アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

勝手な名前つけないで - ソドムのリンゴ

2023-06-20 18:21:39 | みんなの花図鑑

これは何でしょう?
英語で 「Apple of Sodom(ソドムのリンゴ)」とも呼ばれる植物のシベの部分です。




「ソドム」というのは旧約聖書に登場する死海近くにあった街の名前です。
ノアの方舟から幾星霜(紀元前3,000年頃?)、ソドムとゴモラという隣り合った二つの町が大いに栄えていたが、いつしか悪徳と頽廃の巣になり果てていました。
神はこのありさまに怒り、硫黄と火の雨を降らせて町を消滅させることにしました。




ただしそれに先立って天使二体を遣わし、住人ロトの信仰心のあつさを確認しました。天使はロト夫婦とその娘たちに、急いで町を去るように、そして決して振り返らぬように、と命じたのです。




ロト一家は街から逃げ出すのですが、途中ロトの妻は、住み慣れたソドムの崩壊を見届けずにいられなかったのか、つい振り返ってしまい、そのまま塩の柱になってしまいました。




ソドムとゴモラの街はアフリカ・プレートとアラビア・プレートに挟まれた死海地溝帯(大断層帯)上にあり、滅びはプレート境界に頻発する地震とそれに伴って生じたアスファルト、塩、硫黄の爆発・燃焼によって引き起こされたのではないか、という考えがあります。

死海地溝帯(Google Earthより)





本題ですが、英語の別名で「ソドムのリンゴ」と呼ばれるこの植物は、日本では牧野富太郎博士が発見しました。そして「ワルナスビ」と命名しました。
ワルナスビのめしべは 上の画像の何枚かで確認できるように、雄しべより長いタイプと短いタイプがあります。




イヌビワとか、イヌシデとか、イヌホオズキなど役に立たないという意味で「イヌ」をつけることはよくありますが、「ワル」と断定するのはそれ以上です。



茎ばかりか葉にも鋭い棘があり、切り刻まれて土に埋め込まれてもその分だけ増える厄介な雑草です。
だからといってこういう名前を付けても良いのでしょうか?




秋にはこんな果実を実らせます。有毒です。
「ソドムのリンゴ」という名はこんな果実を見て付けたのかもしれません。





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残りはまとめてクイズでどうぞ - 東山植物園 (4)

2023-06-19 16:11:24 | みんなの花図鑑
東山植物園ではヤマアジサイを堪能?しましたが、他にも珍しいもの・名前の分からないものに出会いました。
名前がほぼ分かったものだけまとめてクイズにしてみます。

Q1. 画像は3枚

品種名は私にも分かりません、だれでも知ってる植物名で答えてください。



花弁が大きく虫食いですが・・・
コガネムシの赤ちゃんはこの植物の根っ子を食べる害虫ですが、よく似たハナムグリは蜜や花粉が目当てなので無害なんですって。



ミツバチは腰のあたりが黄色いのでたぶんセイヨウミツバチですね

花の名前は ・・・
バラ でした。品種は分かりませんm(_ _)m




Q2.
画像は全部で6枚あります。そして最後の6枚目は それまでの5枚とちがうところがあります。それはどこでしょうか?

これは温室にあった植物です。
1枚目。


2枚目。


3枚目。


4枚目。


5枚目です。


最後の 6枚目です。これだけ、これまでの花と違うところがあります。

答えは・・・
花の名前は ベゴニアです。
(2つの品種がごちゃまぜになっています)

そしてもう一つの答えは・・・
最初の5枚は 雌花 でした。さいごの1枚だけ 雄花です。
雌花のほうはお尻に大きな子房がついています。雄花にはそれがありません。
雌花の黄色い花柱がくねくねしていて何だか雄しべの花糸と葯そっくりなのは、花粉を出さない雌花が 花粉を出す雄しべの真似をして虫が間違えて止まってくれるように擬態しているのだとか!(^^)!




