白衣性現象というのは家庭で測定する血圧よりも診察室で測定する血圧の方が高くなる現象のことを言う。かなりの頻度で認められ、評価には家庭での長期にわたる血圧測定が必要になる。
医者の前に出ると普段と違うことが起きるのは血圧だけではない。進行した認知の人が意外にきちんとした受け答えをすることがある。勿論きちんとしているのは見かけだけで、実際にはできていないことをあたかもできているようにすらすら答えるので医者も騙されることがある。食事を作っていないのに作っているように言ったり、薬をきちんと飲んでいないのに飲んでいるように言ったりする。事実でないという自覚がなくすらすら答えるので、聞いている方は騙されやすい。緊張で頭の血の巡りがよくなるのか?、いつもは間違える自分の年齢が正確に言えたりすることもある。
診察室は取調室ではないので普段と同じ気持ちで居ていただくように配慮しているつもりだが、白衣を目の当たりにするせいか?知らず知らずに緊張して色々普段と違うことが起きるようだ。
尤も上手に挨拶して作り話で診察をすり抜けても、受付では診察券や保険証を出したり料金を払わねばならないので口では取り繕えず、事務の方が医師より先に認知に気付くことも多い。
診察室どころか取調室ではもっと妙なことが起こりそうだ。録画が必要なのは当然のことと思う。