むかし、定額制の電車がありました。
どこまで乗って行っても同じ料金なのです。
路線が交錯して乗り換えが必要でも、あらかじめ乗り換え切符を手に入れておけば、やはり最初に払った料金だけで目的地まで行くことができました。
無賃乗り換えは、利用者にとって都合のよい方法でも、提供者には不都合なものです。
パソコンのOSも、さすがにバージョン番号が2桁ともなれば、強制乗換のような力づくの現状変更も一段落したと思ってもらわなければ具合が悪くなってきます。
Windows も10で落ち着いたかのようではありますが、パソコンの動きが悪くなったという声もしばしば聞かれ、実際に動かしてみると、何だこれはと思うほどジリ待ちを強いられることもあります。
「いつからこんなに」と聞くと、返ってくるのは、たいがい「いつの間にか」というあきらめ半ばの声です。
特別に重いアプリを使い始めたのでもなければ、動きが鈍くなった原因として考えられる変化は、OSの更新以外にありません。
またむかしの話になりますが、うっかりユーザーの記憶が正しければ、あるときまでの Windows は、更新できる項目の並んだメニュが示されて、実行項目を選択できるようになっていました。
自分の使い方に全く関係がなさそうな項目は、それを除外して更新を行ったことを思い出します。
ユーザーの意向を全く無視して、何でもかでも更新をさせればOSの最新機能をすべて発揮できる条件が整います。
しかし、この機能を活用できるのは、パソコンに対応力があってこそで、CPUもメモリもライト級のパソコンに無理やり負荷を背負わせても、満足に早く動くはずがありません。
心臓や足の弱い人に重いバックパックを背負わせて、いくら頑張れとけしかけても、思い通りに進んでくれないのは当たり前のことです。
Windows 10 で特に覚えがないのにパソコンが極端に遅くなったら、もう買い替えるしかないでしょう。
OSのバージョン進化は、マシンの進化と並走しているものですから、古いパソコンを抱えてぼやいても仕方がないのかもしれません。