Q3.
画像は3枚です。

雄性期の杯状花序


同じく雄性期の杯状花序


雌性期の杯状花序



答えは下の画像をごらんあれ。(クリックで拡大)

えっ、ハナキリンじゃないの?!
そうなんです!両方ともトウダイグサ科ユーフォルビア属の植物で、2つは兄弟関係にあるようです。
クロマリシテン(黒摩利支天) Euphorbia lophogona hibrida
ハナキリン(花麒麟) Euphorbia milii




Q4.
画像は4枚あります。

湿地園の植物です。


大ヒントです。 ランの仲間です。



大ヒントです。 名前(和名)は花の色が柿に実の色に似ていることからつけられました。




こたえは・・・
カキラン でした。
ラベルが無くクイズにするのをやめようかと思ってましたが、「東山植物園 湿地園」でググるといっぱい出て来ますのでご参考に。
学名:Epipactis thunbergii A. Gray




Q5.
画像はしょぼくれた1枚だけです m(_ _)m

花があっち向いてホイしていて 手の届くところに花の咲いたのがありませんでした。
ヒント 名前は「コ」で始まり 「ネ」で終わります。

答えです

コウホネはスイレン科コウホネ属に属する水草の1種です。




ここから2つ ツツジ科です

Q6.
画像は2枚だけです






答えは 以下の解説板でどうぞ







つづいて 動物園のツツジ科の木をどうぞ
Q7.
画像は4枚

木の花はまだ蕾の状態がほとんどです。



全体像



大ヒント 幹が捻じれています



花はドウダンツツジやブルーベリーに似ています。

答えですが・・・
「東山動植物園 ツツジ科」で検索すると「シャシャンボ」と出て来るので、この木のことだと思いました。場所はレストラン メゾン・ド・ヴェールの前。
ネジキとシャシャンボの花はよく似ていますが、ネジキの花柄は花と同じ白ですが、シャシャンボの花柄は緑です。





植物クイズは以上です。


以下、おまけで、星が丘門入ってすぐの トンネルの化石をどうぞ。








三葉虫?



プレシオサウルス?



アンモナイトと硬鱗魚アスピドリンクス













いつかこれらの化石の名前を言えるようになりたいものです。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございましたm(_ _)m




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アジサイの実 - 東山植物園 (3)

2023-06-18 16:00:00 | みんなの花図鑑
アジサイにも実がなります。そりゃ、花が咲くから実もなるだろさ?!
いえいえ、花は咲いても実はならない花もあるんですよ

でも、そのまえに・・・
ヤマアジサイ ’七段花’

ヤマアジサイの変種「七段花」は、装飾花が八重咲きで、各萼片が剣状に尖りきれいに重なって星状に見えるのが特徴。



ヤマアジサイだから、装飾花(花弁のように見える萼片が肥大化した小花)群の中心に両性花があるはずですが、時期が過ぎたようです。




解説板がありました。そのテキストを抽出しますと、
「アジサイ '七段花(しちだんか)'
 Hydrangea serrata f. prolifera
アジサイ科 花びらのように見えるのは装飾花の萼片の部分。装飾花が八重で、星形をしている品種。 名前は、花が重なって段になっていることによるとされる。
シーボルトの『日本植物誌』だけに掲載され、国内では絶滅したと言われたが、 昭和34年に、神戸の六甲山系の山で発見された。」
Hydrangea serrata はヤマアジサイの学名です。





ヤマアジサイ ’美方八重’

もうひとつ、ヤマアジサイ。やはり花弁のように見える萼片が八重の装飾花です。



「七段花」に良く似ていますがこちらの方が少し花弁が丸くなります。
学名は Hydrangea serrata Ser. ’Mikata-yae’ とか
Hydrangea serrata var. serrata ’Mikata-yae’ のようです。
(学名中の Ser. は seriesの略で「亜種」、var. は英: variety、ラテン語: varietas の略で「変種」を表します)



さて本日のトピック「アジサイの実」に入ります。


ツルアジサイ

ツルアジサイは ツル性のアジサイです。
学名: Hydrangea petiolaris



ツルアジサイはヤマアジサイ、ガクアジサイ同様、周囲の装飾花の部分とその内側の両性花の部分とありますが、装飾花には雌しべがないかあっても不完全なので、実が付きません。



