アメリカでシングルマザーとして、赤ちゃんを育てながら、
メイドという清掃員の仕事をしながら作家になることを夢見て奮闘する女性の物語です。
しかも主人公はこの作者で、すべて実話であります。
女性が親も頼れずたった一人で子供を育てるのって本当に大変です。
離婚した両親はそれぞれの生活で手いっぱいで頼りにならず、
子供の父親からもDVを受けパニック障害になってしまう。
その症状と闘いながら貧困ゆえにホームレスになり、シェルター生活するところから物語が始まる。
ありとあらゆ国の福祉援助システムを使ってなんとか生きていく彼女。
メイドという最低賃金の仕事で自分より裕福な人たちの家の汚いトイレを掃除する。
メイドというとダウントンアビーのような貴族の館で働くイギリス式のメイドとは全然イメージが違い、
日本でいう家政婦さんともちょっと違うのがアメリカのメイド。
どちらかというとお掃除がメインで、特にトイレ掃除!!
この本を読んでいるとトイレ掃除がいかに過酷か、
っていうか清潔好きな日本人には他人に自分の家を掃除させることの恥ずかしさの方が、
想像だけで上回ってしまうので文化の概念が違うのでしょうね。
アメリカでは自分でトイレを掃除していることのほうが恥。
お金があるなら金を払ってトイレを掃除させるのが当たり前。
しかもその賃金が驚くほど安すぎる。
ダスキンの掃除代行サービスでさえこの何倍もの額を払ってますって。
とにかく読みながらその過酷でみじめなつらい生活の日々を追うと悲しくなる。
一番子供の手がかかる時に一緒にいてやれないつらさ、
具合の悪いとわかっている子供を預けても働かねば職を失ってしまうという恐怖感、
そんな中でも娘がいることで救われる孤独感。
そして彼女があだ名をつけて呼ぶクライアントの家の様子。
その観察力と想像力がまた面白かったです。
困難な状況でもあきらめずに最後は夢をかなえた彼女の努力が素晴らしい。