駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

生活保護の診断書を書きながら

2012年08月20日 | 医療

     

 朝夕めっきり涼しくなった。静かな蝉の声と言えば形容矛盾のようだが、例年に比べれば静かな蝉の泣き声を聞きながら月曜の朝を駅まで歩いた。流石に二十分も歩くと汗ばむ。

 生活保護費が削られると新聞の見出しにあった。私の医院には二十名以上の生活保護の患者さんが通院している。彼等のために、毎月数枚の診断書を書いている。数多い書類書きの一つなのだが、毎回殆ど同じ内容を埋めてゆくわけで煩雑に感じる。書類の方も削ってくれないかなあ。

 当院の生活保護の患者さんは二名を除いて自力で通院されており、待合室に座っていれば外見からは全く普通の患者さんと区別が付かない。ただ自力で生活費を賄うことが出来ないところが違っている。若い時からの精神や身体の障害で、就労困難な人も居るが、キリギリス生活だった人も多いと見る。意地悪で言うのではないが、蓄えがなくても生きていける国、日本はなんと恵まれた国かと思う。反面、弱者を助けるのが減って意地悪が出てきている国でもあるようだ。

 開業医は収入面では恵まれているが、何の保証もないし、どんな患者さんでも差別しないで一人ひとり手間を掛けて診察して法定の価格を頂いている。そして当院では八人の雇用を生み出し、周辺の薬局や薬品メーカーを含めた医療関係事業に収益をもたらしている。患者さんの支持あってのことではあるが自立できている。

 社会の最前線から、忌憚のない情報を届けられる立場にあると改めて思う。

コメント
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