実が付くのは 両性花の部分だけです。
駒のような形をしています。



アジサイ ’花笠’

アジサイ ’花笠’ は ウツギのような姿から「コガクウツギ」の名があります。
ガクウツギよりも葉や装飾花が小さめであることが特徴です。
学名: Hydrangea luteovenosa 'Hanagasa'



このアジサイ(コガクウツギ)にも両性花部分が見当たりませんが、もし果実をつけたらどんな形の実か?ある程度想像がつきます。名前に「ウツギ」が付くからです。




コガクウツギ (果実)

この花には 装飾花の部分と青いシベの両性花の部分があります。



両性花の部分は受粉すると、雄しべと花弁が落ち、子房が徐々に膨らんでいきます。



そして上のような実になります。子房の上には花柱がしっかり残っています。





〔参考〕ウツギ (果実)

これはアジサイではなく 正真正銘のウツギ(卯の花)の果実です。



ツルアジサイやコガクウツギの果実と形がよく似ていると思いませんか (´∀`)
以上、すべて6月14日 東山植物園で撮影した画像でした。



参考までに、ウツギの花が受粉して花弁と雄しべが脱落した様子です。(過年度 愛知県緑化センターにて撮影)




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アジサイの実 - 東山植物園 (3)

2023-06-18 16:00:00 | みんなの花図鑑
アジサイにも実がなります。そりゃ、花が咲くから実もなるだろさ?!
いえいえ、花は咲いても実はならない花もあるんですよ

でも、そのまえに・・・
ヤマアジサイ ’七段花’

ヤマアジサイの変種「七段花」は、装飾花が八重咲きで、各萼片が剣状に尖りきれいに重なって星状に見えるのが特徴。



ヤマアジサイだから、装飾花(花弁のように見える萼片が肥大化した小花)群の中心に両性花があるはずですが、時期が過ぎたようです。




解説板がありました。そのテキストを抽出しますと、
「アジサイ '七段花(しちだんか)'
 Hydrangea serrata f. prolifera
アジサイ科 花びらのように見えるのは装飾花の萼片の部分。装飾花が八重で、星形をしている品種。 名前は、花が重なって段になっていることによるとされる。
シーボルトの『日本植物誌』だけに掲載され、国内では絶滅したと言われたが、 昭和34年に、神戸の六甲山系の山で発見された。」
Hydrangea serrata はヤマアジサイの学名です。





ヤマアジサイ ’美方八重’

もうひとつ、ヤマアジサイ。やはり花弁のように見える萼片が八重の装飾花です。



「七段花」に良く似ていますがこちらの方が少し花弁が丸くなります。
学名は Hydrangea serrata Ser. ’Mikata-yae’ とか
Hydrangea serrata var. serrata ’Mikata-yae’ のようです。
(学名中の Ser. は seriesの略で「亜種」、var. は英: variety、ラテン語: varietas の略で「変種」を表します)



さて本日のトピック「アジサイの実」に入ります。


ツルアジサイ

ツルアジサイは ツル性のアジサイです。
学名: Hydrangea petiolaris



ツルアジサイはヤマアジサイ、ガクアジサイ同様、周囲の装飾花の部分とその内側の両性花の部分とありますが、装飾花には雌しべがないかあっても不完全なので、実が付きません。



実が付くのは 両性花の部分だけです。
駒のような形をしています。



アジサイ ’花笠’

アジサイ ’花笠’ は ウツギのような姿から「コガクウツギ」の名があります。
ガクウツギよりも葉や装飾花が小さめであることが特徴です。
学名: Hydrangea luteovenosa 'Hanagasa'



このアジサイ(コガクウツギ)にも両性花部分が見当たりませんが、もし果実をつけたらどんな形の実か?ある程度想像がつきます。名前に「ウツギ」が付くからです。




コガクウツギ (果実)

この花には 装飾花の部分と青いシベの両性花の部分があります。



両性花の部分は受粉すると、雄しべと花弁が落ち、子房が徐々に膨らんでいきます。



そして上のような実になります。子房の上には花柱がしっかり残っています。





〔参考〕ウツギ (果実)

