紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

たまには哲学。

2006-05-16 00:24:47 | 読書
 久しぶりに人生の意味を考えた。・・・懐かしい! そして、恥ずかしい! 恥ずかしついでにカミングアウトするなら、20歳前後には人生についてさんざん考えた。ヒマだったからである。

 人生について考え始めると、迷路に入り込み、袋小路で行き詰まり、運が悪ければ危ない世界へ直行することもありえる。人生について考えるときって、あんまり幸せじゃないと思うし。

 とはいえ、無駄だったかといえば、そんなことはないように思う。いま、こうして図太く楽しく生きて行けるのは、若い時にさんざん道草迷い道していたからかもしれないのだ。

 先週、Kちゃんが友達のバースディ・プレゼントを買うため、ファンシー文具売り場が併設されている書店に行きたがったので、連れて行った。Kちゃんは友達の好きそうなもののイメージを膨らませながら、ショッピングを楽しんだ。ついでに「おかーさんが好きな『おじさん』(という名の飄々としたキャラクター柄があるのです!)のレターセット、みつけたし」と、教えてくれた。

 彼女が文具売り場を物色していたとき、私は仕事の目を兼ねて、新刊チェックなどをしていた。そのときふと表紙に大きくブタの顔が描かれた本に呼ばれた。
 『4コマ哲学教室』南部ヤスヒロ+相原コージ(イースト・プレス)である。

 南部さんは高校の政経・倫理社会の先生でありカウンセラー。まえがきによれば、彼は相原コージさんの4コママンガ『漫歌』(「生きる意味」シリーズ)が連載されていた「漫画アクション」(双葉社)を本屋さんで立ち読みして衝撃をうけたそうで、なんだか他人とは思えない。
 で、その相原さんの4コママンガを使って哲学入門をかかれたのが、この本、という訳である。

 相原コージカラー?があんまりなかったしソフトタッチだったので、本の中の3作品ほど立ち読みしたKちゃんも、「これ、ええな~」とマンガの部分がウケていた。購入決定。ちなみに彼女はその日のうちに、マンガの部分だけ全部読んだ。

 淡々としたストーリー、毎回おきまりの落ち、読んでいて恥ずかしくなるときもある哲学な解説。でも、たまに「おっ?」と拾い物がある。

 私が「ええな~、これ」と思ったのは、「カントの定言命法」。
「~したかったら、~しなさい」という仮言命法で生きるのではなく、自分の命令に自分が従うことが、自由であり、自由とは自律の意思である、という箇所。4コママンガも、このひとつ前より急展開して、ちょっと感動の結末をむかえる。

 マンガを読みつつ、哲学入門できるというリバーシブルなカバンみたいな???お得な本。悩み多き思春期、青春期はもちろん、人生に疲れたオトナの皆さんにも、ちょっと人生の意味を整理するのにどうでしょう、という本なのです。
 癒し系ではないけれど、クールな「ブタ公」の理路整然としたリアクションは快刀乱麻でいっそ新鮮。

 なお下ネタも残酷シーンもありませんので、安心して15歳以下の方もご覧下さい。