母と2人で箪笥の引き出しを整理した。
愛媛県立愛媛養護学校の名札を見つけた。
50年近く前のもので まあ本当に懐かしい。
よく、残していたもんだね~と手に取る。
記念に写真も とっとこう。
白い蜜柑の花の中に、鳩がいて
なんで鳩なんだろうね・・といまでもよくわからない。
小学部は「小」 中学部は「中」の金文字が輝く校章。
名札を布に縫ってくれたのは、母。
月に一度の産業カウンセラー実践講座の10月は
代表者方式で、そのクライエント役を依頼された。
すごく簡単なシナリオを 1ケ月前に送って貰って、
小説家のように物語をつくり、女優のように役作りをする。
50分間のカウンセリングに耐えられるだけの構成にしておかなくては!
シナリオは、「43歳主婦 娘が事故にあい一生右手が使えない」
とあったので、喪失の心のケアをテーマにシナリオを深めた。
シナリオに、娘は音楽の高校に通う17歳で、認められてコンクールにも出場し
卒業後は、アメリカ留学の予定とあった。
右手が使えないということは、ピアノもさることながら
利き手が右なら たちまち箸やペンが持てない、
両手を使うタオルが絞れなくなる。
多感な思春期に自殺目的に食事を摂らなくなるかもしれない。
事故の相手は、救急車を待っている間に消えてしまったと設定した。
突然の入院費用&交通費の負担は、家計を圧迫する。
43歳主婦は、毎日看病に病院に通い、4か月目に何も手につかなくなった。
疲労で抑うつ状態になったと体調を設定した。
だるくて、しんどそうで、多弁じゃない。時々、考え込んだり、涙を流す。
夫50歳は、娘に怪我を負わせた相手を探すことに怒りを注いでいる。
希望のともしびが消えた家庭。
<娘をどう支えたらよいかわからない>という
混乱や悲しみ、怒りや不安の 主訴を設定した。
「親から充分愛された子供は、決して自分を粗末にしないもんだと思います」
(大丈夫、娘さんは右腕を失っても、きっと人生を前向きに生きていくはず)
と面接の最後に、このお母さんに勇気づけをしてあげようという
長谷川先生の受講生に対するアドバイスを聞きながら、
ふと、胸が熱くなった。
私の父は、ポリオウイルスに怒りをぶつけられないので
主治医に八つ当たりをした。
もっと早く正しく診断していたら、こんなことには ならなかったのではないか
もっと効果的な治療はないのか。
被害者家族の喪失の怒りは、沸々と消えることはない。