就職して2年目頃だったろうか…、
会社帰りに友人と渋谷で待ち合わせたもののかなり早く着いてしまったので、
画廊かな?と何かの展示会場かな?と思われる近くの小さな店に入っていった。
はたしてそこでは、リトグラフの販売がされていた。
当時、今よりも話題となっていたヒロ・ヤマガタやラッセンなどが所狭しと
並べられている。
「あと20分かぁ…ゆっくり観よう」とまさに時間つぶしの…はずだったのに、
ある絵の前で私は動けなくなってしまった。
自分がその絵の中に生きているような…、ふわふわした、
不思議な感覚に捉われてしまったみたいに…。
そんな私の様子を察知したのか、それまでは意にも介していなかった営業マンが、
ぐぐぐぐっと近寄ってくる…。でも、その押しの必要もなかったと思う。
私は、すでに買うことを決めていた。
まだ貯金も微々たるもの…、5年ローンで金利を考えるとかなりの金額になる。
これで結婚はしばらくないか…。
別にこのことがあったからではないけれど、当時つきあっていた人とは続かなかった。
そして、家に帰って事後報告。堅実な両親は、ローンを組んだ私に
「バカもの~!」と言い放った。
その時はちょっぴり悲しかったし、だからちょっぴり後悔もしたけど、
今はあの衝動買いはハナマルだった!と心から思っている。
☆キッチンに飾ってあるのと同じミッシェル・ドラクロワ作「パリのながめ」☆