二十歳を過ぎると十年ひと昔という括りは事実としても感覚としても納得のゆく長さだと思う。尤も六十歳を過ぎるとこの区切りがやや短く曖昧になる感じがしている。これが年を取ったせいか実際にこの十五、六年の変化が鈍化しているせいかはよく分からない。
不惑過ぎればわかることだが人間の考え方や感覚は成人後はそう簡単には変わらないというか変われない。一方科学技術は日進月歩だ。集積回路の部品数が指数関数的に増加するというムーアの法則は2020年になりさすがに鈍化し始めているようだが、それでもいまだに毎年コンピュータの能力はどんどん向上し、AIや電気自動車・・が出てきている。
この十年一昔の感覚が曖昧鈍化しているように感じるのは人間の変化と科学技術の変化の乖離が大きくなったせいではないかと思う。人間の遅れが一番端的に現れるのが政治で、変化はあるのだが進歩がない。何故歴史は繰り返すのか、それは歴史に学ばないからだ。私には日本の政治は劣化しているように見える。それはとりもなおさず国民の判断力の劣化を意味していると思う。国民が今だけ金だけ自分だけの政治を退ける力量を持たないと明るい明日は開けない。