花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

二刀流

2023年05月24日 | 研究
これはレタスの苗。まるで温泉にでも入っているかのように
もうもうと装置の中からミストが発生しています。
植え付けてからちょうど1週間。
写真ではよく確認できませんが、真っ白な新しい根が伸び始めました。
これが土のない過酷な環境でも養水分を吸収できる水中根、湿気中根です。
トマトが萎れてしまった記事を紹介しましたが、あのトマトには
この根がまだ生えていなかったので、猛暑にやられてしまったのです。
さて先行研究では水中根より湿気中根の方が小さな根が多くなり
全体のボリウムが増えることがわかっています。
確かに水耕栽培の水中根に比較したら圧倒的な根量となります。
これには理由があると考えられています。
実は水中根より湿気中根の方が吸収能力が低いのです。
そこで湿気中根は根量を増やすことで
吸収量を補おうとしていると考えられています。
また湿気中根を発生させると空気中からも吸収できるため
生育が安定するという研究結果もあります。
FLORAの栽培ではミストを発生させると
このように滴り落ちるほどの水を供給します。
したがってミスト栽培では湿気中根と水中根の2つが
発生していると考えられます。
湿気中根と水中根を備えた二刀流のレタス。
ターボエンジンのようにここから成長が加速されるはずです。
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あぁ、それなのに

2023年05月24日 | 研究
ご覧ください。先週植えたばかりのミスト栽培トマトの翌日の姿です。
なんと手前の苗がぐったりと萎れているではありませんか。
これを見た主任研究員はショックを受けたはず。
いったいどうしてなのでしょう。実は理由がありました。
このトマトの苗は直前まで土の入ったポットで育っていました。
しかしミストの中で育つには、この根ではなく
水中から養水分を吸収できる水中根や
過湿状態の空気から吸収できる湿気中根が必要です。
これらの根が出てくるには経験で7〜10日ほどかかります。
つまりこのトマトにはまだ水中根も湿気中根もないのです。
それなのにそれなのに、植え付けた翌日が運悪く猛暑。
31度を超える記録的暑さです。水は吸えない、蒸散は激しい。
そのため萎れてしまったのです。こうなるともう手遅れ。
気温が上がることは事前に予想されていたのでトマトには悪いことをしました。
幸い予備のトマトがあるので泣く泣く植え替えていました。
嬉しいことに今後1週間の予報によると気温は高くても20度。
なんとかしおれる前に過酷な環境を乗り越える特殊根を発生させたいものです。
ところで奥のトマトはいたって元気です。
実は奥の方は手前よりミスト発生回数を増やして植え付けた区。
こんな育苗方法が環境に慣れるまでは効果的なことがわかりました。
経験を積む。猛暑でもタダで転ばないFLORAです。
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