アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ホワイト・ポプラ - ダマスカス・シリア

2024-12-02 11:02:33 | シリア
ピスタチオに始まった「シリアの緑」シリーズ。
マンダリン・オレンジまでで 一応、出尽くしたと思ってたのですが・・・
見返してみると、もうひとつ、結構何回も(もちろん無意識に)
カメラに収めている木がありました。
この木を 補遺として シリーズに追加させてください。


これが無意識に撮っていた木です。
緑の少ないシリアですが、
首都ダマスカスは 背後のカシオン山脈を切り開いて貫流するバラダ川が雪解け水を供給する間だけは 潤うため、オアシス都市として発展してきたのです。
そのバラダ川の両岸によく植わっているのが、上のような 若干背の高いポプラと思われる 樹木です。木肌が白いのが特徴です。

(上の画像をタテにトリミング)

当時、私はなんとなく「ポプラ」と思っていたのですが、木に関して知識もないし、とくに確証があったわけではありません。
で、いつものように「このきなんのき掲示板」にたずねてみました。
ポプラの仲間で 「ギンドロ」ではないか、というご意見でした。

wiki の「ギンドロ」を見ますと
ギンドロ(銀泥、学名:Populus alba)は、
ヤナギ科の植物の1種。別名はウラジロハコヤナギ。
とあります。
ギンドロという名は桑の葉に似た葉の裏が銀色であることに由来するようです。「銀葉ドロノキ」の省略形なのでしょうか。(ヤナギ科のドロノキについては 省略します)



これは ダマスカス市内の農園 アブージャラッシュガーデンにあった木です。(アブージャラッシュガーデンというのはダマス市街地の四分の一近くを占める農業保護区です。当時、私は安息日ごとに この農園を散歩していました。)

検索して分かったのですが、日本のギンドロの あちらの名は 「White Poplar ホワイトポプラ」 で
この名前ほうが 木肌の白い特徴をよく捉えている 気がしました。
イタリア地方にも多く pioppo bianco(白いポプラ) と呼ばれてます。
学名は populus alba。
余談ですけど、albaは「夜明け」なので「夜明けのポプラ」(^_-)
http://yukipetrella.blog130.fc2.com/blog-entry-70.html



この写真と すぐ下の写真もアブージャラシュ農園の東のはずれで撮った(撮っていた?)ものですが、畑に植えてある 並木のほうは 「Populus tremula、英名European aspen」 かも?というご意見でした。
「アスペン」で画像検索すると ほとんど白樺じゃないかというくらい木肌の白い木がヒットします。アリゾナ州に「アスペン」という名のリゾート地があるのも肯けます。日本の白樺平みたいな ('_')
こういうポプラの仲間もあるのですね。



さて、ポプラという木は 水が好きなんじゃないかと、写真を撮っていた当時からずっと思ってました。
というのも・・・
写真のバックにはげ山が見え隠れしてますが、これが旧約聖書に出てくるカシオン山です。
ダマスカスはこのカシオン山の山麓にあります。既報ですが、カシオン山は山というより横に長い山脈で、このカシオン山脈のもうひとつ地中海よりを走るアンチレバノン山脈に降った雪解け水が川となってカシオン山脈を開析し山を越えた地点で扇状地を形成、伏流したバラダ川が再度湧水して オアシスになるため、都市ダマスカスがつくられたという訳です。
アブージャラッシュ農園は バラダ川から引き込んだ用水の水を利用しています。
バラダ川沿岸や アブージャラッシュ農園のようなこの地方では水の豊富な地域に特徴的に 木肌の白いポプラの仲間が植わっているのは 偶然とは思えません。

「ホワイト・ポプラ」でもういちど検索すると、
https://godasagardener.com/tag/jacob/
に、それらしい木の画像と 「パレスチナを含む中東に自生する、白いポプラの木(Populus alba)は 水路を含む湿った地域でうまく成長し・・・」(←適当に意訳してます) 等々の記述があり、私がカメラに収めたこれらの木に抱いた印象と合ってる気がしました。


以上で ダマスカス周辺で私が昔撮ったホワイトポプラらしき木の 写真は全部です。このきなんのき掲示板でお尋ねしたときも、この順に 4枚を 提示しました。

4枚の画像を示した後、回答者の方に考えてもらってるときに、ふと、これらの写真が11月の下旬から12月初めに撮ったものであることを言い忘れたと思い、当地では 木々は紅葉らしい紅葉をすることなく冬を迎えます、ということを説明するために この5枚目の写真↑を追加しました。
そしたら、回答者の方から
「写っている木は、いわゆるポプラの仲間 (セイヨウハコヤナギか?)のようですね」
というコメントがあり、びっくりしました。
まさに 右を向いても左を見ても ポプラ という土地だったのです(^_^.)


ポプラは土壌や水から汚染物質を削減や分解、除去する実績のある植物のひとつと言われてます(他には ヤナギ、セイヨウカラシナ、ヒマワリなど)。
http://xeriscape-jp.org/lid/phyto_plants


とりとめもなくシリアの緑をピックアップしてきました
永らくおつきあいいただき、ありがとうございました m(_ _)m


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さらに番外編 ケッパー - レバノン

第8回 マンダリン - ダマスカスAJG ・ シリア


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