活力にあふれた人はたぶん嫌うだろうと思う、デフォルトという言葉があります。
何もしないこと、しなければいけなくてもしないことがデフォルトです。
競技の場合、棄権がデフォルト、銀行の場合は、預かり金も返せなくなったお手上げ状態がデフォルトです。
コンピューターの場合には、何も入力しなくても動かなくては困りますから、システムを作るときにあらかじめ何か情報を与えておきます。
それがデフォルトです。
何もしないのがデフォルトといいながら、まったく考えなしにはできないはずの何かがしてある、まったくの空っぽではない状態です。
動けないわけではなくても棄権する、金庫が空でなくても支払わない、何となくズル賢さが感じられる、あまり好きになれない言葉です。
Word に画像を挿入したとき、文字列との関係が、デフォルトでは「行内」に設定されています。
起動したときにほかの状態になるよう、設定変更はできるのですが、「行内」をなぜデフォルトにしてあるのでしょうか。
「そうなっているから」では答えにならないので、こうではないかという理由を考えてみました。
Word は、そもそも文書作成用のソフトです。
文書の中に画像も挿入できるソフトなので、画像は文章のどこかに差し込まれる、つまり「行内」に挿入されるのが元来の使われ方だったのでしょう。
初期に決められたデフォルトが、そのままずっと受け継がれているのです。
画像の編集に、こんなことまで必要なのかという程メニュがあふれていながら、挿入のときに選択メニュを出さないのはなぜでしょうか。
おそらく、プログラマーの頭が、そこでデフォルトになっているからだと思います。