これはアジサイではなく 正真正銘のウツギ(卯の花)の果実です。



ツルアジサイやコガクウツギの果実と形がよく似ていると思いませんか (´∀`)
以上、すべて6月14日 東山植物園で撮影した画像でした。



参考までに、ウツギの花が受粉して花弁と雄しべが脱落した様子です。(過年度 愛知県緑化センターにて撮影)




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梅雨はアジサイ - 東山植物園 (2)

2023-06-17 18:09:09 | みんなの花図鑑
東山植物園(名古屋市)のアジサイ園をお届けしています。
アジサイ園のアジサイは主に(装飾花と両性花両方のある)ヤマアジサイ、ガクアジサイが多いです。

ヤマアジサイ

品種名を見落としましたm(_ _)m


ヤマアジサイは本州では関東より西、また四国、九州などの山地にみられます。湿り気のある山地などに生育しているため、半日陰の環境を好みます。


ヤマアジサイの学名は Hydrangea serrata





ヤマアジサイ ’東雲(しののめ)’

学名は Hydrangea serrata 'Shinonome'
分布 : 滋賀県信楽



星形の八重咲き。大島敏郎氏と神館シノブ氏が発見。淡青の花色が明け方をイメージさせることから命名された。(神戸市立森林植物園・あじさい情報センター「シノノメ(東雲)」)





ガクアジサイ ’ユングフラウ’

学名: Hydrangea macrophylia 'Jungfrau Series'












ヤマアジサイ ’舞妓アジサイ’

学名: Hydrangea serrata f. belladonna
(学名の f. は form の略で、「品種」の意)





ヤマアジサイ ’桃色沢’

学名: Hydrangea serrata 'Momoirosawa'







ヤマアジサイ ’済州島’

済州島産のヤマアジサイで、他にも「流星」、「明星」、「夕月」などの品種があります。



学名はHydrangea serrata for. acuminata が使われているようです。









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梅雨はアジサイ - 東山植物園 (1)

2023-06-16 18:09:44 | みんなの花図鑑
東山植物園(名古屋市)のアジサイ園を中心にお届けします。
アジサイ園のアジサイは主に(装飾花と両性花両方のある)ヤマアジサイ、ガクアジサイが多いです。


ヤマアジサイ ’紅(くれない)’

ヤマアジサイの紅(くれない)はアジサイの中での人気が高いあじさいということです。



アジサイの中で最も紅くなるとされているのがこの品種です。



咲き始めはピンクっぽい白ですが、太陽の光が当たり、咲き進むにつれて太陽が当たった部分は、鮮やかな赤色に変化します。



日陰では赤く変化せず、白いままになる事があります。








アジサイ ‘紅額’?

名前を見忘れましたm(_ _)m 他の方のブログ記事から推定しています。
ヤマアジサイ系と思います。



ヤマアジサイは関東地方以西の太平洋側、四国、九州の山地の湿った林内に分布します。
花序の大きさは、ガクアジサイと同じですが、装飾花は小さく、萼片は3~5枚。花色には変化が多いのが特徴。



↓ 装飾花(萼片)に鋸歯があるので ’紅萼' かも?

ガクアジサイとヤマアジサイの見分け方・・・両方とも萼咲きですが、海岸に多いガクアジサイは花も葉も大形であることが多く、たいしてヤマアジサイは山中に多く小ぶりで葉が細長い。




ヤマアジサイ

これも名前不詳です。











アジサイ ’伊予小町’

ヤマアジサイ 伊予小町は暗緑色の細く小さい葉に白い産毛が生えているのが特徴的です。(苗木部「伊予小町 アジサイ ヤマアジサイの特徴と育て方」)


ヤマアジサイは本州では関東より西、また四国、九州などの山地にみられます。湿り気のある山地などに生育しているため、半日陰の環境を好みます。日当たりの良すぎる場所は避けてください。ガクアジサイよりも葉が細く、産毛があり、薄く、光沢がありません。別名”サワアジサイ”とも言います。(同上)




アジサイ ’日光’

アジサイ園には珍しく、萼のみからなるアジサイ品種です。



「アジサイ ’日光’」でググっても、ネットの情報が見つかりませんでした。


装飾花はもと萼片で、中心には雄しべしかないとかよく言われますが、この花にはちゃんと雄しべと雌しべがあります。つまり両性花になっています!





