えている。面白いことにそのシステムを考え出したのも人間なのだ。
数学、物理、化学のオリンピックでの金メダルは新聞に小さく報じられるだけで、地上波テレビで騒がれることはない。しかし、素晴らしさはロンドンオリンピックのメダルに優るとも劣らないと思う。地上波テレビなぞに出ることはないが、優れた仕事には正確な評価と敬意が払われることを願う。芸能化しないと評価されないのは民主主義の副作用だ、情報伝達を司る人は調合を間違えないように。
ツウィンクルしない赤い星、火星。フォボス(狼狽)とダイモス(恐怖)を従えるお前は一体何者か?