駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

高齢運転者対策を

2013年03月23日 | 小考

         

 日本はアメリカほどではないがそれでも車は生活の必需品に近い。高齢者から一律に免許を奪うのは、賢明でないように思う。車が運転できないために生活内容が乏しくなった高齢の患者さんを何名も知っている。閉じ込められた生活は老化を進行させてしまう。

 高齢者の自動車運転を抑制する周囲(家族と行政)の圧力は、高齢者は運転技能が低下し事故が増加することからきている。確かに自動車事故は大きい怪我や、場合により死亡事故にも繋がるので、当然の動きだ。であれば事故を減らす工夫ができれば、やや運転技術が低下した程度の高齢者であれば、運転持続可能になると思う。今でも落ち葉マークなどと言われる高齢者用のステッカーがあるが、高齢者が運転中なのが遠くからでも視認可能な、車全体の黄色い鉢巻着色を義務付け、速度が40km以上でない制限を機械的に施し、高速あるいは速度制限50km以上の道路走行(横断可)を禁止にするとかすれば、重大な事故は減ると思うが、いかがなものか。

 と言うのは高血圧通院中のNさん83歳が家族から運転禁止命令が出て、近場の温泉に行けなくなったせいか、この頃めっきり老けこんで凋んできたのを目の当たりにしているからだ。ついこの間までは温泉に行くと生き返る、膝の調子が良くなると、週に何度も30分ほどの田舎路を通っていたのだが、たかだか半年の閉じこもりで、今は足取りもおぼつかなく、言葉も不明瞭になってきた。

 近未来にはコンピュータ自動制御で運転可能な車と道路が出てくるかもしれないが、それまでN爺さんは頑張れない。

コメント
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