今日は、琵琶湖の調査で高島にやってきた。
風景明媚な場所でもある。
漁船を使うので、現地で宿泊することにした。
高島には昔、京都大学の古環境実験施設があった。
堀江正治先生が、1400mの湖中ボーリングをされたことで知られている。
この記録はまだ破られていない。
琵琶湖が見えるかどうかは大きな違いがある。
おそらく10倍くらいの価値があるのだろう。
堀江先生は1978年から1987年まで、この研究施設に勤務し、毎日、琵琶湖を眺めながら研究をされた。
さぞかし満足されたことだろう。
私もあやかりたいと思うのだが、まだ実現していない。
琵琶湖での私の研究歴が、堀江先生と重なる時期はそんなに長くない。
ただ、とても懐かしい思い出がある。
まだ、私が京都大学大学院理学研究科の院生だった頃だ。
私の机の前に研究室の外線電話があった。
そこへ堀江先生はよく電話をかけにこられた。
実際、彼は、電話魔として知られていた。
私が何気なく音楽を聞いていると、立ち止まって聞いておられた。
「お邪魔なら、切りましょうか」
ときくと、
「いや、聞かせてください」
と言って、電話をすることもなくたたずんでおられた。
先生は、モーツアルトが好きなようだった。
生涯独身だった先生は、きっとロマンチックな人だったのだろう。
今日は、この地で一泊する。
すでに他界された堀江先生のことを思い出しながら、琵琶湖に乾杯しよう。
京都大学には、時々、琵琶湖が大好きな研究者がでる。
その点だけは、私も負けない気がする。