(冷凍桃でスムージー)
昨日は、本当に驚いた。
非常勤講師をはじめて一度も
商売道具を教室に忘れたことなどなかったのに
授業の虎の巻を教卓の上に残してきてしまった。
まさか一番大切な物を忘れるなんて・・
いよいよ、私もあぶなくなってきた、
いやいや、そういうことで驚いたのではない。
学生相談室に移動すべく、エレベーターを待っていると、
放課後も、大会出場のための練習らしく、学生が大勢集まっているのが見えた。
実習室の中から、A君が走って出てきた。
「あ、こんにちは」
「・・教室に青いファイル忘れてましたよ」
「え、ほんとに、それは大変!~」
「ちょっと見てきます」
と言って 階段を駆け上がった彼の手には
すでに教室の鍵が握られていたんだ。
ということは、
通りかかるのを待っていてくれたんだろうか。
A君は、おとなしい目立たない人で、おしゃべりをきいたことがない。
どちらかというと、さわらぬ神にたたりなし派だと、勝手に思い込んでいた。
日直で雑用が回ってきたのかな?
職員室に届けてくれるだけでもよかったのに、
対人スキルを使うなんて積極的すぎる。
「助かりました、ありがとうございました」と
直角になるほど腰を折って、エレベーター前でお礼を言った。
はにかんだようなA君に私の感謝は伝わっただろうか。
彼から声をかけられたのは、この春に出会って7か月めで 初めてのこと。
こんなに嬉しいことになるなら、忘れてみるもんだな~。