紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

少年よ、大志を抱け。

2007-07-28 22:48:19 | 読書
 ご存知、クラーク博士の名言である。北の大地に立ち、人差し指で彼方を指差す銅像の近くで、彼と同じ格好をしながら被写体になった方も多いと思う。(多いか?)

 この場合の「大志」とはなんだろう? 桃太郎のように「日本一」というレベルでは、北海道の大地に立つ人としては相応しくない。やはり、この際ワールドワイドでなければ。

 世界で活躍するオトナになる? いやいやそれでも「大志を抱く」という希有壮大な語感からはほど遠い。

 そんな私の胸にくすぶる永年のもやもやを、すっきりと晴らしてくれるタイトルの本を見つけた。
 岡田斗司夫/著『「世界征服」は可能か?』(ちくまプリマー新書/筑摩書房)である。「世界征服」!! まことに「大志」に相応しい語感である。くちびるに乗せるだけで、心が浮き立ちどきどきする。「秘密結社」という言葉にも、同様にドキドキするが、この二つの4字の言葉は、コインの表と裏のようにも思える。

 「世界征服」は、今まで未完の計画だった。「世界征服を企む」とか「世界征服を夢見る」は実写特撮ヒーローものやアニメなどのテレビ番組や、歴史上の有名人の胸に熱くたぎっていたようだったが、いまだ見果てぬ夢状態である。現在進行形では東ハトの「暴君ハバネロ」がその夢に邁進しているようだが、少なくともまだ我が家は征服されていない。

 かなり「世界征服」に近づいているのは「ウインドウズ」や「マクドナルド」あたりじゃないだろうか。でもそれじゃ「世界征服」という怪しい語感がだいなしである。やはりもっと胡散臭い方でないと、インチキ臭さや脱力な感じが漂ってこない。そんなの「世界征服」だなんて、認められません。

 果たしてこの本がどんな内容なのかは、著者の岡田さんが筑摩書房のHPの中の「PR誌ちくま 7月号」で「レッツ、世界征服」と題して的確かつ詳細に説明されているので、ここでは省略する。論理的、実戦的、学問的に「世界征服」を考えた画期的な「世界征服入門書」であるらしい、とだけ言っておこう。

 それにしても理論社の「よりみちパン!セ」といい、「ちくまプリマーブックス」といい、目下YA(ヤングアダルト)向きのシリーズの充実ったらない。今のティーンは幸せである。もっともこの本に関しては、70年代を小学生として過ごした人たちが、タイトルを読んだだけで即、レジに走ってしまう魔力に満ちているのだが。

 そういう私も明日探しに行きます、『「世界征服」は可能か?』。税込みで735円です。