ガクアジサイ?

これだけはアジサイ園でなく別の場所(星が丘入口側)にあったものです。ラベルが無く、花の形もアジサイ園のヤマアジサイより大型なので、ガクアジサイの一品種ということにしておきます。



萼片は 4枚あり、大きく目立つので、 それでアジサイのことを「四葩(よひら)」と呼ぶのだそうです。



観賞するときには萼の変化した装飾花の部分が目立つのでそれでガク(萼)アジサイというのかと思ったら・・・



中央の両性花を囲んでいる装飾花の部分が額縁に見えることからガク(額)アジサイというのだそうです。


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ハナショウブ - 油ヶ渕

2023-06-15 16:30:00 | みんなの花図鑑
愛知県碧南市の油ヶ渕花しょうぶ園には 80品種、13,000株ものハナショウブが植わっているそうですが、
涼しげなハナショウブばかりを集めてみました。


















































最後に、クイズをひとつ。
以下の画像は 名古屋の東山植物園で撮ったハナショウブ画像ですが、一枚だけそうでないものが含まれています。それはどれでしょう?



答えは 右下(最後の1枚)です。これだけは カキツバタでした。
花しょうぶの花には花弁の付け根のところに黄色い筋があります。対してカキツバタは同じ部分が白い筋になっています。
あと、生育地もカキツバタは池の畔など湿地ですが、花しょうぶは意外と場所を選びません、湿地を好むことは確かですが、ずっと水に浸かっている場所はアウトです。

ルドベキア - 舌状花のシベ

2023-06-14 17:37:33 | みんなの花図鑑

ルドベキアは もともと属名なので、上の花は 「ルドベキア・なんとか(たとえば ヒルタ)」というのかもしれませんが・・・
スマホの Google Lens で検索したら「オオハンゴンソウ属 Rudbeckia」を第一候補に挙げてきたので、「ルドベキア」とだけしておきます。



ルドベキアはキク科キク亜科の花です。
キク亜科の花は花の周囲の舌状花の集団と中心部で盛り上がった筒状花の集団で構成されています。

(同じキク科でも タンポポ亜科の頭状花序は舌状花だけで、アザミ亜科の花は筒状花だけで出来上がっています)
上の図によると、筒状花のシベと舌状花のシベ部分は作りがほぼ同じで舌状花にも雄しべがある(すなわち両性花) と書かれていますが、注意しなければならないのは いつの場合もそうとは限らない のです。





花の周囲の舌状花ですが、これは花弁の一枚だけが肥大化して出来たものです。花弁一枚で花(小花と言います)なのですから、シベがあるはずです。
上の画像を見ると、花弁の付け根に頭に花粉を載せたシベが立ち上がっています。これが舌状花のシベなのか?それとも筒状花のいちばん外側のシベなのか? ちょっと考えてみます。





その付近を拡大してみると上の画像のようになっています。
頭に花粉をのっけたシベは、中心の筒状花の盛り上がりの、さらに外側に伸びています。
すると、これは舌状花の雄しべなのでしょうか?
でも・・・よく見ると、それは舌状花と舌状花の間の隙間に伸びていますよね?!
舌状花のシベだとすると、それぞれの舌状花の付け根のところから伸びていないとおかしいです。



それに、舌状花のシベなら舌状花の小花の数だけ出ているはずです。上のように舌状花の枚数よりも多いのは理屈に合いません。




別のところで撮ったルドベキアです。
先ほどの頭に黄色い花粉をのっけた雄しべ筒と舌状花の肥大化した花弁との間に、別のシベが伸びています。これは何でしょう?




