紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

「坊ちゃん」のすべて

2006-05-27 21:08:05 | 読書
今日のお昼休みに、発売されたばかりの『件p新潮 6月号』の表紙があんまり可愛いくて思わず手に取り、そのまま底なし沼のように、ずぶずぶとはまり込んでしまった。
 
 もちろん最初は特集の『芭蕉から蕪村へ 俳画は遊ぶ』が目当てだったのに、どこに何が潜んでいるかわからないのが『件p新潮』である。油断はならないので、じっくりとページを繰る。・・・ほらー、やっぱり、油断ならないんだ。しょっぱなから思わず立ち止まって、ページをしげしげと凝視。

「100年を蒐める」 祖父江慎

祖父江慎さんといえば、ユニークな本づくりをする装丁家さん。
ぎっしりと詰め込まれた彼の本箱の写真は、いきなりの圧巻である。100年分の何を蒐めたかといえば、オンリー『坊ちゃん』! 言わずと知れた夏目漱石だ。さまざまなタイプの『坊ちゃん』が本箱に詰まっている図って、ほんと、間違いなく感動しますよ~。

 今すぐ手に入る『坊ちゃん』から復刻版、児童書から、マンガから、ビデオもあった気がするな、とにかく、ありとあらゆる『坊ちゃん』が並んでいる。「本棚拝見」みたいなのも読んだ事があるけれど、あまりに意表を突く本箱の出現に、「ああ~この手があったか~」と思わず膝を打ちそうになった。・・・でも、なんや「この手」って?

 私も小学生の頃から『坊ちゃん』は大好きで、たぶん著e無我が演じていたテレビドラマの『坊ちゃん』をうっとりと観た覚えもある。そのドラマのテーマソングのメロディまで、いまだに覚えているくらい好きだった。

 小説も出だしの「親譲りの無鉄砲で子どもの時から損ばかりしている」からもうわくわくで、この頃から「無鉄砲」って素敵なことだと刷り込まれてしまったくらいである。
 もっとも「観てる(読んでる)」だけだからハートマークを飛ばすのであって、実際隣にいたら別の感想を言うような気もする。その辺は、あまり自信が無い。

 『件p新潮』のインタビューによれば祖父江さん、『坊ちゃん』の漱石の手による原稿の複製もお持ちだとか。生半可な「好き」だけでは、ここまで出来ない。「至上の愛」である。
 漱石の『坊ちゃん』にひれ伏し、執事のように尽くす彼の究極の夢は「漱石の『原稿の勢い』で字を組んで、字体もそれにあったものを考えたい」

 祖父江氏、恐るべし。これほどの情熱があれば、いつの日か必ず実現されるであろう。健闘を祈る。そして私は本棚からぼたもちとばかり、「究極の『坊ちゃん』」が落ちてくるのを、あんぐりと口をあけ待つことにするのである。