その部分の拡大図です。




雄しべ筒の手前にあるのはどうやら雄しべ筒から出てきためしべのようです。なぜなら・・・




同じ黒っぽい色なのでちょっとわかりづらいですが、筒状花には雄しべ筒を囲って花冠が付いていて、このヒツジの角のような器官はその花冠から姿を現しているように見えるからです。



筒状花の花たちは外輪から中央に向かって順に開花していきます。
後に立っている頭に黄色い花粉を載せた雄しべ筒が開花の第1段階で、手前の雌しべが伸びるのが第2段階のように見えます。いずれも筒状花であろうと想定しての推定です。




結局、ルドベキアの舌状花のシベがどんなものかは今回の観察では分かりませんでした。



【参考】ジニア

この花では、中心の筒状花が半分以上咲きあがっています。黄色い星の形をした部分が筒状花の開花直後の状態で 黄色いお星さまは花冠です。花冠の中からおしべが伸びて花粉を出しています。
その周囲に背の低い ひつじの角のような小花が出ていますが、これが雄しべ筒から出てきためしべ。
さらにその外側の荒れ地のような部分は筒状花の花後の状態です。
よくみると、舌状花の一枚の肥大化した花弁の付け根に やはり黄色いひつじの角のようなシベが出ていますが、実はこれが 舌状花のめしべ なのです。

舌状花のシベは雄しべ筒がありません。雌しべ単独です。


舌状花の雌しべがよく分かるのは スプーン咲き?のジニアです。
Yの字型の黄色いシベが 舌状花のめしべです。





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一年半も… マテバシイ

2023-06-12 16:45:00 | みんなの花図鑑
マテバシイ

元気のいいのはマテバシイの雄花です。(6月1日撮影)
マテバシイは風媒花かと思ったら「「風媒花から虫媒花に進化の舵を切り変えた花」なんですって?!
なぜかというと、クヌギやコナラやシラカシの雄花はだらりと垂れ下がって風に乗って花粉を飛ばし易くできていますが、マテバシイの雄花は上を向いた丈夫な枝から雄花を出しています。虫が止まりやすいように配慮しているのです。



でも効率よく虫を呼ぶためには餌となる蜜が必要ですが、今はまだ蜜のようなものは見られません。
今はまだ偶然虫が止まって体に花粉をつけて雌花のほうへ飛んで行ってくれるのを待っているだけです。



雄花ばかり目に付きます。雌花はどこにあるのでしょう?
たくさんの雄花序に交じって一本だけ緑の枝が出ています。この枝の付け根のほうにあるのが雌花です。


雌花序は一か所から2つ、3つの雌花を出しています。
雌花の枝の上方にまだ開花していないつぼみがありますが、これは雌花ではなく雄花です。
雌花序枝の雄花は 雌花が活動し終わった後開花するようです。



雌花序枝の雄花も開花しています。




同じ日(6月1日)に同じ株にあった果実です。雌花序はまだ受粉が終わったばかりですから、この果実は1年前の6月に生まれた果実です。




これは 過年度7月に撮ったマテバシイの果実です。大きいほうが一年前の6月のできた果実で今年の秋にどんぐりになります。つまり、マテバシイのドングリは1年半かけて成熟するということです。
wikiには「2年かけて熟す」と書いてありますが、大袈裟に言えば、そういうことです。
文献は無いですが「2年待てばシイ(のように食べられる)」ことから、マテバシイの名が付いたとか (^^♪






クリ

クリも同じで、虫媒花に転身した花です。すごい匂いがしますが、虫を呼ぶための匂いです。
そしてやはり 雄花ばかりの枝と・・・



付け根のほうに2,3個 雌花をつけた枝とあります。




クリのイガになる雌花の集まりは花穂の根元に1〜2個付き、小さいながらすでに棘が出ています。



その中に雌花が3個あり、白い雌しべを外に伸ばしています。雌しべの花柱の名残はクリの硬い果皮の尖ったところに突き出て残っている部分です。



クリのイガは総苞(単独の花では萼に相当し、複数の花をまとめて包むもの)の鱗片が棘状になったもので、どんぐりの帽子に相当するものです。




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